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ANCA血管炎に対する理学療法をどう考えるか-指定難病45:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EPGA)-

2020 4/29
ANCA血管炎に対する理学療法をどう考えるか-指定難病45:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EPGA)-
目次

ANCA関連血管炎について

私のいるリハビリテーション病院では主に整形外科、脳血管疾患、廃用症候群、呼吸器リハの対象患者様が入院されていますが、いろいろな患者様が入院されます。

今回ANCA関連血管炎の一種である、好酸球性多発血管炎症性肉芽腫症という疾患について知識を整理したいと思います。

そもそも血管炎とは何か?

血管炎とは、血管壁の壊死と炎症細胞の浸潤が起こるものと定義されています。

  • 「血管炎」とは、全身の血管のどこかに炎症が起き、 皮膚やさまざまな組織や臓器が侵される病気といわれています。 
  • 血管炎がおこると、その周囲や全身にも炎症が起き、血管自体が狭くなり、血液の通りが悪くなり、血流に問題が生じ、周辺の組織や臓器のはたらきに影響を与えます。

血管炎の種類

  • 大型血管炎
  • 中型血管炎
  • 小型血管炎

がありますが、

抗好中球細胞質抗体(anti-neutrophil cytoplasm antibody:ANCA)に関連する血管炎(ANCA-associated vasculitis:AAV)は小型血管炎の類に分類されます。ANCA関連血管炎ではANCAが関連して血管炎をおこします。

※ANCA→アンカと読みます。※ANCAとは自分の体の中にある白血球(主に好中球)と結合する抗体のことです。

ANCA関連血管炎

  1. 顕微鏡的多発血管炎(microscopic polyangiitis:MPA)
  2. 多発血管炎性肉芽腫症(granulomatosis with polyangiitis:GPA)(旧Wegener肉芽腫症)
  3. 好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(eosinophilic granulomatosis with polyangiitis:EPGA)(Churg-Strauss症候群)

の三タイプが存在します

ANCA関連血管炎の治療の流れ

①寛解導入療法:症状を落ち着かせることを目的とする

  1. ステロイド薬(大量)
  2. 免疫抑制薬(強い)

②寛解維持療法:症状を落ち着かせた状態で再燃を防ぐことを目的とする。

  1. ステロイド(弱い)
  2. 免疫抑制薬(弱い)

第一選択はステロイド薬

  • 病状が重症:メチルプレドニゾロン500~1000mgを3日間点滴治療
  • 症状が軽度:プレドニゾロン1日30mg(5錠)程度を服用

→その後ステロイドを徐々に減らしていく。2~10mgずつ。ステロイドパルス療法

免疫抑制薬

  • 症状が重度:シクロフォスファミド 内服、点滴
  • 症状が軽度:アザチオプリン 内服
  • 大量ガンマグロブリン静注療法

大量ガンマグロブリン静注療法:好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(旧称:チャーグ・ストラウス症候群)の神経障害の改善(ステロイド薬が不十分な場合に限る)※2010年保険適応となっている。5日間連続点滴高額(1クール:体重50kg で薬剤費107万円、(自己負担9万~16万円)。

ステロイド薬中止の際の注意点

  • 病気の再燃
  • ステロイド離脱症候群

好酸球性多発血管炎性肉芽腫症(EPGA)に対する理学療法について考える

EPGAの主要臨床症状は、先行する気管支喘息あるいはアレルギー性鼻炎と、血管炎によるものである。発熱、体重減少、末梢神経炎(多発性単神経炎)、筋痛・関節痛、紫斑、胃・腸の消化管出血、肺の網状陰影や小結節状陰影、心筋梗塞や心外膜炎、脳梗塞・脳出血などである。多発性単神経炎は、急性症状が改善してからも、知覚や運動障害が遷延することがある。

とあるが、多発単神経炎による両足部の感覚重度鈍麻、強い痺れ、強い痛みを呈している症例もいる。また、足部と比較すると弱くADL上の支障はないののの領手のしびれを伴っているケースがいる。

理学療法の評価で足部の痛み、しびれについて詳細に確認していくと、痛みは、血管の中にささくれがあってそれが引っかかれるような痛み、しびれは血管の外側で全体的にはれぼったく、びりびりしているとのこと。また、足自体が火傷したような、雪の中に足をうずめて凍傷したような感じもあるとの訴えがある場合があった。

実際下肢の筋力維持を目的として介入を試みたが、足部以外の大腿や下腿への筋力トレーニングやモビライゼーションなども実施する際は特に症状の増悪はなく実施可能であったものの、夜間に疼痛・しびれの増悪を認めたため、症例より実施することに対する恐怖感があり、負担も大きいため実施は困難であり、ADL上は何とかシャワー浴まで自立可能な方がいた。

ケースを想定して、理学療法を考えると

問題点

  1. 疼痛・痺れによる下肢運動実施困難
  2. それに伴う下肢の廃用性筋力低下
  3. 全身の活動性低下(立位・歩行困難、日中活動量低下)

が考えられた。

下肢へのアプローチについて

OKC、CKCでのアプローチは直接的に行うと困難であるため、当然立位~歩行練習は現状では実施は困難なため別にアプローチを考える。

座位は可能であり、足底を床に設置することは可能であり、夜間の増悪もなく可能であることから、姿勢反応を利用した下肢の筋活動を用いて介入していくことが良いのではないかと考えた。

①両側の足底を床に設置した状態での棒体操・リーチ練習

 側方、上方への上肢運動を行うことにより、カウンターアクティビティや床反力の変化を利用し下肢の足底への感覚入力や筋活動を誘発させる。夜間の疼痛の変化を確認しながら、徐々に前方リーチや輪投げなどを利用し課題施行型のアプローチを実施する。

②セルフ感覚入力

 自己にて可能な範囲で足部をさするような軽い感覚入力を実施してもらう。他者の介入より自分の感覚でしびれの増悪のない範囲で調整してもらうことで徐々にしびれに慣れていくことを目指す。可能なら足底を床に着けて少し踏みつけることやボール転がしなども夜間の疼痛がないかどうかの様子を見ながら実施するが、無理をせず行う。

③ホットパック

 温めることで症状が寛解する場合があるため、実施を試みる。

終わりに

上記模擬症例のような症状の方でも、最終的に歩行レベルまで改善しました。痛み、しびれの程度を確認しつつ長い経過ではありますが、改善を認めることができたと思います。血管炎の状況がADLに大きく影響しますのでどちらかというとそちらに合わせていくようなリハビリが必要であると感じています。あまり、リハビリで経験することが少ないケースなので、参考になればと思います。

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