2025年1月23日~ブログを一時的に閉鎖、5月18日より順次記事を更新していきます。ご迷惑をおかけしておりますがよろしくお願いしたします。

主治医のOKだけじゃダメ?うつ病からの復職、本当に必要な情報共有のすべて

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「主治医からは『もう復職しても大丈夫でしょう』と言われたけれど、本当に社会に戻れるんだろうか…」

「会社の人は、病気のことを理解してくれるだろうか…」

「また、同じことの繰り返しになったらどうしよう…」

うつ病などのメンタルヘルス不調で休職し、復職を考え始めると、期待とともに大きな不安が押し寄せてきますよね。

私、理学療法士のPTケイも、うつ病やパニック障害を経験し、休職と復職の難しさを身をもって痛感してきました。

だからこそ、その不安な気持ちが痛いほどよくわかります。

多くの人が、主治医から「復職可能」という診断書をもらうことを一つのゴールとしています。

しかし、いざ復職してみると、なぜかうまくいかない…。周囲との温度差を感じたり、思うように仕事が進まなかったりして、再び体調を崩してしまうケースは決して少なくありません。

なぜ、そんな悲しいすれ違いが起きてしまうのでしょうか?

実はそこには、治療を行う「医療」の世界と、仕事を行う「職場」の世界との間にある、深くて大きな”ミゾ”が存在するのです。

この記事では、その”ミゾ”の正体を解き明かし、どうすればそのミゾを埋めて、本当の意味で「安心できる復職」を成し遂げられるのか、最新の研究論文を紐解きながら、誰にでもわかるように徹底解説していきます。

この記事を読み終える頃には、あなたは復職に対する漠然とした不安から解放され、「何を、誰に、どう伝えればいいのか」という具体的な道筋を手にしているはずです。

目次

この記事でわかること(1分で解説)

この記事は、うつ病などメンタルヘルス不調からの復職に悩むあなた、そしてそれを支えるご家族や職場の方々のための「羅針盤」です。

  • 復職がうまくいかない本当の理由: 主治医の「OK」と職場の「OK」がなぜ違うのか、医療と職場の”見ている景色”の違いを理解できます。
  • 連携の最強ツール「4軸アセスメント」: 医療と職場の”ミゾ”を埋めるための具体的な情報共有ツール「4軸アセスメント」とは何か、その使い方を詳しく学べます。
  • 復職成功への具体的なステップ: 実際の成功事例をもとに、あなたが復職に向けて具体的に何をすべきか、そのステップをイメージできます。
  • 主体的に復職を進める力: 情報を武器に、医師や会社と対等な立場でコミュニケーションをとり、あなた自身が主体となって復職プロセスを進めるためのヒントが得られます。

今回解説する研究論文のご紹介

本記事の解説は、以下の論文の知見に基づいています。信頼できる情報源をもとに、あなたの復職をサポートします。

2023年に日本で発表された論文で、東邦大学医療センター佐倉病院の小山文彦氏は、うつ病などのメンタルヘルス不調を抱える労働者の治療と仕事の両立支援、特に医療と職場の連携のあり方に関する総説(レビュー)を行いました。

その結果、両者の連携には多角的な視点からの情報共有が不可欠であり、そのための具体的な手法が重要であると報告しました。

安心できる復職を支える重要ポイント3選

ここからは、この論文から見えてきた「安心できる復職」のための重要なポイントを、3つのパートに分けてじっくりと解説していきます。

1:なぜ「復職OK」なのにうまくいかない?医療と職場の“見ている景色”の違い

復職プロセスで最も大きな壁となるのが、主治医のいる「医療」サイドと、上司や人事担当者のいる「職場」サイドとの間の認識のズレです。この論文では、両者の視点の違いを非常にわかりやすく表現しています。

  • 医療の視点:「疾病性(しっぺいせい)」
  • 職場の視点:「事例性(じれいせい)」

この2つの言葉、少し難しく聞こえるかもしれませんが、復職を考える上で非常に重要なので、ゆっくり見ていきましょう。

医療が見ているのは「疾病性」=病気が治ったか

主治医をはじめとする医療専門家は、あなたの状態を「疾病性」というレンズを通して見ています。

用語解説:疾病性(しっぺいせい) 医療において、患者の症状がどのような「疾病」に該当し、医学的にどう診断・治療されるかという視点。つまり、「病気そのもの」がどういう状態で、治療によってどれくらい改善したか、という見方です。

具体的には、 「抑うつ気分や不安はどの程度改善したか?」 「睡眠はしっかりとれているか?」 「薬の副作用は問題ないか?」 「日常生活を問題なく送れるレベルまで回復したか?」 といった、医学的な基準で回復度を判断します。

この基準をクリアすると、主治医は「日常生活に支障はなく、就労は可能でしょう」という判断を下すわけです。これは、治療の専門家として当然の、そして非常に重要な役割です。

職場が見ているのは「事例性」=仕事ができる状態か

一方、あなたの上司や同僚、人事担当者など職場の人たちは、あなたのことを「事例性」という、まったく別のレンズで見ています。

用語解説:事例性(じれいせい) 職場において、ある労働者の言動や状態が「事例」としてどのように見え、業務の遂行能力や組織・同僚にどう影響しているかという視点。つまり、「働く人として」どうか、という見方です。

職場側が気にしているのは、 「満員電車で、毎日定時に通勤できるか?」 「以前と同じように、集中力や判断力を保って業務をこなせるか?」 「複数のタスクや予期せぬトラブルに、ストレスなく対応できるか?」 「同僚や顧客と円滑なコミュニケーションがとれるか?」 「残業が発生した場合、体力的に耐えられるか?」 といった、極めて実践的な内容です。

彼らは、あなたが「病気かどうか」を判断する立場にはありません。彼らの最大の関心事は、「会社の従業員として、任された職務を安全かつ適切に遂行できるか」という一点に尽きます。

“ミゾ”が生む悲劇

もうお分かりですね。

医療が「日常生活が可能=OK」と判断しても、職場が求める「業務遂行が可能=OK」の基準には、まだ達していないことがあるのです。

この”見ている景色の違い”を理解せず、主治医からの「就労可能」という診断書一枚だけで復職プロセスを進めてしまうと、どうなるでしょうか。

  • 本人: 「主治医のOKが出たのに、なぜ会社は色々聞いてくるんだ…理解してくれない…」と孤立感を深める。
  • 職場: 「復職OKと聞いたけど、本当に大丈夫だろうか…どんな仕事を任せたらいいかわからない…」と不安になり、過剰に気を遣ったり、逆に腫れ物に触るような扱いをしたりしてしまう。

このすれ違いこそが、復職後の不適応や症状の再燃を引き起こす最大の原因なのです。では、この深いミゾを、私たちはどうやって埋めていけば良いのでしょうか。その答えが、次に紹介する「4軸アセスメント」です。

2:連携のミゾを埋める魔法のツール「4軸アセスメント」とは?

「主治医に、職場の状況をうまく説明できない…」 「会社に、自分の状態をどう伝えたら安心してもらえるかわからない…」

そんな悩みを解決するために、この論文の著者である小山医師らが提唱しているのが「4軸アセスメント」という情報共有のフレームワークです。

用語解説:4軸アセスメント 筆者らが提案する、両立支援に必要な情報を「Ⅰ.現症」「Ⅱ.勤労状況」「Ⅲ.個人・生活状況」「Ⅳ.事業場側の懸念」の4つの側面(軸)から整理・評価する枠組み。医療と職場が”共通言語”で対話するためのツールです。

これは、あなたの状態を4つの異なる角度から客観的に評価し、関係者全員が「同じ情報」を共有するための、いわば「復職のためのカルテ」のようなものです。一つずつ見ていきましょう。

軸Ⅰ:現症(医学的見解)

これは、まさに主治医の専門分野である「疾病性」に関する情報です。

  • 診断名 (ICD-10): うつ病エピソード、適応障害など
  • 主な症状と程度: 抑うつ気分、不安、不眠、意欲低下のレベル
  • 服薬状況: 薬の名前、量、眠気などの副作用の有無
  • 注意集中力: 日常生活での状態や問診での評価
  • 気分の安定性: 2週間以上の持続的な安定が保たれているか

ここは主に主治医が評価し、職場に提供する情報です。ポイントは、「うつ病です」という病名だけでなく、「その結果として、どのような症状が、どの程度あるのか(あったのか)」を具体的に伝えることです。

軸Ⅱ:勤労状況(職場の安全・衛生にかかる要因)

ここからは、職場の「事例性」に関わる情報、つまり「働く上での現実的な課題」を評価します。これは、あなた自身と職場が主体となって考えるべき項目です。

  • 勤務形態: 勤務時間の規則性、超過勤務や出張の状況
  • 作業環境: VDT作業の多さ、騒音、高所作業など、業務上の物理的ストレス
  • 職業性ストレス: 業務量、裁量度、上司や同僚との関係
  • 通勤: 安全に通勤できるか(満員電車など)
  • 職場でのサポート: 相談できる上司や同僚、産業保健スタッフはいるか

これらの情報を主治医に伝えることで、先生はあなたの働く環境を具体的にイメージでき、より現実に即したアドバイスが可能になります。

軸Ⅲ:個人・生活状況(個体・状況要因)

これは、あなたの「生活者としての一面」を評価する軸です。職場から一歩離れた、あなたの日常生活の安定度が、実は復職後の安定性に大きく影響します。

  • 睡眠覚醒リズム: 決まった時間に起き、決まった時間に寝られているか
  • 食習慣: 栄養バランスの取れた食事を摂れているか
  • 日中の活動: 散歩や読書、家事など、業務に類似した活動を行えているか
  • 生活上の役割: 家事、育児、介護などの負担はどの程度か
  • サポート体制: 支えてくれる家族や友人はいるか
  • QOL(生活の質): 自分自身の生活に満足感や充実感を持てているか

生活リズムの乱れや家庭内のストレスは、職場復帰の大きな妨げになります。この軸を整えることは、復職の土台作りに他なりません。

軸Ⅳ:事業場側(職場)の懸念

最後の軸は、これまであまり光が当てられてこなかった、しかし極めて重要な「職場が抱える不安や疑問」を言語化するものです。

  • 病状への理解: 診断書の内容と本人の状態がどう結びつくのか?
  • 業務遂行能力: 本当に元のパフォーマンスで働けるのか?
  • 再発のリスク: 通常の業務が、病状に悪影響を与えないか?
  • 周囲への影響: 本人への接し方は?チームのパフォーマンスは低下しないか?
  • 安全への配慮: 通勤や業務中に事故を起こす危険はないか?
  • キャリアへの懸念: 長期的に見て、このまま働き続けてもらえるのか?

これらの懸念は、決して意地悪で抱いているわけではありません。あなたと、他の従業員、そして会社全体を守るための、当然の責任感から生じるものです。この不安をオープンに共有し、一つずつ解消していくことが、信頼関係の構築に繋がります。


【アプリ】あなたの現状を整理しよう!インタラクティブ4軸チェックシート

この4つの軸を、あなた自身で整理してみませんか?

もちろん、無料です。(もし役に立ったらSNS等で紹介してくださると非常に嬉しいですが、こっそり使っていただいてもOKです!)

以下のチェックシートは、あなたの現状を客観的に把握し、主治医や会社と話す際の「たたき台」として活用できます。各項目について、ご自身の状況を振り返りながら入力してみてください。

超詳細インタラクティブ4軸分析シート

ご自身の状態を客観的に見つめ直し、復職に向けた対話の準備をしましょう。

軸Ⅰ:現症(医学的見解)
軸Ⅱ:勤労状況(職場の要因)

主に休職に入る前の職場の状況について、わかる範囲でご入力ください。この情報をもとに、復職後の環境調整を考えます。

軸Ⅲ:個人・生活状況
軸Ⅳ:職場への配慮依頼

この4つの軸を意識するだけで、あなたは自分の状態を「病気の回復度」だけでなく、「働くための準備度」という多角的な視点で見つめ直すことができます。

さらに、自分自身を知り、できることを見つけるキッカケにもなると思います。

ぜひ、このシートを使って整理した情報を、主治医と職場に共有すること。それこそが、両者の”ミゾ”を埋める、最も確実で誠実な一歩となるのです。

ブログの記事を参考に、「主治医の視点」と「職場の視点」からの意見をついかしていくことでより現実的で、良い情報共有ができると思います。

そこで、パート3の具体的な事例を参考に、私の作成したシートを活用しつつ、文献で紹介している4軸アセスメントを行っていただけるとよいのではないかと思います。

3:連携が治療を加速させる?復職成功事例から学ぶ具体的なステップ

「理屈はわかったけど、実際にうまくいくものなの?」 そう思われるかもしれません。論文では、この4軸アセスメントを活用して復職に成功した事例が紹介されています。

【事例1】Aさん(35歳女性、企画職)のケース

Aさんは元々仕事熱心で責任感も強く、周囲からの評価も高い方でした。しかし、仕事に没頭するあまり自身の健康を省みず、夫の健康問題も重なり、心身が疲弊。ある日職場で涙が止まらなくなり、休職に至りました。

【連携前の状況】

  • 主治医: 週1回のカウンセリングで症状は寛解(かんかい)。医学的には回復。
  • 職場: Aさんの回復を喜びつつも、復帰後の具体的なプランはない状態。
  • 課題: 主治医と職場との間で、一切の情報交換がなされていなかった。

用語解説:寛解(かんかい) 病気の症状が、一時的あるいは継続的に軽快、または見かけ上なくなった状態のこと。「完治」とは少し異なり、再発の可能性も考慮される状態を指します。

このまま復職していたら、おそらくAさんは業務負荷の高い元の部署に戻り、再燃していた可能性がありました。

【4軸アセスメントを用いた連携】

ここで、主治医が会社の産業医に連絡を取り、三者(本人、主治医、産業医・保健師)で協議の場が持たれました。そこで「4軸アセスメント」を使ってAさんの現状を評価したのです。

  • 軸Ⅰ(現症): 医学的には寛解しており、良好。
  • 軸Ⅱ・Ⅳ(勤労状況・職場の懸念): しかし、以下の2つの課題が浮き彫りになりました。
    1. 課題①: 会社に試し出勤(トライアル出勤)の制度がなく、いきなりフルタイム勤務に戻るのはリスクが高い。
    2. 課題②: 元の部署は業務負荷が高く、復帰すれば症状再燃の懸念が強い。

【連携がもたらした結果】

この具体的な課題が見えたことで、解決策も具体的に見えてきました。

  1. 通院と産業医面談を並行: 主治医の診察と、職場の事情をよく知る産業医の面談を並行して行い、心身の状態と職場での働き方の両面からサポートを継続。
  2. 社内での人事調整: ちょうどその頃、業務負荷が比較的軽い他部署の上司がAさんを迎えたいと希望。会社側もこの情報をもとに調整を行い、Aさんは負担の少ない部署へ異動して復職することができました。

結果、Aさんは症状の再燃なく、安定して就労を継続できています。

この事例から学ぶべきこと

この事例の最大のポイントは、「連携によって、休職前には見えなかった選択肢が生まれた」ことです。もし連携がなければ、Aさんは「元の部署に戻るか、辞めるか」の二択しかなかったかもしれません。

さらに論文では、「連携情報の解決程度は治療効果に影響する」という驚くべき示唆がなされています。つまり、職場環境の調整や人間関係といった「働く上での課題」が解決されることが、うつ症状そのものの回復を早める可能性がある、ということです。

医療と職場の連携は、単なる復職のための事務手続きではありません。あなたの治療をより効果的に進めるための、積極的な治療行為の一つなのです。

論文の理解を深めるQ&A

ここまでの内容を踏まえて、読者の皆さんが抱くであろう疑問に、PTケイがお答えします。

Q1. 主治医に「4軸アセスメント」の話をどう切り出せばいいですか?

とても重要な質問ですね。診察時間は限られていますし、どう切り出せばいいか悩みますよね。

A1. おすすめは「復職に向けて、会社の〇〇(産業医や人事担当者)と相談しています。その資料として、先生のお力をお借りしながら、自分の状態を整理したいのですが」と切り出す方法です。

ポイントは以下の3つです。

  1. 「相談したい」という姿勢で: 「これを書いてください」と要求するのではなく、「一緒に考えたい」という姿勢が大切です。
  2. 目的を明確に: 「会社との情報共有のため」という目的を伝えることで、主治医も協力の必要性を理解しやすくなります。
  3. 事前に自分で記入しておく: 先ほどのインタラクティブ4軸チェックシートをあらかじめ作成しておきましょう。作成したチェックシートの余白を用いて、主治医の行っていたことをメモしておけるようにすれば、主治医に記載してもらうことが難しい場合でも、自分の不明点や必要なことを聞き出すことができると思います。

多くの主治医は、患者さんが主体的に治療や復職に取り組むことを歓迎してくれるはずです。勇気を出して、相談してみてください。

Q2. 会社(人事や上司)にどこまで自分の情報を開示すべきか不安です。

プライベートな情報をどこまで話すべきか、非常にデリケートな問題ですよね。特に「Ⅲ.個人・生活状況」などは話したくないと感じるかもしれません。

A2. すべてを詳細に話す必要はありません。大切なのは「仕事に影響しうる情報」を「必要な範囲で」共有することです。

例えば、「夫との関係で悩んでいる」と詳細を話す必要はありません。しかし、それが原因で「現在、家庭内で十分に休息が取れていないため、残業が続くと回復が遅れる可能性があります」というように、「仕事への影響」という観点に変換して伝えることが重要です。

4軸アセスメントは、あくまでも「円滑な復職」という共通目的のためのツールです。どの情報を、どのレベルで共有するかは、あなた自身がコントロールできます。産業医や信頼できる人事担当者がいる場合は、まずその人に相談し、どこまでの情報を上司に伝えるべきかアドバイスをもらうのも良い方法です。

Q3. 会社に産業医がいません。どうやって連携すればいいですか?

従業員50人未満の事業場など、産業医がいない会社や機能していない会社も多いのが実情です。

A3. その場合は、まず直属の上司や人事・労務の担当者が連携の窓口になります。また、外部の支援機関を活用することも非常に有効です。

具体的な連携相手としては、

  • 直属の上司・人事担当者: まずは、正直に状況を相談しましょう。その際も4軸アセスメントの考え方は役立ちます。
  • 各都道府県にある「産業保健総合支援センター(さんぽセンター)」: ここでは、事業者や労働者からの専門的な相談を無料で受け付けています。両立支援の専門家(両立支援コーディネーター)が、会社との間に入って調整を手伝ってくれることもあります。
  • リワーク施設のスタッフ: リワークプログラムを利用している場合、スタッフが会社との情報共有や調整をサポートしてくれます。

一人で抱え込まず、利用できる社会資源は積極的に活用しましょう。あなたの会社が両立支援に不慣れな場合、こうした外部機関のサポートが、会社側にとっても大きな助けとなります。

リワーク施設は私も利用しましたが、このようなシートの内容と同じように自己分析や課題などを一緒に整理してくれる非常に復職する際に強力なサポートを受けることができましたので、おすすめです。

まとめ:あなたは一人じゃない。情報を武器に、主体的な復職を。

今回は、うつ病などからの復職を成功させるための「医療と職場の連携」について、論文をもとに詳しく解説してきました。最後に、重要なポイントをもう一度おさらいしましょう。

  1. 復職の壁は「視点の違い」にある: 医療は「疾病性(病気が治ったか)」、職場は「事例性(仕事ができるか)」を見ています。この違いを理解することが、すべての始まりです。
  2. 連携の鍵は「4軸アセスメント」: 「現症」「勤労状況」「生活状況」「職場の懸念」の4つの軸で情報を整理・共有することで、医療と職場のミゾは埋められます。これは、あなたの状態を客観的に伝える最強のツールです。
  3. 連携は「治療の一環」である: 職場環境など、働く上での課題を解決することは、症状の回復を早める可能性があります。連携は、あなた自身が主体的に取り組むべき、積極的な治療なのです。

休職中は、どうしても「自分は社会から切り離されてしまった」という無力感や孤独感に苛まれがちです。私もそうでした。しかし、この記事をここまで読んでくださったあなたは、もう無力ではありません。

「4軸アセスメント」という羅針盤と、「連携」という強力な船を手に入れました。

これからは、ただ医師の診断を待つだけ、会社の決定を待つだけ、ではありません。あなた自身が、自分の状態を正確に把握し、情報を整理し、それを武器に主治医や会社と対等な立場で対話していくのです。

その主体的な一歩一歩が、あなたを「再び壊れるかもしれない」という不安から解放し、本当の意味で安心できる、そして長続きする働き方へと導いてくれるはずです。

あなたの復職が、単なる「職場への復帰」ではなく、「あなたらしい働き方を見つける新たなスタート」になることを、心から応援しています。


参考文献

  • 小山文彦(2023).治療と仕事の両立支援 ―うつ病などのメンタルヘルス不調―.Jpn J Rehabil Med 2023;60:417-422

健康・医学関連情報の注意喚起

本記事は、うつ病などのメンタルヘルス不調からの復職に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医学的アドバイスを提供するものではありません。 うつ病などの診断や治療、復職の可否判断については、必ず主治医や産業医などの医療従事者、および所属する企業の担当者にご相談ください

主治医のOKだけじゃダメ?うつ病からの復職、本当に必要な情報共有のすべて

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