脳卒中リハビリプログラムの立て方!病期別の評価と目標設定

当ページのリンクには広告が含まれています。
脳卒中リハビリプログラムの立て方!病期別の評価と目標設定
  • URLをコピーしました!

脳卒中患者さんのリハビリを担当することになったものの、病期や症状によってどうプログラムを組み立てればいいのか、判断に迷ってしまうことってありますよね。

この記事を読んでいただくと、急性期から回復期、生活期まで体系立てたプログラム構成が頭の中で整理でき、症状に応じた運動療法や評価の選び方が見えてくるはずです。

病期別のプログラム設計はもちろん、運動麻痺やバランス障害、高次脳機能障害への対応、そして評価に基づく目標設定という4つの視点から、プログラム作成の考え方を一緒に整理していきますね。

理学療法士としての専門知識と、公的な資料や標準的なエビデンスの両面から丁寧にまとめていますので、ぜひ最後まで読んでいただけると嬉しいです。

目次

脳卒中リハビリは病期別プログラムで効果を最大化できる

脳卒中リハビリは病期別プログラムで効果を最大化できる

脳卒中のリハビリは、やみくもに運動すればいいわけではありません。

日本脳卒中学会や厚生労働省の指針でも「急性期」「回復期」「生活期」の3段階で体系化され、回復過程に合わせたプログラムが効果を高めるカギとされています[1]。

  • 急性期:廃用症候群や合併症を防ぎ、早期の座位・立位を目指す時期
  • 回復期:神経可塑性を活かし、麻痺側機能や歩行・ADL(日常生活動作)自立に取り組む時期
  • 生活期:獲得機能を維持し、QOL(生活の質)向上や社会参加、再発予防を進める時期

「今この患者さんはどの段階にいるのか」という視点も、プログラム立案のヒントになるかもしれませんね。

急性期は廃用予防と早期離床でプログラムを組み立てる

リスク管理を踏まえた離床基準の設定

急性期は廃用予防と早期離床が最優先です。ガイドラインでは十分なリスク管理のもと、発症後24〜48時間以内の離床が推奨されています[2]。ただし、AVERT試験では24時間以内に高頻度・高用量の離床を行った群でかえって転帰が悪化したとの報告もあり、血行動態を厳密にモニタリングしながら進める必要があります(「早ければ早いほど良い」わけではないんですね)[2]。

良肢位保持と早期からの関節可動域訓練

安静臥床が続くと関節拘縮や筋萎縮といった廃用症候群が進みます。

回復期は機能回復とADL自立を軸に設計する

回復期は機能回復とADL自立を軸に設計する

回復期は神経可塑性が最も働きやすい時期で、脳卒中治療ガイドラインでも、ADLや在宅復帰率を高めるための集中的なリハビリが強く勧められていますね。

(とはいえ、ただ量をこなせばいいという単純な話でもないんですが…)

運動麻痺への課題指向型練習を軸にする

上肢にはCI療法(Constraint-Induced Movement Therapy、健側の使用を制限し患側の使用を促す訓練法)や課題指向型練習、機能的電気刺激などを、下肢には装具を用いた早期歩行練習を中心に組み立てます。近年はロボット支援訓練やVRを取り入れる報告も増えていますね。

基本動作練習からADL練習へ段階的に発展させる

寝返り・起き上がりといった基本動作から、食事・更衣・トイレ動作へと段階的に難易度を上げることが、ADL自立への近道だと感じています。

装具療法を組み込み歩行の質を高める

下肢装具を歩行練習に組み込むことで、異常な運動パターンを抑えながら練習量をこなせるようになる点も見逃せないところですね。

生活期は活動と参加を高める維持プログラムへ移行する

生活期に入ると、目指すゴールが変わってきますね。

機能回復そのものよりも、「その能力をどう生活の中で使うか」に焦点が移っていくといったところです。

訪問・通所リハでの目標設定を再構築する

回復期のように週何単位も介入できるわけではないので、目標も生活密着型に再構築する必要があります。

  • 屋内ADLの安定
  • 趣味や社会参加の再開
  • 転倒せずに過ごせる環境づくり

といった視点で、本人・家族と一緒にすり合わせていく感覚ですね。

自主トレーニング指導で介入頻度低下を補う

介入頻度がどうしても下がる分、自主トレの質が命綱になります。

評価結果に基づいて優先度の高い課題を見極め、無理なく継続できる量に絞って指導することが、生活期のプログラムでは特に重要になります。

バランス障害・協調性障害には多面的な運動療法を組み合わせる

バランス障害・協調性障害には多面的な運動療法を組み合わせる

バランスや協調性の問題には、筋力増強訓練・持久力訓練・協調性訓練・基本動作訓練など、複数のアプローチを組み合わせて行うのが一般的です[3]。

感覚統合を意識したバランス運動訓練

複数の運動課題をステーション形式で行う「サーキットトレーニング」は、歩行距離や歩行速度、バランス機能を改善させることがCochraneレビューで示されています(対象は主に地域生活を送る歩行自立度の高い脳卒中患者で、重度の合併症例への効果は別途検討が必要です)[4]。近年では二重課題やVR(バーチャルリアリティ)を組み合わせた訓練も報告されています[5]。

高次脳機能障害合併例はプログラム調整が不可欠となる

半側空間無視や注意障害、記憶障害などを合併すると、無視側の物や人への配慮が抜け落ちやすく、歩行やADL動作の中での転倒・事故リスクが高まります[6]。

多職種連携で認知面と運動面を統合する

認知面の評価は作業療法士や言語聴覚士との情報共有が欠かせません。多職種カンファレンスで方針をすり合わせることで、運動プログラムもより効果的に機能すると考えられます。

評価結果を反映したプログラム立案が予後を左右する

評価結果を反映したプログラム立案が予後を左右する

脳卒中リハビリでは、初期評価の精度がその後の予後を大きく左右しますね。

ブルンストロームステージ等の評価指標を活用する

ブルンストロームステージやFMA(Fugl-Meyer Assessment、運動機能評価)、SIAS(脳卒中機能障害評価法)、BBS(Berg Balance Scale、バランス評価)、FIM(機能的自立度評価法)といった標準化指標を用いて、運動麻痺・バランス・ADLを多面的に評価することが基本になります。

主観に頼った評価だけでは、過小な負荷設定で回復の機会を逃したり、逆に過大な負荷で転倒や代償動作を招いたりするリスクがあるからです。

(この評価をおろそかにすると、後々のプログラム修正が難しくなるんですよね…)

目標設定にICFモデルを取り入れる

心身機能・活動・参加という3つの階層で捉えるICF(国際生活機能分類)モデルを使うと、機能回復だけでなく、生活全体を見据えたゴール設定がしやすくなります。

病期ごとに定期的な再評価を行い、プログラムを適時修正していく姿勢が、機能的自立への近道ではないかと感じています。

現場経験から見るプログラム作成の落とし穴と工夫

以前勤めていた回復期病棟でカンファレンスの司会を担当していた頃、総合実施計画書のゴール設定でよく悩んでいました。

症状が重く、現状とゴールの差が大きいケースほど、目標の精度を保つのが難しいんですよね。

高すぎる目標を立ててしまうと、未達成のときにご家族との認識のズレからトラブルになりかねません(この怖さ、経験した人にしか分からないかもしれません…笑)。

そこで私が工夫していたのは、まず実現可能性の高い目標を設定し、ゴール時期が近づくにつれてより具体的な内容へ更新していくというやり方です。

主治医・セラピスト・看護師それぞれの認識をすり合わせながら、最終的な記載内容を決めていました。

書面に残るぶん責任も伴うので、「本当に実施できる内容か」を丁寧に確認する姿勢が欠かせないと感じています。

まとめ:脳卒中理学療法プログラムの立て方

まとめ:脳卒中理学療法プログラムの立て方

脳卒中の理学療法は、病期によって目的がはっきり分かれていますね。

  • 急性期:廃用予防と早期離床
  • 回復期:機能回復とADL自立
  • 生活期:活動と参加の維持

この役割分担を見失わずに、評価指標(ブルンストロームステージ、FIM、ICFなど)に基づいてプログラムを組み立てていくことが大切だと感じています。

(とはいえ、目の前の患者さんに合わせて臨機応変に対応する部分も多く、教科書通りにいかないのが臨床の面白さでもあり難しさでもありますよね)

一貫した視点を持ちつつ、その方らしい生活に寄り添うプログラムを一緒に考えていけたら嬉しいです。

引用文献

[1] 日本リハビリテーション医学会. 脳卒中のリハビリテーション. 日本リハビリテーション医学会. https://www.jarm.or.jp/civic/rehabilitation/rehabilitation_01.html. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月15日.

[2] リハビリくん. 急性期脳卒中の高頻度リハとは|48時間以内離床と14日設計. https://rehabilikunblog.com/acute-stroke-high-frequency-rehab/. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月15日.

[3] 健康長寿ネット(長寿科学振興財団). 脳卒中の運動療法とは. https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/shippei-undou/undou-nousocchu.html. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月15日.

[4] English C, et al. Circuit class therapy for improving mobility after stroke. Cochrane Database of Systematic Reviews. https://www.cochranelibrary.com/cdsr/doi/10.1002/14651858.CD007513.pub3/full. 2017年. アクセス日: 2026年09月15日.

[5] STROKE LAB. VR/MRによる二重課題トレッドミルトレーニングの効果と注意点、脳卒中リハビリ最新情報. https://www.stroke-lab.com/news/7725. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月15日.

[6] リハビリZONE岐阜. 脳卒中後の「半側空間無視」とは. https://rehab-zone.jp/explanation-of-hemispatial-neglect/. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月15日.

脳卒中リハビリプログラムの立て方!病期別の評価と目標設定

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次