自分の年収は、平均と比べて高いのか低いのか。周りと給料の話をする機会は少なく、よく分からないままになりやすいものです。
この記事では、厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)の公的な数字をもとに、理学療法士の給与を考えるときに確認したい数字と、その読み方を整理します。
平均年収の数字を、自分の年収とどう照らし合わせればよいかが分かるように、順に見ていきます。
理学療法士の給与を考えるとき、どの数字を確認すればよい?

厚生労働省の職業情報提供サイト(job tag)では、理学療法士の賃金(年収)は全国で443.6万円、平均年齢は36.2歳と示されています[1]。この数字は、令和7年の賃金構造基本統計調査の結果を加工して作成されたものです[1]。なお、この記事で使う有効求人倍率と求人賃金は、令和7年度の求人のデータで、賃金のデータとは集計の期間が異なります。
ただし、これはjob tagの参考値で、職種の区分に他の職種が含まれる場合があります。サイトにも、統計データはその職業のみを表しているとは限らないという注記があります[1]。また、平均は、ちょうど真ん中の人の年収(中央値)とは異なります。平均より低くても、多くの人より低いとは限りません。
1時間あたりの賃金の見方
job tagには、1時間あたりの賃金も載っています。一般労働者で2,282円、短時間労働者で1,993円です[1]。
一般労働者は、残業代と賞与を含む1時間あたりの賃金で、短時間労働者は、残業代と賞与を含まないものと注記されています[1]。年収や月給から単純に計算した金額ではないため、自分の時給と比べるときは、含まれる項目をそろえる必要があります。また、2つの金額は、算定の方法や、含まれる賃金の項目が異なります。そのため、この差を、待遇の差として直接解釈することはできません。
求人に関する数字との違い
ハローワークの求人賃金(月額)は、全国で27.6万円です(令和7年度)[1]。これは求人票に書かれた月額で、平均年収の443.6万円とは、集計の対象も、含まれる項目も異なります。そのまま比べることはできません。
job tagに掲載された全国の有効求人倍率は4.67(令和7年度)です。ただし、地域や希望条件によって求人状況は異なり、この数値だけで自分に合う職場の見つけやすさは判断できません。[1]
年齢階級別の平均は、どう読めばよい?
job tagには、年齢別の年収グラフも掲載されています[1]。グラフでは、年齢階級別の平均値は、20代から50代前半(50〜54歳で548.8万円)まで上がっていき、55〜59歳(525.2万円)でいったん下がります。60〜64歳の階級では592.6万円と最も高い値が示されていますが、この階級だけが高く、各年齢階級の人数や構成は示されていません[1]。
ただし、これは年齢階級ごとの平均値です。同じ人の年収の推移や昇給ペースを示すものではありません。すべての人がこの水準に達するわけではない点にも、注意が必要です。
経験が浅い時期でも、給与や昇給が気になるのは自然なことです。仕事を覚えるのと並行して、職場の給与制度を知っておくのも、一つの方法です。
自分の年収を、平均と比べるにはどうすればよい?

平均年収は、給与水準を考える参考値の一つです。全体のどの位置にいるかまでは分かりません。比べるときは、次の点をそろえます。
- 年齢と経験:job tagの平均年齢は36.2歳です[1]。自分の年齢や経験年数が、平均と近いかを見る
- 雇用形態:1時間あたりの賃金は、一般労働者と短時間労働者が分けて示されています[1]。集計の区分がそろうものだけを比べる
- 賞与や手当の有無:月給だけでなく、賞与や各種手当を含めた年収で比べる
- 勤務の条件:勤務時間や残業の有無など、含まれる条件をそろえる
額面の年収と、実際に受け取る手取りは異なります。手取りは、扶養の状況や各種の控除によって変わるため、給与明細で確認するのが確実です。
給与の仕組みは、職場によって異なります。昇給の条件や評価の制度は、給与規程などで確認しましょう。
今の職場の昇給の見通しを確認する項目
- 昇給の実績(過去に、どのくらいの頻度・幅で昇給があったか)
- 基本給の表(等級や号俸などが決まっているか)
- 手当の条件(資格手当、役職手当などの支給の条件)
年収に悩んだときの、次の選択肢

年収に不満を感じたとき、すぐに転職を考える方もいますが、選択肢は他にもあります。
今の職場で条件を確認する
昇給の仕組みや、役職・資格手当の条件を、就業規則や給与規程で確認してみる方法です。動く前に、今の条件を把握しておくと、次の判断がしやすくなります。
専門性を高める
job tagの職業説明(「就業するには」の記載)では、日本理学療法士協会の認定資格として、認定理学療法士と専門理学療法士があるとされています[1]。ただし、資格を取ると給与が自動的に上がるわけではありません。資格が年収にどう反映されるかは、職場の制度によって違います。
働く場所や働き方を見直す
病院、施設、訪問など、職場の種類によって給与の仕組みは変わります。副業を検討する場合は、就業規則で認められているかの確認が先です。
転職を考える場合は、今の年収の内訳(基本給、手当、賞与)と、何に不満があるのか(給与そのものか、昇給の見通しか、働き方か)を整理してから、求人票の中身を確認します。
よくある質問
Q. 平均より年収が低いと、自分の働き方は間違っているのでしょうか?
A. そうとは限りません。平均は、年齢や勤務先、働き方が異なる人をまとめた数字で、中央値とも異なります。年齢や雇用形態などをそろえて比べることが大切です。
Q. 昇給の見通しは、どう確認すればよいですか?
A. 就業規則や給与規程で、昇給の仕組みや基本給の表、手当の条件を確認します。過去の昇給の実績を、上司や担当部署に聞いてみる方法もあります。
まとめ:平均より自分の条件を見る
- 理学療法士の平均年収は約443.6万円(令和7年、job tagの参考値)が目安
- 年齢階級別の平均は50代前半まで上がり、55〜59歳でいったん下がる。個人の昇給の見通しを示すものではない
- 比べるときは、年齢・雇用形態・賞与や手当・勤務の条件をそろえる
- 給与の仕組みは職場で異なり、昇給条件は給与規程などで確認する
平均は、給与水準を考える参考値の一つです。次に求人票や給与明細を見るときは、年齢や雇用形態をそろえたうえで、自分の条件と照らし合わせてみてください。
引用文献
[1] 厚生労働省. 理学療法士(PT). 職業情報提供サイト(job tag). https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/167. 発行年不明. 2026年10月20日アクセス.





