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2025年1月23日~ブログを一時的に閉鎖、5月18日より順次記事を更新していきます。ご迷惑をおかけしておりますがよろしくお願いしたします。

【2025年版】資料作成の悲劇を防ぐ!上司も部下も笑顔になる「アウトプットイメージ共有術」

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はじめに:「頑張って作ったのに、全然違う…」そのすれ違い、もう終わりにしませんか?

「時間をかけて丁寧に資料を作成したのに、上司に見せたら『思っていたものと全然違う』と一蹴された…」

「部下に資料作成を指示したけれど、期待していたものと全く異なるアウトプットが出てきて頭を抱えた…」

このような経験は、多くのビジネスパーソンにとって「あるある」な悩みではないでしょうか。

2020年当時、私自身も資料作成における上司との認識のズレに苦しみ、その原因と対策について考察していました。

この記事では、当時の私の経験と学びを元に、なぜ資料作成でこのような「悲劇」が起きてしまうのか、そしてそれを防ぎ、上司も部下も納得のいく成果物を効率的に生み出すための具体的な手法、特に赤羽雄二さんが提唱する「アウトプットイメージ作成アプローチ」について、2025年の視点から情報をアップデートし、詳しく解説していきます。

1. なぜ「頑張って作った資料」が期待外れに終わるのか?すれ違いを生む3つの構造的問題

資料作成における上司と部下の認識のズレは、単に「部下の能力不足」や「上司の伝え方が悪い」といった個人の問題だけでなく、多くの場合、コミュニケーションの構造的な問題に起因しています。

  • 原因1:上司の指示が曖昧すぎる – ゴールイメージの不一致 上司自身が「どのような資料が欲しいのか」という完成形のイメージを具体的に持っていなかったり、持っていてもそれを部下に明確に伝えられていなかったりするケースです。「よしなにやっておいて」「いい感じにまとめて」といった抽象的な指示では、部下は手探りで作業を進めるしかなく、結果として上司の期待と大きく異なるものが出来上がってしまいます。
  • 原因2:部下の「これでいいだろう」という思い込み – 途中確認の不足 指示が曖昧な場合や、逆に部下が自身の解釈に自信を持っている場合、作業の途中で上司に進捗や方向性を確認することを怠ってしまうことがあります。良かれと思って進めた作業が、実は上司の意図とは全く違う方向に向かっていた、という悲劇は後を絶ちません。
  • 原因3:根本的なコミュニケーション不足 – 期待値と目的のズレ 「何のためにその資料を作るのか(目的)」「その資料で何を達成したいのか(ゴール)」「誰に何を伝えたいのか(ターゲットとメッセージ)」といった、資料作成の根幹に関わる部分での認識が、上司と部下とで共有されていない場合、どんなに体裁の良い資料を作っても、本質的に「使えない」ものになってしまう可能性があります。

2020年の記事で私が指摘したように、上司が部下に「水の中に投げ込み、溺れそうになりながら泳ぎ方を覚えさせる」ような旧来型の指導法では、このようなすれ違いは頻発し、部下の疲弊を招くだけでなく、組織としてもノウハウが蓄積されず、成長の機会を失ってしまいます。

2. 部下ができる自衛策:上司との「認識のズレ」を最小限に抑えるために

理想的には上司が明確な指示を出すべきですが、現実にはそうでない場合も多々あります。「上司を変えることはできない」という原則に立つならば、部下側にもできる自衛策があります。

  • アウトプットイメージの「すり合わせ」を部下から提案する: 指示を受けたら、まず自分なりに「どのような資料を作るべきか」の骨子(目次案、主要なメッセージ、おおよそのボリュームなど)を作成し、本格的な作業に入る前に上司に確認を求めます。「このような構成で、こういう点を盛り込もうと考えていますが、いかがでしょうか?」と具体的なイメージを提示することで、初期段階での大きな方向性のズレを防ぎます。
  • 定期的な中間報告とフィードバックの機会を設ける: 資料がある程度形になった段階(例えば、全体の3割、5割程度)で一度上司に見せ、フィードバックをもらいます。これにより、もし方向性がズレていても早期に修正でき、手戻りを最小限に抑えられます。
  • 指示の背景や目的を積極的に質問する: 「この資料は何のために作成するのですか?」「最終的にどのような状態を目指していますか?」など、指示の背景にある目的やゴールを理解しようと努めることで、より上司の意図に沿った資料作成が可能になります。

ただし、これらの方法は部下側に相応のコミュニケーション能力や主体性を要求するものであり、上司によっては「いちいち確認するな」と受け取られるリスクもゼロではありません。やはり、根本的な解決のためには、上司側の指導方法の改善が不可欠です。

3. 解決の鍵は「アウトプットイメージ作成アプローチ」にあり!

そこで、上司が部下に資料作成を指示する際に非常に有効なのが、赤羽雄二さんの著書でも度々紹介されている「アウトプットイメージ作成アプローチ」です。

これは、部下に仕事を指示する際、最初に「完了時のアウトプットイメージ(業務完了時にどういう形になっているべきかを示したもの)」を、できる限り詳細に書いて示すというシンプルな方法です。

「アウトプットイメージ作成アプローチ」の具体的なステップ(資料作成・報告書作成の例)

  1. 全体の骨子(目次)、おおよそのページ数、各セクションのページ配分を決定する。
  2. 各ページに仮のタイトル(あるいは主要なメッセージや含めるべきキーワード)を書き込み、ページ番号を振る。
    • 例:「1. はじめに(現状の課題と本提案の目的)」「2. 具体的な提案内容A(図解と期待効果)」「3. 提案内容B(事例紹介と比較)」「4. 実行計画とスケジュール」「5. まとめとネクストステップ」
  3. 可能であれば、部下の目の前で、このアウトプットイメージ(構成案)をA4用紙などに手書きで作成する。 これにより、思考のプロセスを共有でき、部下の理解も深まります。
  4. 作成したアウトプットイメージについて部下と合意形成を図り、その上で作成を依頼する。 「この構成で進めてほしいんだけど、何か質問や懸念点はある?」といった形で、双方向のコミュニケーションを取ることが重要です。

このように、具体的な「設計図」を最初に共有することで、以下のような多くのメリットが生まれます。

  • 認識のズレや「言った・言わない」問題の防止: 完成形のイメージが明確になるため、部下は何をすべきかが具体的に理解でき、上司の期待とのギャップが生じにくくなります。
  • 手戻りの大幅な削減: 初期段階で方向性が定まるため、後から大幅な修正が必要になるリスクを減らせます。
  • 部下の安心感と作業効率の向上: ゴールが明確になることで、部下は安心して作業に集中でき、迷いが減るため作業効率も向上します。
  • 指導時間の効率化: 最初にしっかりとイメージを共有しておけば、その後の細かな指示や修正の時間を減らすことができます。

4. 「アウトプットイメージ作成アプローチ」の実践例と効果

例えば、部署内の勉強会で部下に資料作成を依頼する場合を想定してみましょう。

  1. 上司が部下の前でアウトプットイメージを作成: A4用紙に、スライド全体の構成(導入、本論1、本論2、まとめ、質疑応答など)、各パートのおおよそのスライド枚数、各スライドの仮タイトルや盛り込むべきキーワードなどを手早く書き出します。
  2. 内容の共有と合意: 作成したアウトプットイメージを部下に見せながら、「この流れで、各スライドにはこんな内容を入れてほしいんだけど、どうかな?何か追加したいことや、分かりにくいところはある?」と意見を求め、合意します。
  3. 定期的な短時間コーチング(進捗確認と軌道修正): 資料作成の過程で、2週間に7~10回程度(例えば、1日1回5分~15分程度)の短いミーティングを設定し、進捗を確認します。部下が困っている点があればサポートし、方向性がズレていれば早期に軌道修正します。この際、上司が全て答えを教えるのではなく、部下の考えを引き出すようなコーチング的な関わりも有効です。
  4. 最終確認とフィードバック: 完成した資料を再度確認し、最終的な微修正を行って完成させます。そして、今回の資料作成プロセス全体を振り返り、良かった点や改善点を共有することで、部下のさらなる成長を促します。

このようなアプローチを取ることで、

  • 部下は安心して質の高い資料作成に取り組める。
  • 上司は期待通りのアウトプットを得やすくなる。
  • 指導の過程で上司自身も新たな発見や学びを得られる。
  • 部下の能力が引き出され、成功体験を通じて成長が加速される。

という、まさにWin-Winの関係が構築できます。頻繁なコーチングといっても、多くの場合、1回あたり15分程度の短時間で十分効果があります。

5. 【2025年版】リモートワーク時代の資料作成指導における留意点

近年、リモートワークやハイブリッドワークが普及し、オンラインでのコミュニケーションが主流となる中で、「アウトプットイメージ作成アプローチ」を実践する上では、いくつかの追加的な配慮が求められます。

  • オンラインツールを活用したイメージ共有:
    • 画面共有機能を活用し、リアルタイムでアウトプットイメージを一緒に作成・確認する。
    • MiroやFigJamのようなオンラインホワイトボードツールを使い、視覚的に構成案を共有する。
    • クラウドベースのドキュメント共同編集ツール(Googleドキュメント、Microsoft Word Onlineなど)で、初期段階から共同で骨子を作成する。
  • より丁寧で頻繁なコミュニケーション:
    • 対面での「阿吽の呼吸」が期待できない分、チャットや短いビデオ会議などで、こまめに進捗確認や質疑応答の機会を設ける。
    • テキストコミュニケーションでは誤解が生じやすいため、意図が正確に伝わるよう、より具体的で丁寧な言葉遣いを心がける。
  • 心理的安全性の確保:
    • リモート環境では、部下が気軽に質問したり、困っていることを相談したりしにくい場合があります。上司から積極的に声かけをしたり、定期的な1on1ミーティングを設定したりするなど、心理的安全性を確保する工夫が必要です。

まとめ:「上司が助ける=成長しない」は誤解!建設的な指導で共に成長する

「アウトプットイメージ作成アプローチ」は、部下の資料作成スキルを向上させる上で非常に効果的な指導方法です。赤羽雄二さんもおっしゃっているように、「上司が助けたから本人の成長のためにならないということは決してない」のです。

むしろ、明確なゴールイメージと適切なサポートがあるからこそ、部下は安心して能力を発揮し、成功体験を積み重ねることができます。そして、そのプロセスを通じて、指導者自身も多くの学びを得ることができるのです。

資料作成の指示を出す際には、ぜひこの「アウトプットイメージ作成アプローチ」を活用し、部下との認識のズレを防ぎ、建設的なフィードバックを通じて共に成長する好循環を生み出してみてください。それは、個人のスキルアップだけでなく、チーム全体の生産性向上にも繋がるはずです。

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