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横隔膜を鍛えよう-横隔神経麻痺と腹式呼吸-

2020 6/13
横隔膜を鍛えよう-横隔神経麻痺と腹式呼吸-
目次

クリニカルクエスチョン

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横隔神経麻痺の患者さんを担当することになりました。なかなかリハビリで関わる機会が少ないのでどう介入するか悩んでいます。

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横隔神経の支配領域として、横隔膜が重要ですよね。まずは、横隔膜について一緒に振り返ってみましょうか。

横隔神経の支配領域

横隔神経(おうかくしんけい)は、主にC4から起こり、C3、C5の頸神経からの補助枝からなる、横隔膜を支配する神経。 横隔神経は、運動神経、感覚神経、交感神経の繊維を含む。

 横隔膜は、この神経のみで運動と感覚を支配されている。 感覚神経は、腱中心からの情報を受け取る。

wikipedia 横隔神経

横隔神経麻痺の方では、横隔膜の機能に問題が起こります。

横隔膜の機能について情報収集とアセスメント

情報収集

  • 横隔膜は、胸腔と腹腔との境界にある膜状筋のことで、呼吸において重要な役割を担う。
  • 起始部は腰椎部、肋骨部、胸骨部の3部からなる。
  • それぞれの部から出る筋束は、全体としてドーム状(円蓋状)に胸腔に向かって盛り上がっている。
  • その中央部は腱中心と呼ばれる腱膜によって構成される部位であり、横隔膜の停止部である。
  • 横隔膜の上面は、胸内筋膜と胸膜、下面は腹横筋膜と腹膜により覆われている。横隔膜には大動脈裂孔、大静脈孔、食道裂孔があり、それぞれ下行大動脈、下大静脈、食道が通っている。
  • 吸気により横隔膜が収縮すると下降する。それにより胸腔が拡張するため、下気道へ空気が流入し、肺が拡張する。
  • 支配する神経は横隔神経で、おもにC4の頚神経と、C3、C5の補助枝からなる。そのため、C4より上位の頸髄損傷により、換気量の低下が起こる。
  • 長期人工呼吸管理が必要な頸髄損傷は、C1損傷で85%、C2損傷で72%、C3損傷で40%、C4~5損傷で15%未満であった。
  • 横隔膜へは、内胸動脈由来の心膜横隔動脈と筋横隔動脈、胸部大動脈由来の上横隔動脈、肋間動脈が上方から、下横隔動脈が下方から血流を供給する。
  • 横隔膜の脚とは右脚と左脚があり、ともに腰椎に付着している。左脚はL2、右脚はL3に付着している。
  • 体幹が後彎した際、横隔膜の脚は伸長され、下方に固定させる。呼吸により断続的に起こる吸気はさらに横隔膜を下方に引き下げるが、横隔膜上筋膜に連結した線維性心膜も一緒に下方へ引き下げられる。これにより胸郭上口にある胸膜上膜層の連結をもつ胸膜と繊維精神膜の間の滑走が生じる

アセスメント

  • 横隔膜は胸腔内圧を陰圧にするために重要な働きをしているため、機能不全になると、吸気量が減少することが予想できる
  • 横隔膜の麻痺により横隔膜が収縮できないと胸腔を下に引っ張る作用が欠如するため、胸腔が陰圧にならないため吸気が起こらない可能性があり、この場合陽圧呼吸が必要になる
  • 腹式呼吸は横隔膜呼吸とも言われており、横隔膜の下降による吸気の発生を重視している
  • 横隔膜は筋肉であるため筋トレが可能
  • 腹式呼吸の練習=横隔膜の筋トレ的な要素があり、横隔神経麻痺に対する横隔膜の機能回復的な目的になるのではないか

横隔神経麻痺について情報収集とアセスメント

情報収集

  • 術後両側横隔神経麻痺は1回換気量の低下による呼吸不全を生じる
  • 陽圧呼吸換気による術後管理が必要となることが多い。
  • 気管切開可能な症例では気管切開により呼吸管理が容易となる。
  • 腹式呼吸の取得や呼吸補助筋のリハビリを行うことで1回換気量の改善を図ることが重要である。
  • 呼吸不全の原因が明らかに両側横隔神経麻痺で、リハビリでの改善を得られない場合には、横隔膜縫縮術を検討する必要がある。
  • 縦隔操作が両側に及ぶ胸部外科手術では、術後両側横隔神経麻痺が発生する可能性を念頭に置く必要がある。術後両側横隔神経麻痺を生じた際には陽圧呼吸換気や呼吸筋リハビリ、横隔膜縫縮術などの術後管理が必要となる。

参考資料:第116回日本外科学会定期学術集会 術後両側横隔神経麻痺による呼吸不全

アセスメント

  • 横隔神経麻痺で視るべきポイント
  • 1回換気量の低下→呼吸不全
  • 陽圧呼吸管理の術後管理が必要なケースかどうか
  • 腹式呼吸の取得、呼吸補助筋のリハビリで1回換気量の改善を図ることが重要

一回換気量の改善が重要になるようですね。

陽圧換気という言葉が出てきましたが、横隔膜の働きを考える上で重要になるため通常呼吸と人口呼吸(陽圧換気について整理しておきましょう。

通常呼吸と人工呼吸(陽圧換気)

陽圧と陰圧の理解

  • 気道における陰圧とは、萎む方向に働く力で、陽圧は膨らむ方向にかかる力。
  • 経肺圧とは気道内圧(肺の内部)と胸腔内圧(肺の外部)の差のこと
  • 気道内圧は肺の内側からかかる圧力
  • 胸腔内圧は肺の外側からかかる圧力
  • 陽圧は押す力、陰圧は引く力

通常の呼吸

  • 吸気では、横隔膜の収縮(下に引っ張られる状態)と肋間筋の収縮(胸が膨らむ状態)により胸郭が膨らむ
  • →胸腔では内圧が低下し陰圧になる(胸腔内圧=肺の外側からかかる圧力)
  • →経肺圧が開大する(気道内圧と胸腔内圧の差が大きくなる)
  • →圧差により空気が流入し、肺が伸展、膨張する→これが吸気
  • 呼気では、吸気で収縮した横隔膜と肋間筋が弛緩して横隔膜が上方へ戻る。肋間筋は、胸が縮む方向へ動き、胸腔内の陰圧も消滅する。
  • 呼気時にはまた、吸気で膨らんだ肺胞が、その弾性収縮力により縮もうとする。これにより肺内のガスは、再び気道を通り、口や鼻から体外へ吐き出される。
  • 肋間の収縮を多く行うと胸式呼吸、横隔膜の収縮を多く行うと腹式呼吸になるようなイメージ

人工呼吸(陽圧換気

  • 陽圧換気:肺が膨らむ(気道内圧が陽圧)→胸腔内の体積が減る→胸腔内も陽圧になる→胸郭が膨らむ。
  • つまり人工呼吸時の吸気では、胸腔内圧が陽圧に転じる部分が生じる。
  • 胸腔内が陽圧になると、胸腔内の静脈にも外側から押す力がかかるため、血管を圧迫し、静脈還流量が減少することで、生体にさまざまな影響を及ぼす。(単純に後負荷減少→一回拍出量低下なども起こると思われる)
  • 呼気は、人工呼吸も自然呼吸も同様で、胸郭と肺胞の弾性によって呼出が行われる。ただし、呼吸回数を設定している場合などは、間接的に呼気時間を規定しているということに留意する必要がある。

呼吸のメカニズムを知っておくことで現象を理解し、臨床中のアセスメントに繋がります。頭に入れておくことが重要ですね。

横隔膜を鍛える方法

導入

  • 横隔膜は筋肉であり、鍛えることが可能です。
  • 横隔膜の作用として考えると、吸気時に下方へ引き下げる作用であり、それを中心とする呼吸が腹式呼吸(横隔膜呼吸)です。
  • 腹式呼吸を用いて横隔膜の筋トレをする方法を1つご紹介します。

腹式呼吸とは、吸気時にお腹を膨らませて、呼気時に凹ませる呼吸です。

筋トレ方法

  1. うつぶせになります。
  2. お腹の上に何でもいいのですがおもりを乗せます。
  3. 息を吸ったときにお腹をふくらませることによって重りを持ち上げるようにします。
  4. これを10回~20回行います。

重りは500g程度から試し、可能であれば徐々に重くしていくとより負荷をかけることができると思います。

まとめ

横隔膜の働きと横隔神経麻痺について理解し、呼吸のメカニズムと横隔膜の筋トレについてみてきました。横隔神経麻痺で横隔膜の活動が弱いけど得られている場合は筋トレをしてみるのは1つの手段として有効な可能性が考えられています。横隔神経麻痺の場合(特に両側性)一回換気量を増加させるためにも、筋トレが重要ですね。また、それ以外にも、胸郭が拡張している状態では吸気ができないので、胸郭を下制(萎める)動きが出るように周囲のモビリティについても診ていくことも重要かと思います。

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