理学療法士として転職の面接を控え、「何をどう準備すればよいか」「面接の場で、条件をどこまで確認してよいか」と迷う方もいるでしょう。
この記事では、厚生労働省のジョブ・カードを使って自分の経験を事実で整理する方法と、面接で労働条件を確認する際に知っておきたい職業安定法・労働基準法のルールを整理します。
厚生労働省の公的資料と法律の条文をもとにしています。個別の職場の運用や、選考の基準を断定するものではありません。
面接の前に、これまでの経験を事実で整理しておく

ジョブ・カードで経験を整理する
面接の準備として、自分の経験を事実として整理しておく方法があります。厚生労働省が様式を定めている「ジョブ・カード」を使う方法です[1]。
ジョブ・カードは、主に次の3つの様式で構成されています。
- 様式1:キャリア・プランシート
- 様式2:職務経歴シート
- 様式3:職業能力証明シート
ジョブ・カードを作成することで、自分の強み・弱みや能力に気付くことができ、これまでの経験を踏まえたキャリアプランを描けるようになるとされています[1]。
厚生労働省は、活用のステップとして、次の5段階を挙げています[1]。
- 自己についての理解を深める、情報収集する
- ジョブ・カードを作成する
- キャリアコンサルティングを受ける、先輩やアドバイザーに相談する
- 就職・転職活動などに活用する
- 定期的に振り返りを行う
履歴書・職務経歴書の書き方は、この記事では扱いません。経験を整理するためのツールの一つとして、確認してください。
面接でたずねられることがある、適性・能力に関係のない事項

ここでは、厚生労働省が事業主向けに示している、採用選考の考え方を整理します。
厚生労働省が示す、採用選考の基本的な考え方
厚生労働省は、採用選考の基本的な考え方として、次の2点を挙げています。
- 応募者の基本的人権を尊重すること(「人を人として見る」人間尊重の精神)
- 応募者の適性・能力に基づいた基準により行うこと[2]
この2点は、事業主側に向けて示された考え方です。個々の職場の面接が、実際にこのとおり行われているかどうかは、この資料からは分かりません。
就職差別につながるおそれがあるとされる事項
厚生労働省は、就職差別につながるおそれがある事項として、次のようなものを挙げています(これらに限られるわけではありません)[3]。
- 本人に責任のない事項:本籍・出生地、住宅状況、家族に関すること、生活環境・家庭環境
- 本来自由であるべき事項:宗教、人生観・生活信条、思想、購読新聞・雑誌・愛読書、支持政党、尊敬する人物、労働組合・社会運動に関すること
厚生労働省は、これらの事項について、採用基準にするつもりがなくても、応募用紙に記載させたり面接時にたずねたりすれば、結果として採否の決定に影響を与えることとなり、就職差別につながるおそれがあるとしています[2]。
令和6年度にハローワークで把握した、「本人の適性・能力以外の事項を把握された」という応募者からの指摘854件のうち、「家族に関すること」の質問が多くを占めています[3]。同じページには、面接の空気を和らげるために聞いてしまうケースが多いようだ、と記載されています[3]。
この内容は、ハローワークで把握した事例についてのもので、面接全体での頻度や、個々の応募者が質問される可能性を示すものではありません。
面接で労働条件を確認するときの、公的な明示のルール

労働条件の明示については、法律に、求人者や使用者が行う旨の定めがあります。
募集の段階の明示(職業安定法)
職業安定法第5条の3では、労働者の募集を行う者は、募集に応じようとする人に対して、業務の内容および賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定められています[4]。
また、同条には、明示した条件を変更する場合に、変更内容を明示することを定めた規定があります[4]。
契約締結時の明示(労働基準法)
契約を結ぶ段階では、労働基準法第15条が関わります。
使用者は、労働契約の締結に際して、賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならないと定められています。また、明示された労働条件が事実と相違する場合、労働者は、即時に労働契約を解除できるとされています[5]。
これらは条文の内容です。個別の職場で、面接の際に、どこまで口頭で説明があるかは、条文からは分かりません。
確認方法の一つとして、書面と照合する
確認方法の一つとして、面接で口頭で聞いた労働条件を、求人票や労働条件通知書などの書面の記載と照合します。違いがあれば、承諾する前に確認します。これは、法的に定められた手続きではなく、確認の方法の一つです。
まとめ:事実を整理し、条件は書面と照合して確認する

この記事の要点は、次の2つです。
- 面接の前に、ジョブ・カードなどを使って、自分の経験を事実で整理する方法がある
- 面接で確認する労働条件は、職業安定法第5条の3と労働基準法第15条に基づく明示の内容と、書面を照合して確認する方法がある
職場見学での確認項目は、別の記事で扱います。
引用文献
[1] 厚生労働省. ジョブ・カードを知る. マイジョブ・カード. https://www.job-card.mhlw.go.jp/guidance/know. 発行年不明. 2026年10月21日アクセス.
[2] 厚生労働省. 採用選考時の基本的な考え方・公正な採用選考の基本. 公正な採用選考をめざして. https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic. 発行年不明. 2026年10月21日アクセス.
[3] 厚生労働省. 採用選考時に配慮すべき事項. 公正な採用選考をめざして. https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/consider. 発行年不明. 2026年10月21日アクセス.
[4] 職業安定法(昭和22年法律第141号)第5条の3. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000141. 2026年10月21日アクセス.
[5] 労働基準法(昭和22年法律第49号)第15条. e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/322AC0000000049. 2026年10月21日アクセス.





