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認知症短期集中リハビリテーションで認知機能と摂食嚥下機能は改善するか?

認知症短期集中リハビリテーションで認知機能と摂食嚥下機能は改善するか?
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皆さん、こんにちは! PTケイです。

今回は、認知症短期集中リハビリテーションが、認知症高齢者の認知機能、意欲、そして摂食嚥下機能に与える影響について調べた論文をご紹介します。

認知症高齢者のリハビリテーションの現状

近年、認知症患者さんは増加傾向にあり、それに伴い、摂食嚥下障害を合併するケースも増えています。

認知症短期集中リハビリテーションは、認知症高齢者の認知機能や意欲を改善する効果が報告されていますが、摂食嚥下機能への影響についてはまだ十分に解明されていません。

摂食嚥下機能については、栄養摂取量にも影響を与え、栄養不足はフレイルやサルコペニアといった様々な問題に繋がりますので、認知症がある方でもなんとか栄養摂取がうまくいくように介入していくことが重要だと思います。

1回2時間、週3回、約3ヶ月間で学習療法を行いました

研究対象は、老人保健施設に入所し、3ヶ月間の認知症短期集中リハビリテーションが可能な、自立して経口摂取を行っている認知症高齢者27名です。

年齢は65歳から93歳で、平均年齢は85.9歳。男性2名、女性25名でした。認知症のタイプは、脳血管性認知症が12名、アルツハイマー型認知症が11名、その他が4名でした。

評価項目は、認知機能、意欲、摂食嚥下機能です。認知機能はMMSE、HDS-R、FAB、TMT-Aなどで評価し、意欲はやる気スコアとVitality Indexで評価しました。摂食嚥下機能はRSST、舌圧測定、oral diadochokinesis、FILSなどで評価しました。

認知症短期集中リハビリテーションは、学習療法(漢字の読み書き、計算、数字盤課題)を1回2時間程度、週3回、約3ヶ月間行いました。

注意機能と摂食嚥下機能の改善を認めた

認知症短期集中リハビリテーションの結果、注意機能(TMT-A)と摂食嚥下機能に有意な改善が見られました。

しかし、MMSE、HDS-R、FABなどの認知機能や、やる気スコア、Vitality Indexなどの意欲には有意な変化は見られませんでした。

考察

今回の研究では、認知症短期集中リハビリテーションが、認知症高齢者の注意機能と摂食嚥下機能を改善することが示されました。

注意機能の改善は、患者さんが自身の摂食行動に注意を向けやすくなったことで、摂食嚥下動作の改善につながった可能性があります。また、口腔機能や舌運動機能の改善も、全体的な摂食嚥下能力の向上に寄与したと考えられます。

今後の課題

今後は、対象者数を増やし、様々な認知症タイプや重症度の方を対象に研究を行うことで、より詳細な分析が可能になります。

また、認知症短期集中リハビリテーションの内容についても、より効果的なプログラムを検討する必要があります。

まとめ

認知症短期集中リハビリテーションは、認知症高齢者の注意機能と摂食嚥下機能を改善する可能性のある有効な手段です。

今回の研究結果を参考に、患者さん一人ひとりに合わせた適切なリハビリテーションを提供できるよう、知識を深めていきましょう。

参考文献

  • 福永ら: 認知症短期集中リハビリテーションによる認知機能,意欲と摂食嚥下機能の変化. 川崎医療福祉学会誌 30(2): 519-524, 2021.

重要なお知らせ

本記事は、認知症短期集中リハビリテーションに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医学的アドバイスを提供するものではありません。 認知症の診断や治療については、必ず医師や専門家にご相談ください。

認知症短期集中リハビリテーションで認知機能と摂食嚥下機能は改善するか?

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