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平静さを育む心のメカニズム:マインドフルネス瞑想の効果

平静さを育む心のメカニズム:マインドフルネス瞑想の効果
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『落ち着いた人になりたいな』『どんなことにも落ち着いている人っているよね』

これらは、マインドフルネスの重要な要素である「平静さ」によって、培うことができるかもしれません。

では、平静さはどのようにして育まれるのでしょうか?

今回は、平静さの構成概念と、それを育む心のプロセスについて解説します。

平静さの構成概念

平静さとは、 「快・不快の感覚が生じても、渇望や嫌悪といった欲求が生じていない、穏やかで落ち着いた心の状態」 のことです。

これを日常での心理状態から捉えると 「穏やかで落ち着いた心の状態」 という因子になります。

一方、日常での感覚と欲求という心理過程に分けると 「快不快からの欲求の分離」 という因子になります。

この「快不快からの欲求の分離」は、さらに

  • 自動的な反応の低下
  • 意図的な受容の態度 の2つに分けられます。

平静さを育むプロセス

  1. 洞察瞑想や慈悲瞑想の実践:
    • 洞察瞑想: 感覚や感情、思考といった対象に気づき、平静さを維持することで、「無常・無我・苦」の智慧が身につく。
    • 慈悲瞑想: 平静さとともに、様々な対象に対する捉え方を変えたり、対象の立場になったりすることで、対象に対する公平さが身につく。
  2. 智慧や公平さの獲得: 瞑想の実践を通じて、「無常・無我・苦の智慧」や「対象に対する公平さ」といった要素が育まれる。
  3. 快不快からの欲求の分離: 智慧や公平さによって、快不快の感覚から渇望や嫌悪といった欲求が分離される。
  4. 穏やかで落ち着いた心の状態の実現: 欲求が分離されることで、欲求によって新たな感覚が生じることも減少し、心が穏やかで落ち着いた状態になる。

ちょっと専門的で難しいですが、瞑想によって、智慧や公平さの獲得が身につき、日常生活での、自動的な快・不快と意図的な受け入れる態度が分離することで、穏やかで落ち着いた心の状態を習得することができるようです。

神経メカニズム

マインドフルネス瞑想における平静さの神経メカニズムを直接検討した研究はまだ少ないですが、 間接的に検討していると考えられる研究がいくつかあります。

これらの研究から、

  • 背外側前頭前野の活動が低下
  • 後部島皮質や二次体性感覚野の活動が適切に生じる
  • 前部島皮質や前帯状皮質、中帯状皮質前方部の活動が高まる
  • 感覚を経験する前には前部島皮質や中帯状皮質前方部や扁桃体の活動が低下
  • 感覚を経験する際には前部島皮質の活動が不快感とは相関しなくなる
  • 線条体の活動が低下する

といった脳活動の変化が、平静さと関連している可能性が示唆されています。 特に、 繰り返し経験することで獲得された内的モデルに基づいた予測と実績の差分に対する反応の低下 が関わっている可能性が考えられます。

まとめ

平静さは、 瞑想の実践を通じて、感覚と欲求の分離を促し、心を穏やかに保つ ことで育まれます。

今後の研究によって、平静さの心理・神経メカニズムがさらに解明されることが期待されます。

参考文献

Fujino, M. (2021). The psychological construct and neural mechanism of equanimity in meditation. Japanese Psychological Review, 64(3), 274–294.

重要な注意事項

本記事は、マインドフルネスに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医学的アドバイスを提供するものではありません。

精神疾患の診断や治療については、必ず専門の医療従事者にご相談ください。

平静さを育む心のメカニズム:マインドフルネス瞑想の効果

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