「病院で働き続けるか、訪問リハビリに移るか」。どちらが自分に合うのか、働き方の違いが見えにくくて、迷っていませんか。
求人票の給与や休日だけでは、実際の1日の流れや、求められる役割までは分かりにくいものです。
この記事では、病院と訪問リハビリの働き方の違いを、まず1日の流れの想定例で比べ、そのあとに、制度や協会の統計を、確認できる範囲で整理します。
1日の流れの違い:病院と訪問リハビリを比べる

次の表は、典型的な違いをまとめた想定例です。実際の1日の流れや、設備、支援体制は、職場によって大きく異なります。
| 観点 | 病院(想定例) | 訪問リハビリ(想定例) |
|---|---|---|
| 活動場所 | 病棟や訓練室など、施設内 | 利用者さんの自宅など、生活の場 |
| 移動 | 施設内の移動が中心 | 利用者さん宅への移動が、1日の流れに入る |
| 連携 | 医師や看護師など、院内の多職種 | 利用者さんやご家族、ケアマネジャーなど |
| 教育体制 | 院内の研修や、同じ職場の先輩への相談など。職場による | 同行や、事業所内の相談の体制。職場による |
| 記録業務 | 院内のシステムなどでの記録、カンファレンス | 訪問ごとの記録や、ケアマネジャーなどへの連絡 |
| 設備・環境 | 病院では、施設内の設備を活用しやすい | 生活環境を踏まえた対応が求められる |
設備や支援体制は、職場によって異なります。この表は、迷ったときに、確認する観点を整理するためのものです。
1日の流れの想定例
| 時間帯 | 病院(想定例) | 訪問リハビリ(想定例) |
|---|---|---|
| 始業 | 申し送りや、担当患者さんの確認 | 事業所で、訪問の予定の確認や準備 |
| 午前 | 病棟や訓練室で、リハビリを実施 | 利用者さんの自宅へ移動し、リハビリを実施 |
| 昼 | 休憩 | 休憩(移動の合間に取ることもある) |
| 午後 | リハビリの継続、カンファレンス、書類 | 次の利用者さん宅へ移動し、リハビリを実施 |
| 終業前 | 記録や申し送り | 記録、ケアマネジャーなどへの連絡 |
病院と訪問リハビリの基本的な違い
病院でのリハビリと、介護保険による訪問リハビリテーションでは、提供する場所や、制度上の仕組みが異なります。訪問リハビリテーションは、介護保険の報酬で提供されるサービスです[1]。
訪問看護ステーションからの訪問も、利用者さんの自宅に伺いますが、訪問看護という別の仕組みで提供されます。制度や、協会の統計の区分も異なります。求人では、どの制度で提供している事業所なのかを確認しましょう。
この記事でいう「訪問リハビリ」は、介護保険の訪問リハビリテーションの事業所からの訪問を主に指します。訪問看護ステーションからの訪問は、働き方が重なる部分もありますが、制度が異なるため、別に確認してください。
理学療法士の勤務先の分布(主な区分)
日本理学療法士協会の会員統計(2026年3月末現在)では、勤務先別の会員数が公表されています[2]。主な区分を、抜粋します。
| 勤務先の区分 | 協会会員の人数 |
|---|---|
| 急性期(病院) | 24,101人 |
| 回復期リハビリテーション病棟 | 19,102人 |
| 介護老人保健施設 | 5,380人 |
| 訪問看護ステーション | 4,996人 |
| 訪問リハビリテーション | 1,142人 |
協会会員に限った人数で、理学療法士全体の人数ではありません。訪問看護ステーション(4,996人)と訪問リハビリテーション(1,142人)は、別の統計区分のため、合計の6,138人として読むことはできません。区分の定義や、複数の区分に当てはまる場合の扱いが、確認できた資料からは分からないためです。人数の面では、病院で働く方が多く、訪問の分野で働く方は、相対的に少ないことが分かります。
訪問リハビリを選ぶときに、確認しておきたいこと

- 教育・同行の体制:病院から訪問に移る場合、入職後の同行や、相談できる体制があるか
- 迷ったときの相談先:訪問先で判断に迷ったとき、すぐに相談できる人や方法があるか
- 移動の負担:移動の手段(運転の有無など)や、天候による影響をどう考えているか
- 1日の流れ:1日の訪問件数と、記録などを含めた流れ
- キャンセルや待機の扱い:移動時間やキャンセル、緊急時の対応や待機の有無
条件は、求人票だけで判断せず、職場見学や面接、同行見学で、具体的に確認しましょう。
自分に合う働き方を選ぶ視点
どちらが優れているということではなく、自分が何を大切にしたいかで選ぶことが大切です。
- 学びたいこと:急性期や回復期の臨床経験を積みたいか、生活の場での関わりを深めたいか
- 働き方:チームで動きたいか、自分で動く裁量を持ちたいか
- 生活との両立:勤務時間、休日、移動の負担
- サポート体制:入職後の教育や、相談の体制
よくある質問
Q. 病院から訪問リハビリに移ると、働き方はどう変わりますか?
A. 利用者さんの自宅に伺い、1対1で関わる場面が増えやすいとされています。移動や、一人での判断の場面も増えやすいため、教育体制の確認が大切です。
Q. どちらが自分に合うか、分かりません。
A. 学びたいこと、働き方、生活との両立、サポート体制の4点で、自分の優先順位を整理してみましょう。職場見学や同行見学も、判断の助けになります。
Q. 訪問看護ステーションと訪問リハビリは、同じですか?
A. どちらも利用者さんの自宅に伺いますが、制度上の仕組みや、事業所の体制が異なる場合があります。協会の統計でも、別の区分です。求人では、どの制度で提供している事業所なのかを確認しましょう。
Q. 訪問先で、判断に迷ったときはどうしますか?
A. 職場によって体制が異なります。事業所内で相談できる人や、連絡の方法を、入職前に確認しておきましょう。
まとめ:違いを知って自分の優先順位で選ぶ
- 病院と訪問リハビリでは、活動場所、移動、連携、教育体制、記録業務に、典型的な違いがある(職場による)
- 病院でのリハビリと、介護保険による訪問リハビリでは、提供する場所や制度上の仕組みが異なる
- 協会会員では、病院で働く人が多く、訪問の分野は相対的に少ない
- 条件は、職場見学や面接、同行見学で具体的に確認する
病院と訪問リハビリのどちらが合うかは、1日の流れと、確認したい条件を並べて比べると、見えてきます。気になる職場があれば、まず見学を申し込んでみましょう。
引用文献
[1] 厚生労働省 老健局. 訪問リハビリテーション(社会保障審議会 介護給付費分科会 第259回 資料4). https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001716096.pdf. 2026年. 2026年10月20日アクセス.
[2] 日本理学療法士協会. 統計情報. https://www.japanpt.or.jp/activity/data/. 2026年3月末現在. 2026年10月20日アクセス.





