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うつ病治療の落とし穴? 最新研究でわかった「頑張りすぎない」ことの大切さ

うつ病治療の落とし穴? 最新研究でわかった「頑張りすぎない」ことの大切さ
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「うつ病を治したい一心で、治療に一生懸命取り組んでいるのに、なかなか良くならない…」

そんな悩みを抱えている方はいませんか? 実は、最新の研究で、うつ病治療において「頑張りすぎない」ことの大切さが明らかになってきました。

今回は、2015年に発表されたHエドモンド・ピゴット氏による論文を元に、うつ病治療の新たな視点について詳しく解説していきます。

本文

2015年 アメリカ Hエドモンド・ピゴットは、大うつ病性障害の治療に関する最大の前向き臨床試験であるSTARD試験の再検討を行いました。その結果、STARD試験では、うつ病の症状を細かく測定し、完全にうつ状態から脱するよう、薬物療法を中心とした積極的な治療を行う手法は、患者の負担が大きく、通常の治療よりも効果がない可能性があると報告しました。

STAR*D試験とは、アメリカ国立精神衛生研究所(NIMH)が資金提供した、大うつ病性障害の治療法を評価する大規模臨床試験です。4,000人以上が参加した、これまでに実施された中で最大規模の抗うつ薬の研究です。

この研究では、うつ病の症状を完全に消失させることを目標に、抗うつ薬の種類や量を調整したり、心理療法を併用したりするなど、積極的に治療介入を行っていました。

しかし、ピゴット氏の論文によると、このような積極的な治療は、必ずしも良い結果をもたらすとは限らないことがわかったのです。

STAR*D試験では、治療開始から3段階目で患者の43%が治療を中断してしまいました。これは、治療の過程で薬の種類や服用量が増え、副作用のリスクが高まるなど、患者さんの負担が大きくなったことが原因と考えられます。

また、STAR*D試験では、うつ病の症状を細かく測定し、その結果に基づいて治療方針を決定するという「測定ベースのケア」という手法が用いられていました。しかし、この手法も、患者さんにとっては大きな負担となり、治療の継続を難しくする要因になった可能性があります。

澁澤

患者さんに大きな負担をかけることによって、治療の継続が困難になったり、メンタル面にあまり良い影響が出ない場合が多いようです。

通常のうつ病治療では、患者さんの訴えや医師の診察に基づいて、うつ病の重症度や症状の特徴を把握します。そして、患者さんの状態に合わせて、薬物療法、心理療法、生活習慣の改善など、様々な治療法を組み合わせます。

STAR*D試験のように、うつ病の症状を完全に消失させることを目標にするのではなく、症状をある程度改善し、日常生活を送れるようになることを目標とする方が、患者さんの負担が少なく、治療を継続しやすいというメリットがあります。

まとめ

今回の論文では、STAR*D試験の再検討を通して、うつ病治療において「頑張りすぎない」ことの大切さが示されました。

うつ病の症状を完全に消失させようと、薬の種類や量を増やしたり、細かく症状を測定したりすることは、かえって患者さんの負担を大きくし、治療の継続を難しくする可能性があります。

うつ病の治療は、長期にわたる場合があり、患者さんにとって大きな負担となることがあります。そのため、患者さんの状態に合わせて、無理のない治療計画を立てることが重要です。

焦らず、自分のペースで治療を進めていくことが、うつ病からの回復への近道と言えるでしょう。

参考文献(引用元)

  • Pigott HE. The STAR*D trial: it is time to reexamine our clinical beliefs about treating major depression. Can J Psychiatry. 2015 Jan;60(1):9-13. doi: 10.1177/0706743714564992. PMID: 25886544; PMCID: PMC4314062.
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