「転職しようかな」と思ったものの、何から始めて、いつまでに何をすればいいのか、全体の流れが見えなくて動けないことはありませんか。
転職の進め方に、決まった順序はありません。今の状況に合わせて、必要なステップから確認してください。事前に確認項目を整理しておくと、見落としを減らす助けになります。
この記事では、理学療法士が転職するときの流れを、「理由の整理」から「求人選び」「労働条件の確認」「退職の手続き」まで、順を追って整理します。法律に関わる部分は、公的な条文をもとに、要点をお伝えします。
今の自分がどのステップにいるのかを確かめながら、読み進めてください。
転職活動の全体の流れと期間の目安

転職は、大きく4つのステップに分けて考えると、整理しやすくなります。
- 転職したい理由と、条件を整理する
- 求人を探して、比べる
- 内定が出たら、労働条件を確認する
- 現在の職場を退職する手続きを進める
これは基本のモデルで、唯一の正解ではありません。退職を先に検討する事情がある場合や、条件の整理と求人の比較を並行して進める場合もあります。
かかる期間は、人によって、また求人の状況によって大きく変わります。ここでは、あくまで一般的な進め方の例として、在職中に、数か月ほどの余裕を持って進めることを前提にします。数か月という期間に、公的な根拠があるわけではありません。
job tagに掲載された全国の有効求人倍率は4.67(令和7年度)です。ただし、地域や希望条件によって求人状況は異なり、この数値だけで自分に合う職場の見つけやすさは判断できません。[1]
ステップ1:転職したい理由と条件を整理する
まず転職理由を整理しておくと、求人を比較する際の判断材料になります。
- 転職したい理由:給与、人間関係、業務量、将来性、心身の状態のうち、一番重いものは何か
- 譲れない条件:給与の下限、勤務地、休日、残業の有無、働き方
- 優先順位:全部は叶わないことも多いので、順番をつけておく
転職理由を整理しておくと、求人を見るときに確認したい条件が明確になります。紙に書き出しておくと、軸がぶれにくくなります。
ステップ2:求人を探して比べる
条件が整理できたら、求人を探します。情報源は、転職サイトやエージェント、ハローワーク、施設の採用ページ、知人の紹介などがあります。比べるときは、次の点を、求人票だけでなく、面接や見学でも確認しましょう。
- 給与の内訳(基本給、手当、賞与の有無と条件)
- 休日や残業の実態
- 教育体制と、同じ職種の人数
- 1日の業務の流れと、担当する患者数や件数
求人を比べるときは、同じ項目を、求人ごとに記録しておくと見比べやすくなります。たとえば、給与の内訳、休日、残業、教育体制、通勤時間、見学で受けた印象などを、一覧にして残しておきましょう。
ハローワークの求人賃金(月額)は全国で27.6万円です(令和7年度)[1]。これは求人票に書かれた月額で、平均年収とは集計の対象も、含まれる項目も異なります。そのまま比べることはできません。
ステップ3:内定時に労働条件を確認する

内定が出たら、承諾する前に、労働条件を書面で確認しましょう。労働基準法の第15条では、使用者は、労働契約の締結に際して、労働者に賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないとされ[2]、明示された条件が事実と相違する場合、労働者は即時に労働契約を解除できるとされています[2]。
労働条件通知書で確認する事項
- 契約期間(期間の定めがあるかどうか)
- 就業の場所と、業務の内容
- 始業と終業の時刻、休憩、休日
- 時間外労働の有無と、その取り扱い
- 賃金の決め方、締め日と支払日
- 賞与や退職金の有無と条件
- 退職に関する事項
口頭で聞いた内容と書面が同じかを、見比べてください。違いがあるときは、承諾する前に確認しましょう。
ステップ4:現在の職場を退職する手続きと準備
次の職場が決まったら、現在の職場を退職する手続きに進みます。
- 退職の申し出:民法第627条では、期間の定めのない雇用の場合、申入れの日から2週間を経過すると終了するとされています[3]。実際の運用は、就業規則で定められていることがあります。常時10人以上の労働者を使用する使用者には、退職に関する事項を含む就業規則の作成・届出義務があります(労働基準法第89条)[4]
- 有給休暇:雇入れから6か月継続して勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者には、10労働日の年次有給休暇が与えられます(第39条)[5]。残りの日数を確認し、引き継ぎと合わせて計画します
- 引き継ぎ:担当している患者さんや利用者さんについて、必要な情報を、可能な範囲でまとめます
- 相談窓口:個別の事情で判断に迷うときは、公的な相談窓口も使えます。厚生労働省の「確かめよう労働条件」サイトに、労働局や労働基準監督署の所在地と連絡先の一覧があります[6]
退職日と入職日の間の期間は、人によって異なります。間を空ける場合は、収入や社会保険などの手続きを、事前に確認しておきましょう。
退職を先に決めてもよいか、いつ現職に伝えるか
心身の不調が強いときなど、退職を先に決める事情がある場合もあります。その場合は、収入がない期間の生活費と、各種の手続きを、事前に確認しておきましょう。
在職中に進める場合は、一般的には、内定後に労働条件を書面で確認し、承諾してから、就業規則の定めを確認して、現職に退職を伝えます。承諾の前に伝えると、条件が合わなかったときに困ることがあるためです。時期は、職場や就業規則によって異なります。
心身の不調があるときは、休養や専門家への相談も含めて考えてください。
よくある質問
Q. 転職は、在職中に始めたほうがいいですか?
A. 収入が途切れない点で、在職中に進める方が多いです。ただし、心身の不調があるときは、休養や専門家への相談も含めて考えてください。
Q. 退職は、いつまでに伝えればいいですか?
A. 民法上は、期間の定めのない雇用で、申入れから2週間で終了するとされています。実際の運用は就業規則で定められていることがあるため、まず確認しましょう。迷う場合は、公的な相談窓口も利用できます。
Q. 求人票と実際の条件が違っていたら、どうすればいいですか?
A. 労働基準法第15条により、明示された条件が事実と相違する場合、労働者は即時に契約を解除できるとされています。違いに気づいたら、早めに確認しましょう。
まとめ:転職の4ステップを整理する
- 転職は、「理由の整理」「求人選び」「労働条件の確認」「退職の手続き」の4ステップで考える(基本のモデル)
- 内定時には、労働条件を書面で確認する(労働基準法第15条)
- 退職は、就業規則と民法のルールを確認し、有給休暇と引き継ぎも計画する
- 進め方に決まった順序はない。今の状況に合わせて、必要なステップから確認する
- 有効求人倍率は参考値で、自分に合う職場の見つけやすさまでは分からない
まず、今の自分がどのステップにいるかを確かめて、次にやることを一つ決めてみてください。
引用文献
[1] 厚生労働省. 理学療法士(PT). 職業情報提供サイト(job tag). https://shigoto.mhlw.go.jp/User/Occupation/Detail/167. 発行年不明. 2026年10月20日アクセス.
[2] 労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049. 2026年10月20日アクセス.
[3] 民法(明治29年法律第89号)第627条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/129AC0000000089. 2026年10月20日アクセス.
[4] 労働基準法(昭和22年法律第49号)第89条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049. 2026年10月20日アクセス.
[5] 労働基準法(昭和22年法律第49号)第39条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049. 2026年10月20日アクセス.
[6] 厚生労働省. 確かめよう労働条件(労働条件に関する総合情報サイト). 相談機関のご紹介. https://www.check-roudou.mhlw.go.jp/soudan/index.html. 発行年不明. 2026年10月20日アクセス.





