ご家族がALSやパーキンソン病と診断されて、通院がだんだん難しくなってきた…そんな中で「訪問リハビリって私たちも使えるのかな」「どんな支援をしてもらえるんだろう」と、不安な気持ちで検索されている方も多いのではないでしょうか。
そのお気持ち、すごく分かりますね。
この記事では、訪問リハビリの役割や保険適用の基本、難病の種類ごとの支援内容、回数・時間の目安、そして依頼から開始までの流れを順番に確認していきます。
現役の理学療法士である私が、臨床経験に基づいて制度の要点と現場での支援内容を分かりやすく整理していますので、読み終える頃には「どう相談・準備を進めればいいか」が見えて、少し安心していただけるはずです。
難病患者は訪問リハビリで生活の質を保てる

通院が困難でも自宅でリハビリを継続できる
難病は進行に伴って体力や呼吸機能が低下し、通院そのものが大きな負担になっていくことが多いですよね。
そんな時、訪問リハビリなら自宅にいながらリハビリを継続できます。
実際に私が担当している方の中にも、難病や人工呼吸器を使用されている方が多くいらっしゃいます。
ある方は将来的に浴槽をまたげるようになることを目標にされていて、今はその前段階として関節可動域とバランス能力を整える練習を続けているところです(まだ本番の浴槽練習には入れていないのですが、こうした「準備期間」も含めて自宅でじっくり付き合えるのが訪問リハビリの良さだと感じています)。
通院という壁がなくなることで、無理に頑張って外に出るストレスからも解放されるのは、大きな安心材料になるのではないでしょうか。
PT・OT・STが症状に応じて役割分担する
訪問リハビリでは、PT(理学療法士)・OT(作業療法士)・ST(言語聴覚士)がそれぞれの専門性を活かして関わります。
- PT:歩行や起立などの基本動作、体力・呼吸機能の維持
- OT:食事や着替えなど日常生活動作、住環境の調整
- ST:発話や嚥下(飲み込み)機能の維持・改善
難病は症状の出方が一人ひとり異なるため、どの職種がどの割合で関わるかはケースバイケースになりますね(このあたりは、実際に依頼する段階でケアマネジャーと相談しながら決めていく形になります)。
費用は医療保険と介護保険のどちらかで受けられる

難病の訪問リハビリの費用は、要介護認定を受けているかどうかで、介護保険か医療保険かが決まるというのが大原則ですね。
- 要介護認定あり → 介護保険が優先
- 40〜64歳で特定疾病に該当せず認定を受けられない場合、または未認定の場合 → 医療保険での提供
「別表7」や「特別訪問看護指示書」という言葉も出てきますが、これらはあくまで「訪問看護」という別サービスの話であり、訪問リハビリ自体が医療保険扱いになるわけではないんです(ここ、私も最初は混同しそうになりました…笑)。
実際には、病院・診療所からの「訪問リハビリテーション」ではなく、訪問看護ステーションからPT・OT・STが訪問する「訪問看護からのリハビリ」を利用されている難病の方も多くいらっしゃいます。特に別表第七に該当する重い病気の方は、この訪問看護のルートで医療保険を使えることもあるので、選択肢のひとつとして知っておいていただけると嬉しいです。
制度がややこしく感じる方も多いと思いますが、まずは「介護保険が優先」という軸だけ押さえておけば十分ですよ。
詳しくは難病の訪問リハビリは介護保険が原則!医療保険との違いを解説をご覧ください。
指定難病の種類により訪問リハビリの目的が異なる

難病といっても、種類によってリハビリの目指すところは大きく変わります。「難病だから同じようなリハビリをする」というイメージを持たれがちですが、実際は疾患の進行スピードによって目標設定がまったく違ってくるんです。
ALS・パーキンソン病など進行性疾患は機能維持が目標
ALS(筋萎縮性側索硬化症)やパーキンソン病のように症状が進行していくタイプの疾患では、「今できることを、できるだけ長く保つ」というのが基本目標になります。
- 筋力や関節可動域の維持
- 呼吸機能の維持(誤嚥や痰の排出のしやすさを保つ視点も含む)
- 転倒などの二次的なトラブルを防ぐこと
(正直なところ、進行性の疾患は「良くする」ではなく「悪化を遅らせる」という発想への切り替えが必要で、私自身も最初は戸惑いました…)
脊髄小脳変性症など進行が緩やかな疾患は生活動作を重視
一方、脊髄小脳変性症のように進行が比較的緩やかな疾患の場合は、日常生活の動作を安全に・スムーズに行えるようにすることに重点を置くことが多いです。
- 歩行やバランス練習
- 自宅内での移動動作の工夫
- 入浴や着替えといった生活動作の練習
自宅という実際の生活の場でリハビリができるのは、訪問リハビリの大きな強みだと感じています。同じ「難病」でも、疾患ごとにアプローチの方向性が変わる点を知っておいていただけると嬉しいです。
訪問リハビリの回数・時間は症状の重さで調整される

訪問リハビリは「決まった時間・決まった回数で一律に提供されるもの」ではなく、症状の重さや体調に合わせて調整されるサービスですね。
このあたりは意外と知られていないポイントかなと思います。
時間の目安
- 全身状態が不安定・疲れやすい場合:20分〜40分(1〜2単位)
- 状態が安定し積極的な訓練ができる場合:40分〜60分(2〜3単位)
介護報酬上は「1回20分」が基本単位となっており、そこから体調に応じて積み増ししていくイメージです[1]。
回数の目安
- 原則:週6回(週120分)まで
- 退院・退所直後など集中的な回復が必要な時期は、特例で週12回(週240分)まで拡大可能[1]
さらに、こうした頻度や時間は一度決めたら終わりではなく、およそ3か月に1回のリハビリ会議や医師の評価を通じて見直されていく仕組みになっています。
「今の頻度で本当に合っているのかな」と不安になったときは、次の会議のタイミングで担当者に相談してみる、という視点を持ってみるのもおすすめです(とはいえ、遠慮して言い出せない方も多いんですよね…)。
なお、介護保険の適用範囲や医療保険との使い分けについては別記事で詳しく解説していますので、そちらも参考にしていただけると嬉しいです。
依頼から利用開始までの流れと家族が注意すべき点

主治医に相談し訪問リハビリ事業所を選ぶ
訪問リハビリを始めるには、まず主治医に相談し、リハビリの必要性を確認してもらうのが最初の一歩になりますね。
その上で、ケアマネジャーや病院の相談窓口を通じて事業所を探していくのが一般的な流れです。
私自身、以前勤めていた回復期リハビリ病院で退院支援に関わっていた頃、ご家族から「どの事業所を選べばいいですか」と相談されることがよくありました。
ただ、特定の事業所を名指しで勧めるのは営業的な話になってしまうため、立場上なかなか難しくて…(このもどかしさは今でも覚えています(笑))。
ですので、まずはご本人・ご家族の希望を、そのままケアマネジャーへ伝えていただくのがおすすめですね。
病状の変化に応じて事業所と情報共有を続ける
難病は、症状が進行したり、逆に落ち着いたりと変化していくものですよね。
利用開始後も、体調の変化があれば遠慮なく事業所に伝えていただけると嬉しいです。
- 症状が進行してきた
- 新しい症状が出てきた
- 逆に落ち着いてきた
こうした変化を共有することで、訪問回数や時間、リハビリ内容を柔軟に調整してもらいやすくなりますよ。
(保険の仕組みについては別記事で詳しく解説していますので、そちらも参考にしていただけると嬉しいです)
まとめ:難病患者の訪問リハビリ利用のポイント

ここまで、難病の種類によって訪問リハビリの支援内容が変わること、症状の変化に合わせて回数や時間が調整されることなどをお伝えしてきましたね。
最後に、家族の方が押さえておきたいポイントを整理しておきます。
- 疾患の種類(進行性か緩徐進行性か)によって、支援の方向性が変わるという前提を知っておく
- 症状の変化に応じて、リハビリの回数・時間は固定ではなく調整されていくものだと理解しておく
- 保険適用の仕組みは複雑なので、まずは概要だけ押さえておけば十分(詳しい内容は別記事で解説しています)
- 依頼から開始までの流れは、まずケアマネジャーや主治医に相談するところからスタートする
正直なところ、私自身もまだ訪問リハビリの経験は2年目で、日々学ばせてもらっている最中です(病院時代に培ったスキルが今の土台になっている、という感覚が強いですね)。
だからこそ、分からないことは一人で抱え込まず、事業所やケアマネジャーに遠慮なく聞いていただけると嬉しいです。
「誰に、何を、いつ聞けばいいか分からない」という不安が、少しでも軽くなるお手伝いができていれば幸いです。
引用文献
[1] 公益社団法人全国老人保健施設協会. 指定居宅サービスに要する費用の額の算定に関する基準(訪問通所サービス、居宅療養管理指導及び福祉用具貸与に係る部分)及び指定居宅介護支援に要する費用の額の算定に関する基準の制定に伴う実施上の留意事項について(老企第36号). https://hourei.roken.or.jp/detail.php?uid=17. 平成12年. アクセス日: 2026年09月05日.





