肩の腱板断裂・腱板損傷と診断されて、「自宅でのリハビリ、何から手をつけたらいいんだろう…」と不安になっていませんか。
保存療法中なのか、手術後なのか、そして今がどの時期なのかによって、自主トレの内容も注意点も全く違ってくるんですよね。
この記事では、それぞれの状態・時期に合った自主トレメニューと、絶対に避けたい危険な動作、痛みが出たときの対処法まで丁寧にまとめています。
理学療法士としての専門知識と、各種ガイドラインという公的な資料の両面から解説していきますので、ぜひ最後まで参考にしていただけると嬉しいです。
腱板断裂・腱板損傷は保存療法と術後で自主トレが異なる

腱板断裂の症状と自主トレが必要な理由
腱板は一度断裂すると自然にくっつくことはありません。ただ、すべての腱板筋が同時に切れるケースは少なく、無事に残っている腱板筋やインナーマッスル、肩甲骨まわりの筋肉を活性化・強化することで肩の安定性をカバーできる場合が多いんです[1]。「切れているのに運動していいの?」と不安になる方も多いですが、残った機能を活かすための自主トレが必要になってくる、というわけですね。
保存療法か手術かは断裂の程度や年齢で判断される
保存療法(注射療法や運動療法)だけで約70%の方が症状が軽快すると報告されています[1]。
一方、手術後は話が全く違います。
- 修復した腱が骨にしっかりくっつくまで保護することが最優先
- 術後は約4週間ほど装具で固定
- 初期は手指・肘・肩甲帯など、手術していない部位から動かす
再断裂を防ぐため、段階を飛ばして負荷を急に上げることは避ける必要があります。
保存療法での自宅リハビリは段階的に進めると安全

保存療法を選んだ場合、自宅リハビリは「今どの時期にいるか」を意識しながら段階的に進めることが安全のカギになりますね。
痛みの強い急性期にいきなり頑張ってしまうと、かえって炎症を悪化させてしまうこともあるので注意が必要です。
振り子体操・棒体操で可動域を取り戻す
安静時の痛みが落ち着いてきたら、次は拘縮予防の段階に入ります。
- 腕の重みを利用した愛護的な振り子体操(コドマン体操)
- 健側の手や棒で支えながら動かす他動・自動介助運動
いずれも「痛気持ちいい」範囲にとどめるのがポイントです。
タオルやチューブでインナーマッスルを鍛える
可動域がある程度戻ってきたら、ようやく筋力強化の段階です。
まずは肩を動かさずに壁などへ力を加えるアイソメトリック運動から始め、負担なくできるようになってから低負荷のチューブでの内外旋運動へ進めていきます。
痛みの強さに合わせて負荷を調整する目安
(とはいえ、「早く良くなりたい」という焦りから段階を飛ばしたくなる気持ち、すごくよく分かります…笑)
ですが、痛みが強い時期の無理な自主トレは禁物ですね。
今の自分がどの時期にいるのか、担当のPTさんと確認しながら進めていただけると安心です。
術後リハビリの自主トレは時期別メニューが安全

腱板修復術後の自主トレは、時期を守って進めることが何より大切ですね。
日本整形外科学会でも、術後は約4週間の固定と2〜3ヶ月の機能訓練が必要とされています[1]。
焦って自己判断で負荷を上げると、再断裂のリスクにつながってしまいます(これは本当に避けたいところです…)。
術後早期(〜6週)は他動運動が中心
- 装具固定下での手指・手首・肘の運動
- 肩甲骨を寄せる運動
- 力を抜いた他動的な振り子運動
自力で腕を持ち上げる動作は、この時期はまだ禁止と考えていただけると安心です。
術後中期(6週〜3ヶ月)で自動介助運動を追加
医師の許可のもと装具を外し、健側の手で支えながらの他動運動や、テーブルスライドなど負担の少ない自動介助運動へ移行していきます。まだ自力だけで腕を持ち上げる自動運動には進まず、あくまで「介助あり」の範囲にとどめることがポイントです。
術後後期(3ヶ月以降)で筋力強化を進める
自動運動やチューブを使ったインナーマッスル強化を少しずつ開始する時期ですね。
ただし重い物を持つ動作やスポーツ復帰は、腱の強度回復を待って術後4〜6ヶ月以降が目安です。
無理せず、担当のPTさんと相談しながら進めていただけると嬉しいです。
自主トレで避けるべき動作と痛みへの対処法

再断裂につながりやすい危険な動作
自主トレ中、以下の動作は再断裂リスクを高めるので避けていただきたいところですね。
- 息を止めて力む動作:血圧が急上昇し、心臓にも負担がかかります[2]
- 反動をつけて腕を大きく振る動作:腱や関節を痛める原因になります
- 毎日同じ部位に強い負荷をかける:回復期間なしの連日実施はNGです[2]
- フォームが崩れた状態での継続:疲れてくると代償動作が出やすいので注意です
自主トレ中に痛みが出たときの対応
痛みや違和感が出たら、無理せずすぐ中止して安静にしてください(昔の私も「これくらい平気」と頑張りすぎて痛い目を見たクチなので…笑、無理は禁物です)。痛みが出ない範囲の可動域・負荷に調整し直すことも大切ですね。
病院・主治医に相談すべきサインの目安
- 安静にしても痛みが引かない
- 関節の腫れ・熱感がある
- 可動域が急に狭くなった
生活動作の工夫で自主トレの効果を高められる

自主トレを頑張っても、日常生活で肩に負担をかけていては効果が半減してしまいます。生活動作のちょっとした工夫も一緒に見直してみてください。
日常生活での肩のかばい方・使い方
- 腕を高く上げる動作(洗濯物を干す、高い棚の物を取るなど)はできるだけ避ける
- 重い物を持つときは、痛みのある側の腕1本で持たない
- 痛みが強い場合や、腕を急に大きく動かす使い方はしない
こうした基本を守るだけでも、肩への負担はかなり減らせます。
睡眠時の姿勢とサポーターの活用法
夜間痛がある方は、仰向けで寝て、痛む側の腕の下にクッションや丸めたタオルを入れると、肩関節への負担が和らぐことが多いです。
サポーターや三角巾は、医師や理学療法士から指示がある場合はしっかり活用しつつ、自己判断で長時間つけっぱなしにしないようにしましょう。
自主トレを無理なく継続するコツ
- 毎日同じ時間に、短時間でもいいので続ける
- 痛みが出たらすぐに中止する
- 「今日は60%の力でいいや」というくらいの気持ちで取り組む
無理をして頑張りすぎると、かえって回復が遠回りになるケースもあります。焦らず、コツコツと続ける姿勢を大切にしていただけると嬉しいです。
まとめ:腱板断裂・腱板損傷の自主トレを安全に進めるために

ここまで、保存療法と術後で自主トレの内容が大きく変わることをお伝えしてきましたね。
改めて大事なポイントを整理してみます。
- 保存療法:痛みの範囲内で、無理のない可動域訓練からスタート
- 術後:早期・中期・後期という段階を絶対に飛ばさない
- 共通:痛みが強いとき、腕を急に大きく動かす自主トレは避ける
(正直、自主トレを頑張りすぎて再断裂……というケースは、私自身も現場で見るたびに胸が痛みます)
自主トレは、あくまで医師や理学療法士の指導があってこそのものです。
「自分の判断でどんどん負荷を上げていく」というのは、治るどころか回り道になってしまうこともあるんですよね。
焦る気持ちはとてもよく分かりますが、60%の力で、今できる範囲を丁寧に積み重ねていくという視点を持ってみるのもおすすめです。
不安なことがあれば、一人で抱え込まず、担当の医師やセラピストに遠慮なく相談していただけると嬉しいです。
引用文献
[1] 日本整形外科学会. 腱板断裂・腱板損傷. 日本整形外科学会. https://www.joa.or.jp/public/sick/condition/rotator_cuff_tear.html. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月23日.
[2] 厚生労働省. 運動基準・運動指針の改定に関する検討会報告書(安全に運動を行うための注意事項). e-ヘルスネット. https://kennet.mhlw.go.jp/information/information/dictionary/exercise/ys-058.html. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月23日.





