「退院前に家屋訪問(家屋調査)をしましょう」と言われたものの、当日何をされるのか、何を準備すればいいのか、正直よく分からなくて不安…という方も多いのではないでしょうか。
(私自身、初めて家族として立ち会う方を見ていると、その戸惑いがすごくよく伝わってくるんですよね)
この記事では、家屋訪問の目的や当日の流れ、玄関・トイレ・浴室・寝室といった場所ごとのチェックポイントを整理して、ご家族として何を準備し、何を伝えればいいのかが分かるようになる内容をお届けしていきますね。
回復期リハビリ病院に勤務していた頃、数多くの家屋訪問に同行してきた経験がありますので(当時は毎回バタバタで、恥ずかしながら準備不足で慌てたこともありました…(笑))、その視点をできるだけそのまま、分かりやすくお伝えできればと思っています。
家屋訪問は退院前の生活動線を安全にする第一歩

入院が長引きそうな患者さんには、医師の指示のもと「退院前訪問指導」として、私たちが実際にご自宅へ伺い、玄関やトイレ、浴室の段差・手すりの位置・生活動線を確認する制度がありますね。
病院のフラットな床とは違い、住み慣れたご自宅だからこそ気づける危険箇所も多いんです。ただ、住み慣れた場所だからこそ、ご本人がどこに掴まれば安全か、どう動けば楽かを体で覚えていることもあります。(回復期病院時代、家屋調査に同行すると、危険な箇所は多いはずなのに「病院より自宅の方が動けている」という方に何度も出会いました)。
こうした事前の確認が、転倒予防や住宅改修・福祉用具の選定につながり、退院後の暮らしを安全にスタートさせる第一歩になっていきますよ。
家屋訪問は家族の同席と情報共有が成功の鍵になる
家屋訪問はご家族が同席してくださると、より実りある時間になります。生活動線の課題や介助の工夫を共有いただくと、リハビリ計画が具体的になりますね。可能であれば、担当のケアマネジャーや福祉用具の専門相談員にも同席していただけると、なお心強いです。退院後のケアプランについて話し合う機会を兼ねて、この日に予定を合わせていただくケースも多いんですよ。
家族が準備すべき書類と伝えるべき生活状況
お薬手帳や既往歴のメモ、利用中の介護保険サービス、普段の一日の過ごし方が分かるメモがあると助かります。(当日バタバタする気持ち、分かります…笑)少しのメモで話がスムーズに進みますよ。
普段の介助方法や困りごとを具体的に伝える
「トイレの時はこう支えている」「お風呂で不安がある」など具体的に伝えていただけると、実際の生活に即した提案がしやすくなります。浴室動作は別記事で詳しくお伝えしますので、ここでは「困っていることを遠慮なく伝える」ことの大切さだけ覚えておいてください。
玄関・廊下・階段は段差と手すりの位置が重要

玄関や廊下、階段は、住環境の中でも段差と手すりの位置がとても重要になる場所ですね。
玄関の上がり框は手すりと踏み台で解決できる
玄関の上がり框は段差が大きく、転倒リスクが高い場所の一つです。
手すりの設置に加えて、踏み台を置いて段差を小さく分割することで、無理なく昇り降りできるケースが多いですね。
高さや位置は、実際の生活動作に合わせて調整することが大切だと感じています。
廊下と階段は歩行補助具の通行幅を確認する
廊下や階段では、歩行器や杖などの歩行補助具が問題なく通れる幅があるかを確認しておくことも欠かせません。
せっかく手すりを設置しても、通行幅が足りず補助具が使いにくいということもあり得ますので、実際の生活動線に合わせて確認していただけると嬉しいです。
トイレは立ち座り動作の自立度で改修を判断する
便座の高さと手すり位置が自立度を左右する
トイレの改修で意外と見落とされがちなのが、便座の高さと手すりの位置ですね。
立ち座り動作がギリギリ自立できているかどうかは、この2点で大きく変わってきます。
- 便座が低いと、立ち上がる際の膝や股関節への負担が増える
- 手すりの位置が体格や動作パターンに合っていないと、かえって使いにくくなる
(実際、良かれと思って設置した手すりが、逆に本人の動きの邪魔になっていたケースも見聞きします…)
本人が普段どう動いているかを踏まえて、高さや位置を決めていくという視点が大切ですね。
改修前には、実際の動作を見ながら微調整していただけると安心です。
浴室は転倒リスクが高く入浴動作の確認が要る

浴室は温度差による血圧変動や、浴槽をまたぐ動作でのバランス崩れなど、入浴中で特に転倒が起きやすい場所なんですね。
(本人も気づきにくいリスクなので、家族が「危ないかも」と感じたら遠慮なく専門職に相談していただけると嬉しいです)
浴室での入浴動作の確認や転倒予防について詳しくは訪問リハビリの入浴訓練とは?介助との違いや転倒予防法を解説をご覧ください。
寝室はベッド周りの動線と用具配置がポイント
ベッドの高さと手すりで起き上がりを支援する
ベッドの高さは、端に座ったときに足の裏がしっかり床につく高さが目安ですね。
高すぎると足がつかず不安定になりますし、低すぎると立ち上がりに余計な力が必要になってしまいます。
起き上がり用の手すりを設置すると、寝返りから座位、立ち上がりまでの一連の動作がぐっと安全になりますよ。
車椅子や歩行器の回転スペースを確保する
車椅子や歩行器を使う場合は、ベッド周りに方向転換できるスペースを確保しておくことも大切なポイントです。
家具の配置を少し見直すだけでも、動線がかなりスムーズになるケースが多いですね。
こうした住環境の細かい調整は、訪問リハビリの中で継続的に見直していく視点を持ってもらえると嬉しいです。
玄関からの屋外動線は外出練習にもつながる

玄関から敷地内、そして近所へと少しずつ歩く範囲を広げていく屋外歩行練習は、自宅内練習の延長線上にある段階的な負荷アップの一つなんですよね。
段差や坂道、交通量など、自宅の中には無い刺激にどう備えるか、そしてご家族にどんな見守りをお願いしたいのか…といったところは、なかなか奥が深いテーマです(正直、私も「歩けているから大丈夫」と思い込んで、いざ外に出たら緊張度合いに驚かされた経験があります…笑)。
「欲張らず、いつでも休める・戻れる経路にしておく」という視点は、玄関先の練習から公共交通機関の利用練習まで、共通して意識していただきたいポイントですね。
詳しくは訪問リハの外出練習!安全に進めるコツと家族の見守り方をご覧ください。
家屋訪問の結果は住宅改修プランに反映される
家屋訪問で確認した段差や動線の課題は、そのまま住宅改修プランに反映されます。
住宅改修は介護保険で20万円まで補助される
介護保険を使うと、原則20万円を上限に補助を受けられます[1]。手すり設置や段差解消が対象ですが、上限があるため優先順位を考えてプランを立ててください。
福祉用具レンタルも家屋評価がヒントになる
歩行器や手すりなどのレンタルも、家屋評価で見えた生活動線がヒントになります。住宅改修と併せて、どちらが本人に合うか検討する視点も持ってみてください(実際に自宅を見ないと判断が難しい点でもあります)。
退院後も訪問リハビリで住環境を再評価する

退院時の家屋調査で環境を整えたとしても、それで終わりではないんですよね。
実際に自宅で生活を始めてみると、想定していた動作と違う場面が出てくることも少なくありません。
退院後の訪問リハビリでは、実際の暮らしの中で、
- 手すりの位置は本当に使いやすいか
- 導入した歩行器や杖が生活動線に合っているか
- 新しい環境での動作に無理が出ていないか
といった点を、暮らしながら確認・調整していくことができます。
生活の場そのもので継続的に見直せることこそ、訪問リハビリならではの強みだと私は感じていますね(とはいえ私自身はまだ訪問2年目なので、この視点は病院時代に培った家屋調査の経験が土台になっています)。
退院前訪問指導に関するよくある疑問
Q:退院前訪問指導は、回復期リハビリテーション病棟に入院していても受けられますか?
対象外というわけではありません。一般病棟に入院中の患者さんについては、「退院前訪問指導料」という制度が診療報酬上でも独立した項目になっています。一方、回復期リハビリテーション病棟に入院中の患者さんの場合、この訪問指導は病棟の入院料に含まれる形で提供される仕組みになっており、一般病棟のような別立ての算定区分にはなっていません[2]。
Q:実際に家屋調査(家屋訪問)をしてもらえるかどうかは、どこで確認すればいいですか?
対応できるかどうかは病院の体制によって差がありますので、詳しくは入院中の病院スタッフに確認していただくのが確実です。
まとめ:家屋訪問リハビリのポイント
ここまで、家屋訪問(家屋調査)についてお伝えしてきましたが、まとめるとポイントはシンプルですね。
- 家屋訪問は主に入院中に行われ、退院後は訪問リハビリの中で住環境の再評価が続いていくこと
- 実際の生活環境で動きを確認できるからこそ、退院後の暮らしやすさや安全性につながること
- 浴室動作や外出練習など、より詳しい内容は状況に応じて専門的に検討していく必要があること
(正直、私自身もまだまだ学びの途中です…笑)
住環境の調整は一度きりで完璧にする必要はなく、少しずつ調整していくものだという視点を持っていただけると嬉しいです。
引用文献
[1] 厚生労働省. 居宅介護住宅改修費及び介護予防住宅改修費の支給について(老企第42号). 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/web/t_doc?dataId=00ta4385&dataType=1&pageNo=1. 発行年: 平成12年. アクセス日: 2026年09月05日.
[2] 厚生労働省保険局医療課. 疑義解釈資料の送付について(その2)(令和8年度診療報酬改定). 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/12400000/001685126.pdf. 発行年: 令和8年(2026年). アクセス日: 2026年09月05日.





