転職を考えるとき、転職後の賃金が前職と比べてどうなるのかが気になる場合があります。
厚生労働省の雇用動向調査では、転職入職者の賃金が前職と比べてどう変化したかについて、公的なデータが公表されています。
この記事では、令和7年の調査結果をもとに、そこから言えることと言えないこと(対象・期間・定義)を区別して整理します。あわせて、転職前に自分で確認できる点を整理します。
転職入職者の賃金変動について、確認できる公的な統計

厚生労働省の「令和7年 雇用動向調査結果の概況」には、転職入職者の賃金変動状況の統計が掲載されています[1]。
転職入職者の賃金変動(令和7年)
令和7年1年間の転職入職者について、前職の賃金と比べた変動状況は次のとおりです[1]。
- 増加:40.8%(うち「1割以上の増加」28.2%)
- 減少:31.0%(うち「1割以上の減少」21.9%)
- 変わらない:25.5%
この割合は、転職入職者のうち、前職が雇用者で、調査時に在籍している人を対象とした集計です。3つの区分の合計は97.3%で、100%になりません。集計に、賃金変動状況が不詳の人が含まれているためです[1]。
令和6年(増加40.5%、減少29.4%、変わらない28.4%)と比べると、「増加」は0.3ポイント、「減少」は1.6ポイント、それぞれ上昇しています[1]。
これらの数値は、全産業・全年齢計のものです。理学療法士の職種に限った数値ではありません。また、自営業からの転職入職者は含まれません[1]。
年齢階級による違い
同じ調査では、年齢階級別の割合も公表されています[1]。たとえば、次のように、年齢階級によって割合が異なります。
- 20〜24歳:増加55.2%、減少17.5%
- 50〜54歳:増加29.4%、減少42.0%
- 60〜64歳:増加21.1%、減少54.3%
これは、各年齢階級の転職入職者を比較した集計です。同じ人が、年齢を重ねるにつれて、賃金の増減がどう変わるかを示すものではありません。各階級の集計であり、個人の結果を予測するものではありません。
この統計から言えることと、言えないこと

統計の対象と定義
この調査でいう「転職入職者」は、入職者のうち、入職前1年間に就業経験のある者です。「入職者」は、常用労働者のうち、調査対象期間中に事業所が新たに採用した者をいいます。他企業からの出向者・出向復帰者は含まれ、同一企業内の他事業所からの転入者は除かれます[2]。調査対象期間は、令和7年1月から12月の1年間です。
調査の対象は、日本標準産業分類に基づく16大産業に属し、5人以上の常用労働者を雇用する事業所の母集団から、都道府県、産業、事業所規模別に層化して無作為に抽出した約15,000事業所です[3]。
言えないこと
言えるのは、令和7年に転職入職した人のうち、前職の賃金と比べて、増加・減少・変わらないと回答した人の割合です。次の点は、この統計からは分かりません。
- 理学療法士の転職入職者の賃金の増減
- 個人が転職した場合に、賃金が上がるか下がるか
- 賃金が増減した理由
- 休日・仕事内容・勤務地など、賃金以外の条件の変化
- 5人未満の事業所に入職した人の状況
転職を考えるときに、自分で確認できる点

この統計は、前職と比べた賃金の増減の割合を示すものです。賃金以外の条件の変化は示されていません[1]。
自分の転職後の条件は、個別の求人ごとに、書面などで確認する方法があります。賃金は、金額だけでなく、内訳や条件も含めて、現職と比べる方法があります。たとえば、次の項目を、現職と転職先で並べて確認できます。
- 基本給と、各種手当の内訳
- 賞与の有無と、支給の条件
- 勤務時間と、休日の日数
- 残業の扱い(固定残業代の有無を含む)
各項目の確認のしかたは、次の記事で扱っています。
まとめ:統計の範囲を確認し、自分の条件を確かめる

この記事の要点は、次のとおりです。
- 令和7年の転職入職者の賃金は、前職と比べて、「増加」40.8%、「減少」31.0%、「変わらない」25.5%(全産業・全年齢計)
- 年齢階級によって、増加・減少の割合は異なる(各階級の集計の比較)
- 理学療法士に限った数値ではなく、個人の転職後の賃金や、賃金以外の条件の変化は示されていない
引用文献
[1] 厚生労働省. 令和7年 雇用動向調査結果の概況:転職入職者の状況. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/kekka_gaiyo-03.pdf. 発行年不明. 2026年10月21日アクセス.
[2] 厚生労働省. 令和7年 雇用動向調査結果の概況:主な用語の定義. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/yougo.pdf. 発行年不明. 2026年10月21日アクセス.
[3] 厚生労働省. 令和7年 雇用動向調査結果の概況:調査の概要. https://www.mhlw.go.jp/toukei/itiran/roudou/koyou/doukou/26-2/dl/gaiyo.pdf. 発行年不明. 2026年10月21日アクセス.





