2025年1月23日~ブログを一時的に閉鎖、5月18日より順次記事を更新していきます。ご迷惑をおかけしておりますがよろしくお願いしたします。

【日本人の健康リテラシーは欧州より低い!?】 知っておきたい、健康格差の落とし穴

日本人の健康リテラシーは欧州より低い 知っておきたい、健康格差の落とし穴
  • URLをコピーしました!

皆さん、こんにちは!理学療法士のPTケイです。

突然ですが、皆さんは「ヘルスリテラシー」という言葉を聞いたことがありますか?

ヘルスリテラシーとは、健康情報を入手し、理解し、評価し、活用して、健康に関する意思決定を行う能力のこと。

実は、このヘルスリテラシー、日本人は欧州に比べて低いかもしれない…という、ちょっと気になる研究結果があるんです!

今回は、この研究結果をもとに、日本人のヘルスリテラシーの現状と、その改善策について解説していきます!

えっ、日本人のヘルスリテラシーって低いの?ちょっと残念な研究結果!

2015年5月23日 日本 BMC Public Healthに掲載された論文において、中山 和弘氏らの研究グループは、日本の総合ヘルスリテラシーは欧州より低いことを報告しました。

この研究では、

  • 約1000人の日本人を対象に、インターネットでアンケート調査を実施
  • 「健康情報を理解するのが難しいと感じるか」など、47の質問に回答
  • その結果を、ヨーロッパ8カ国の調査結果と比較

という方法で、日本人のヘルスリテラシーを調べました。

研究でわかったこと:日本人は健康情報の「判断」と「活用」が苦手?

この研究から、日本人のヘルスリテラシーは、ヨーロッパ8カ国に比べて低いことがわかりました。

特に、

  • 健康情報を判断すること
  • 健康情報を活用すること

が苦手な傾向にあることが明らかになりました。

例えば、「病気の時に、どこで専門家の助けを求めればよいかわからない」と感じている日本人は、ヨーロッパ人に比べて、なんと51.5%も多かったんです!

詳細は以下の表をご参照ください。

表 すべてのヘルスリテラシー項目について各回答をした回答者の割合(下記、参考文献の引用)
日本とヨーロッパで差が特に大きいものは黄色でマーキングしてあります。

健康領域/コンピテンス項目とても簡単かなり簡単かなり難しい非常に難しいわからない/該当なし
わからない/該当なし
トータル・ハード(「非常に難しい」および「かなり難しい」)
    
        日本ヨーロッパ違い
質問1ヘルスケア/アクセス気になる病気の症状に関する情報を探す7.741.437.88.34.846.122.823.3
質問2気になる病気の治療に関する情報を探す6.036.041.312.04.753.326.926.4
質問3医療上の緊急事態が発生した場合に何をすべきかを見つける3.530.542.618.35.160.921.839.1
質問4病気のときに専門家の助けをどこで受けられるかを見つける4.727.442.920.54.563.411.951.5
質問5ヘルスケア/理解あなたの医者があなたに何を言っているかを理解する8.345.537.86.32.144.015.328.7
質問6お薬に付属しているリーフレットを理解する11.446.131.89.01.740.828.012.8
質問7医療上の緊急事態で何をすべきかを理解する3.728.546.317.24.463.521.741.8
質問8処方された薬の服用方法に関する医師または薬剤師の指示を理解する18.354.520.65.01.625.66.519.1
質問9ヘルスケア/鑑定医師からの情報がどのように適用されるかを判断する7.443.139.86.82.846.718.028.7
質問10さまざまな治療オプションの長所と短所を判断する3.421.648.422.24.470.642.628.0
質問11他の医師からセカンドオピニオンを得る必要があるかもしれない場合の判断2.916.245.127.97.973.038.634.4
質問12メディアの病気に関する情報が信頼できるかの判断2.817.651.421.86.573.249.723.5
質問13ヘルスケア/アプリケーション作成医師があなたに与えた情報を使用して、あなたの病気について決定を下します5.439.840.58.85.549.323.126.2
質問14投薬に関する指示に従う27.854.013.63.21.416.86.810.0
質問15緊急時に救急車を呼ぶ19.938.426.810.14.836.88.828.0
質問16医師または薬剤師の指示に従ってください。25.157.612.33.11.815.55.69.9
質問17疾病予防/アクセス喫煙、身体活動の低下、過度の飲酒などの不健康な行動を管理する方法に関する情報を見つける17.252.122.45.92.528.314.713.6
質問18ストレスやうつ病などのメンタルヘルスの問題を管理する方法に関する情報を見つける6.436.139.113.94.652.933.519.4
質問19予防接種や健康診断に関する情報を見つける10.545.332.87.34.140.124.016.1
質問20太りすぎ、高血圧、高コレステロールなどの状態を予防または管理する方法に関する情報を見つける12.049.829.25.53.534.718.116.6
質問21疾病予防/理解喫煙、身体活動の低下、過度の飲酒などの行動に関する健康上の警告を理解する36.945.912.33.61.215.910.35.6
質問22予防接種が必要な理由を理解する22.553.117.54.32.721.716.65.1
質問23健康診断が必要な理由を理解する24.554.615.83.31.819.210.48.8
質問24疾病予防/鑑定喫煙、身体活動の低下、過度の飲酒など、健康に関する警告の信頼性を判断する22.149.021.93.93.125.814.411.4
質問25あなたが健康診断のために医者に行く必要があるときの判断9.433.643.69.63.853.216.336.9
質問26必要な予防接種の判断7.330.244.912.15.557.032.724.3
質問27どの健康診断を受けるべきかを判断する9.434.240.512.23.752.825.127.7
質問28メディアで取り上げられている健康リスクの情報が信頼できるかの判断5.025.149.115.15.664.242.122.1
質問29疾病予防/応用インフルエンザの予防接種を受けるべきかどうかの決定16.943.527.78.23.735.926.29.7
質問30家族や友人からのアドバイスに基づいて病気から身を守る方法を決定する7.538.439.19.45.648.522.226.3
質問31メディアの情報をもとに、病気から身を守る方法を決める6.436.542.59.65.052.136.915.2
質問32健康増進/アクセス運動、健康食品、栄養などの健康的な活動に関する情報を見つける12.754.124.65.33.329.914.315.6
質問33あなたの心の健康に良い活動について見つける14.253.922.54.84.627.322.64.7
質問34あなたの近所がより健康にやさしい方法に関する情報を見つける7.938.339.88.25.947.940.37.6
質問35健康に影響を与える可能性のある政治的変化について調べる5.225.844.618.55.963.153.29.9
質問36職場での健康増進の取り組みについて調べる7.935.730.67.318.538.034.83.2
質問37健康増進・理解家族や友人からの健康に関するアドバイスを理解する12.052.025.94.65.630.513.017.5
質問38食品包装に関する情報の理解11.043.832.89.03.341.836.25.6
質問39健康になる方法に関するメディアの情報を理解する11.751.528.65.03.233.623.310.3
質問40あなたの心を健康に保つ方法に関する情報を理解する6.939.439.99.44.449.326.123.2
質問41健康増進・評価あなたが住んでいる場所があなたの健康と幸福にどのように影響するかを判断する5.424.746.914.98.261.824.637.2
質問42あなたの住居環境が健康維持にどのように役立つかを判断する6.427.446.212.77.358.919.539.4
質問43日常のどの行動があなたの健康に関連しているかを判断する10.341.236.19.52.945.512.632.9
質問44健康増進・応用あなたの健康を改善するための決定を下す10.236.836.913.82.350.721.729.0
質問45スポーツクラブやエクササイズクラスに参加する9.129.436.819.55.156.424.132.3
質問46あなたの健康と幸福に影響を与えるあなたの生活条件に影響を与える6.526.943.619.92.963.625.538.1
質問47地域社会の健康と福祉を向上させる活動に参加する4.823.344.719.97.264.638.925.7
  1. a8カ国、合計N=8102

数字から見えてくる注意点

この研究は、「日本人」と「ヨーロッパ人」のヘルスリテラシーを比較していますが、いくつかの注意点があります。

  • 調査方法の違い: 日本ではインターネット調査、ヨーロッパでは対面調査が行われたため、結果に影響が出ている可能性。
  • サンプルの偏り: インターネット調査であるため、インターネットを使いこなせる人に偏っている可能性。
  • 因果関係は不明: この研究は、「ヘルスリテラシー」と「健康状態」の関連性を示していますが、直接的な因果関係を証明するものではありません。(横断研究という研究デザインを用いているため)

なぜ日本人のヘルスリテラシーは低いの?考えられる3つの理由

この研究結果を受けて、なぜ日本人のヘルスリテラシーが低いのか、考えられる理由を3つご紹介します。

  1. 日本のプライマリーケアの課題: 日本では、かかりつけ医制度が十分に普及しておらず、どの医療機関を受診すればよいか迷う人が多い。
  2. 信頼できる健康情報へのアクセスが難しい: インターネット上には、信頼性の低い健康情報も多く、正しい情報を見つけるのが難しい。
  3. 健康に関する意思決定の難しさ: 日本では、医療従事者に任せきりになる傾向があり、自分で健康に関する意思決定をする機会が少ない。

今日からできる!ヘルスリテラシーを高める3つのステップ

ヘルスリテラシーを高めるためには、どうすればよいのでしょうか?今日からできる、3つのステップをご紹介します!

STEP内容
1. 健康情報に興味を持つテレビや新聞、インターネットなどで、健康に関する情報を積極的に集めましょう。わからないことや疑問に思ったことは、そのままにせず、調べる習慣をつけましょう。
2. 情報を正しく理解する情報源の信頼性を確認しましょう。(例:公的機関や医療機関のウェブサイト、専門家の意見など)難しい言葉や専門用語は、わかりやすい言葉で説明してくれるサイトや本を探してみましょう。
3. 情報を活用して、健康的な生活を送る得られた情報を参考に、食事や運動、睡眠などの生活習慣を見直してみましょう。定期的に健康診断を受け、自分の体の状態を把握しましょう。かかりつけ医を持ち、気になることは何でも相談しましょう。

まとめ:ヘルスリテラシーを高めて、健康格差をなくそう!

今回の研究結果は、日本人のヘルスリテラシーが、欧州に比べて低い可能性を示唆しています。

ヘルスリテラシーの低さは、健康格差につながる可能性があります。

「健康情報は難しくてよくわからない…」 「自分には関係ない…」

そう思わずに、ぜひ今日から、ヘルスリテラシーを高めるための第一歩を踏み出してみましょう!

参考文献:

  • Nakayama, K., Osaka, W., Togari, T., Ishikawa, H., Yonekura, Y., Sekido, A., & Matsumoto, M. (2015). Comprehensive health literacy in Japan is lower than in Europe: a validated Japanese-language assessment of health l 1 iteracy. BMC public health, 2 15(1), 1-11.  

健康・医学関連情報の注意喚起:

本記事は、ヘルスリテラシーに関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医学的アドバイスを提供するものではありません。 健康に関する診断や治療については、必ず医療従事者にご相談ください。

日本人の健康リテラシーは欧州より低い 知っておきたい、健康格差の落とし穴

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

目次