ご家族が大腿骨を骨折して手術を受けたあと、「これから入院中のリハビリはどのように進み、退院後の生活はどう変わっていくんだろう…」と不安な気持ちで検索されたのではないでしょうか。
この記事を読んでいただくと、入院直後から退院後までの時期ごとのリハビリの進み方から、自宅でできる筋力トレーニングや歩行練習、転倒を防ぐための環境整備、そしてご家族としてできるサポートまで、退院後の生活の見通しがぐっと立てやすくなりますよ。
解決策としては、回復の段階に合わせたトレーニングと歩行練習を自宅で無理なく続けながら住環境を整え、自主トレだけでは難しさを感じたときには訪問リハビリという選択肢も取り入れていくことがポイントになります。
これからお伝えする内容は、理学療法士としての専門知識と、公的な制度資料の両面をふまえた、実践しやすく再現性のある方法ですので、安心して読み進めていただけると嬉しいです。
大腿骨骨折は自宅リハビリで歩行と生活動作の自立を目指せる

大腿骨頸部骨折と転子部骨折で異なる荷重制限の考え方
大腿骨頸部骨折と転子部骨折では、骨折部位や手術方法によって荷重をかけて良いタイミングが異なります。「もう歩けそうだから」と自己判断で負荷を上げるのは避けてください。必ず主治医や担当PTの指示範囲内で進めることが大前提です(飛ばすと再骨折のリスクにもつながりかねません…)。
自宅リハビリで目指すゴールと期間の目安
「大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021」でも急性期施設退院後のリハビリ継続が提案されており(推奨度2、エビデンスB)、自宅での取り組みには以下の効果が報告されています[1]。
- 筋力回復・歩行速度の向上
- 階段昇降やバランス機能の改善
- 転倒リスクの減少
- ADL(食事・着替え・移動などの日常生活動作)やQOL(生活の質)の改善
手術後は急性期・回復期・自宅の順で段階的にリハビリが進む
大腿骨骨折の手術後は、いきなり自宅の生活動作に戻るわけではなく、段階を踏んでリハビリが進んでいくんですね。
急性期(入院直後):早期離床と関節可動域訓練
手術翌日〜48時間以内といった早い段階から、ベッド上でじっとしすぎない工夫が始まります。
血栓症や肺炎などを防ぎつつ、起き上がりや立ち上がりの練習へとつなげていく時期ですね。
回復期(入院1~3か月):歩行再建と筋力強化
集中的にリハビリを行う病棟へ移り、1日最大9単位(3時間)ほどの練習で歩行や筋力の再建を図っていきます。
(正直、この密度の練習は本人にとってもご家族にとっても大変な時期だと思います…)
自宅期:生活動作への応用と習慣化
自宅に戻ってからは、実際の生活環境に合わせた動作の練習や再転倒予防が中心になります。
無理せず、通所・訪問リハビリなども上手に頼っていただけると嬉しいです。
自宅でできる下肢筋力トレーニングで再骨折を防ぐ

再骨折を防ぐには、下肢の筋力を維持・向上させることがとても大切ですね。
ただし、必ず主治医や担当PTの指示範囲内で行っていただくことが大前提です。(自己判断で負荷を上げてしまうと、思わぬケガにつながりかねません…)
大腿四頭筋・中殿筋を鍛える自主トレメニュー
再骨折予防でとくに意識したいのが、太ももの前側(大腿四頭筋)とお尻の横側(中殿筋)ですね。
- 椅子に座ったまま膝を伸ばす運動
- 横向きに寝て脚を持ち上げる運動
こうした運動は自宅でも取り組みやすいメニューといえます。
荷重制限がある時期に行う関節可動域訓練
荷重制限がある時期は「動かせないから何もしない」のではなく、関節が固まらないよう可動域訓練を続けることが重要ですね。
- 足首の曲げ伸ばし
- 膝の曲げ伸ばし(痛みのない範囲で)
という視点を持ってみるのもおすすめです。
(とはいえ、どこまで動かして良いかは骨折の状態によって全く異なりますので…)必ず担当PTに確認しながら進めていただけると嬉しいです。
歩行器・杖の正しい使い方で自宅歩行練習を安全に進める
歩行器から杖へ移行するタイミングの見極め方
歩行器から杖へのステップアップは、ご家族が「もう大丈夫そう」と感じたタイミングではなく、担当PTの評価をもとに判断していただきたいところですね。
見極めのポイントとしては、以下が目安になります。
- 平らな場所で歩行器がなくてもふらつかず立てているか
- 方向転換や振り返り動作が安定しているか
- 患側への荷重に痛みや不安がないか
(正直なところ、ご家族の「良かれと思って」の判断が、思わぬ転倒につながるケースは少なくないんですよね…)自己判断での移行は避けていただけると安心です。
段差や階段を安全に上り下りするコツ
基本は「良い方の脚から上り、悪い方の脚から下りる」という原則がありますね。
ただし術後の荷重制限は人それぞれ異なるため、必ず主治医・担当PTの指示範囲内で行うようにしてください。
手すりがある場合は積極的に活用し、無理に杖と併用しようとしない、という視点も持ってみるのもおすすめです。
自宅の環境整備で転倒・再骨折のリスクを減らせる

大腿骨骨折の術後、一番怖いのはやっぱり「再骨折」ですよね。
一度骨折を経験すると、転倒への恐怖から動きがぎこちなくなり、それがかえって転倒リスクを高めてしまう悪循環も起こりがちです。だからこそ、自宅の環境を整えておくことがとても大切になってきます。
トイレ・浴室・寝室に手すりを設置するポイント
特に転倒しやすいのが、動作の切り替わるタイミングです。
- トイレ:立ち座りの動線に合わせて設置
- 浴室:またぐ・立つ動作を支える位置に設置
- 寝室:ベッドから起き上がる導線上に設置
「なんとなくこの辺かな」で決めると使いにくい位置だった…ということもあるので、担当のPTさんに一度見てもらうのがおすすめです。
段差解消と床材選びで転倒を防ぐ
- 敷居やラグの段差はスロープや撤去で解消
- 滑りにくい床材・マットを選ぶ
- 夜間の足元を照らすフットライトの活用
昔は「気をつければ大丈夫」と思いがちでしたが、環境そのものを変える方が確実だと感じています。
家族の声かけと見守りが高齢者の回復を後押しする
不安を軽減する声かけと見守りの距離感
手術後は、ご本人が「また転んだらどうしよう」という不安を抱えていることが多いですね。
家族の見守りは、ぴったり張り付くのではなく、少し離れた位置から見守る距離感がおすすめです。
- 転びそうな時にすぐ支えられる位置に立つ
- 急かさず、本人のペースを待つ
- できたことを一緒に喜ぶ声かけをする
「見守られている安心感」と「自分でやれた達成感」の両方があると、回復への意欲につながっていくのではないかと感じています。
家族が知っておきたい禁忌動作と姿勢
一方で、術式によっては避けるべき姿勢や動作があります。
- 脱臼リスクのある深い股関節の屈曲・内旋・内転
- 過度なひねり動作
- 許可された荷重量を超える負荷
こうした点は、必ず主治医や担当PTから直接説明を受けていただき、自己判断で動作を広げないようにしていただけると安心です。
(迷った時は、遠慮せずリハビリスタッフに聞いてみてくださいね)
自宅リハビリの限界を感じたら訪問リハビリで解決できる

訪問リハビリの利用条件と保険適用の目安
自主トレや歩行練習を頑張っても「自宅の環境だと不安が残る」場合は、訪問リハビリの検討をおすすめします。厚生労働省の資料でも、訪問リハビリは「居宅要介護者について、その居宅において心身機能の維持回復を図り、日常生活の自立を助けるために行われるリハビリテーション」と定義されています[2]。理学療法士などが主治医の指示のもとご自宅に伺い支援します。
通院が難しい方や、通所だけでは家の中の動作自立が難しい方などが対象です。
- 生活環境に合わせた動作・歩行練習
- 手すり設置や福祉用具選びの助言
- 介助家族への指導、負担軽減
利用には要介護認定などの条件があるため、ケアマネジャーや主治医に確認しながら進めてください。
まとめ:大腿骨骨折の自宅リハビリ
大腿骨骨折の術後リハビリは、急性期→回復期→自宅という流れの中で、少しずつ「自分でできること」を増やしていく道のりですね。
自宅に戻ってからは、
- 主治医・担当PTの指示範囲を守ること
- 無理のない自主トレを継続すること
- 転倒しにくい環境を整えること
この3つを意識していただけると、回復のペースを保ちやすくなります。
とはいえ、「これで合っているのかな」と不安になる場面も、きっと出てくると思うんですよね。
そんな時は一人で抱え込まず、訪問リハビリという選択肢を頼ってみるのもおすすめです。
(無理をして頑張りすぎるより、頼れるものに頼るほうが、結局は回復への近道だったりするんですよね)
ご本人とご家族が、無理なく安心して過ごせる毎日につながれば嬉しいです。
引用文献
[1] 日本整形外科学会, 日本骨折治療学会. 大腿骨頚部/転子部骨折診療ガイドライン2021(改訂第3版)Clinical Question 12「急性期施設退院後のリハビリテーション継続は推奨されるか」. Mindsガイドラインライブラリ. https://minds.jcqhc.or.jp/common/summary/pdf/c00625.pdf. 2021年. アクセス日: 2026年09月23日.
[2] 厚生労働省老健局. 訪問リハビリテーション(社会保障審議会介護給付費分科会 資料4 第259回). 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716096.pdf. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月23日.





