「装具が必要です」とお医者さんやリハビリの先生から言われたものの、通院が難しいご家族のためにどこで誰に頼めばいいのか分からず、不安な気持ちで検索されている方も多いのではないでしょうか。
実はそのお悩み、通院しなくても、訪問リハビリだけで装具作成を完結させることができるんですよ。
この記事では、医師の指示書をもらうところから義肢装具士さんとの連携、完成までの流れを9つのステップで、保険の仕組みも含めて具体的に分かるように解説していきますね。
私自身、訪問先で装具作成の指示書対応や義肢装具士さんとのやり取りを実際に経験してきたので、その実感をもとにお伝えできればと思います。
訪問リハビリでも装具作成は自宅で完結できる

結論からお伝えすると、装具作成は通院しなくても、訪問リハビリだけで完結させることができます。
ただし、厚生労働省の通知により、治療用装具の療養費支給には以下の手順が必要です[1]。
- 保険医が診察し、治療上必要と判断する
- 保険医の指示(処方)のもとで製作が行われる
- 義肢装具士が採型・採寸・適合調整を行う
- 保険医が装着(適合)の確認を行う
この手順を踏まない装具は療養費の対象外になります[1]。
主役は「保険医」と「義肢装具士」で、訪問リハビリの担当者は評価や適合確認、連携のサポート役です。
医師の訪診や義肢装具士の訪問を組み合わせれば、ご本人が動かなくても自宅で一連の流れを完結できるケースは多いです。「通院しないと装具は作れない」と思い込んでいる方も多いので、ぜひ知っておいてください。
装具作成は訪問PTが伴走し9ステップで進む
装具作成は「病院に何度も通う」イメージがありますが、訪問リハビリなら自宅にいながら進められます。
大まかな流れは以下の9ステップです。
- 医師の診察(訪問診療等)
- 装具の処方(指示書の発行)
- 義肢装具士による初回評価
- 型取り
- 仮合わせ用装具の製作
- 仮合わせ・調整
- 訪問PTによる適合確認
- 微調整・再製作(必要な場合)
- 本装具の完成・生活への導入
評価・仮合わせ・完成までの流れ
型取りから完成までは義肢装具士が中心となって進めます。訪問PTは、歩き方のクセや家の中の段差・床材も踏まえ、「この装具で生活が安全に成り立つか」という視点を仮合わせ段階から添えていきます。
訪問PTが行う適合確認とフィードバック
完成後も実際に歩いてもらい、擦れや痛み、フィット感を確認するのが訪問PTの大事な仕事です。装具は「作って終わり」ではなく、使いながら微調整するものです。
不具合が見つかれば、製作を担当した義肢装具士に直接連絡するのが確実です。
装具作成には医師の指示書が必須となる
訪問リハビリで装具を作る場合も、必ず医師の指示書(処方せん)が出発点になるという点は押さえておきたいポイントです。「訪問だけで完結するなら医師は関わらなくていい」と思われがちですが、実はそこが一番大事な部分なんです。
装具処方せんに必要な医師の診察
厚労省の通知では、治療用装具の療養費支給には以下3ステップが必須とされています[1]。
- 保険医が診察し、治療上必要と認めて指示(処方)すること
- 義肢装具士が採型・採寸・適合調整を行うこと
- 保険医が装着(適合)を確認すること
いずれかを欠くと療養費の対象外になります。訪問診療でも手順は同じで、「訪問リハビリだから医師抜きでOK」とはならない点は覚えておいてください。
指示書からの申請手続きの流れ
大まかな流れは、①医師が診察し指示(処方せん)を出す→②義肢装具士が採型・適合調整→③医師が装着状態を再確認→④費用申請、というイメージです。
装具の種類は症状に合わせて医師が処方を判断する
「装具」といっても、症状によって使うものは全然違います。
訪問PTは利用者さんの状態を評価し、生活場面でどのような装具が適していそうかを整理した上で、その情報を医師に共有します。最終的にどの種類の装具を処方するかは、医師が診察のうえで判断し、指示書(処方せん)を発行します(実際の型取り・製作は義肢装具士さんが担当します)。
下肢装具は歩行維持に使われる
下肢装具は、脳卒中による片麻痺や加齢による筋力低下で足首や膝が不安定になった方の歩行を支える目的で使われます。
- 短下肢装具(AFO):足関節を固定するタイプで、プラスチック製と金属支柱付きがあります。つま先が上がりにくい方には軽量な「プラスチック製短下肢装具(シューホーン型)」、より強い支持力が必要な方には「金属支柱付き短下肢装具」が選ばれます。
- 長下肢装具(KAFO):大腿部から足底までを覆い、膝と足関節の両方を支えるタイプです。金属支柱付きのものが代表的で、脊髄損傷などにより下肢に麻痺が残る方が、実生活の中で立位や歩行の状態を保つために継続して使用するケースがあります。
症状の重さに応じて選択肢が変わり、「歩ける状態を長く維持する」という視点で種類を検討していきます。
上肢・体幹装具の適応となる症状
上肢装具は、麻痺による手首の変形予防や痛みの軽減を目的に使われます。
- 手首が下がってしまう麻痺(下垂手)がある、または骨折後の安静固定が必要な場合は、手首を軽く反らせた位置で固定するコックアップスプリントを検討します。
- 正中神経麻痺などで親指の動きが制限され、物をつまむ・握る動作がしづらい場合は、親指を対立位で保持する短対立装具を検討します。
体幹装具は、脊椎の圧迫骨折後の痛み緩和や姿勢保持のために処方されるケースが代表的です。
- 圧迫骨折による痛みが比較的軽度で、姿勢保持を目的とする場合は、ベルトを締めて固定する軟性のダーメンコルセットを検討します。
- 骨折部に負担のかかる前かがみの姿勢をしっかり制限したい場合は、胸骨と恥骨をフレームで支える硬性のジュエット型装具を検討します。
どちらも「今の生活で何に困っているか」を丁寧に聞き取りながら必要性を見極めていきます(経験を積んでも毎回悩ましいものです(笑))。
装具作成費用は医療保険と障害者総合支援法で仕組みが違う

装具づくりは使う制度によって仕組みが変わり、混同すると戸惑うので整理します。
医療保険は療養費払いで一旦立替
治療中の装具は医療保険の「治療用装具療養費」の対象です。医師の処方、義肢装具士の採型・適合、医師の装着確認という流れが必要です[1]。注意点は療養費払いであること。一旦全額立て替え、後日申請して払い戻しを受ける形なので、知らないと驚きます。
障害者総合支援法は症状固定後の補装具が対象
症状固定後の恒久的な装具は、障害者総合支援法の「補装具費支給制度」の対象です。治療用装具療養費が「治療の途中」を支えるのに対し、こちらは「症状固定後、長く使うもの」。タイミングが違うため申請窓口を間違えることもあります。
介護保険の福祉用具貸与とは別カテゴリー
介護保険の給付は車椅子や歩行器など「福祉用具貸与」が中心で、個別に型取りする治療用装具・補装具は原則対象外です。
義肢装具士との連携は採型時から始まる
装具作成は、義肢装具士さんとの二人三脚だと私は考えていますね。採型(型取り)にPTが同席することで、使いやすい装具に仕上がりやすくなります。
採型時に同席してもらうタイミング
- 医師の指示書が出た直後の採型
- 仮合わせの段階での動作確認
- 完成後の初回装着時
採型時にPTが同席することで、歩容や関節の動きを踏まえた微調整の相談がしやすくなります(任せきりだと後から「ここが合わない…」となりがちです)。
修理・調整依頼もPT経由で可能
装具は使用中に破損したり、体の変化に合わなくなることがあります。そんなときもPTを経由して義肢装具士さんに修理・調整を依頼できます。
実際に私が病院に勤務していた頃、入院患者さんの下肢装具に不具合が見つかり、作り直しが必要になった場面がありました。製作してくれた義肢装具士さんにすぐ連絡し、病院まで見に来てもらって修理してもらったんです。
不具合は製作した義肢装具士に直接連絡して現物を見てもらうのが確実だと実感しました(餅は餅屋ですね)。訪問リハビリの現場でも同じで、違和感に気づいたら我慢せずPTに相談していただけると、橋渡しがスムーズになりますよ。
まとめ:訪問リハビリと装具作成をスムーズに進めるために

ここまで、訪問リハビリと装具作成についてお伝えしてきましたが、最後に大事なポイントを整理しておきますね。
- 装具作成には医師の指示書が必須(通院不要で訪問リハビリのみでも完結できます)
- 費用の制度は「医療保険」と「障害者総合支援法」の2つがあり、混同しないよう注意が必要ですね
- 型取り・製作は義肢装具士が担当し、訪問PTは評価・適合確認・連携を行う役割です
装具に不具合が出た際は、製作した義肢装具士に直接連絡し、現物を見てもらうのが確実です。
制度や役割分担は少し複雑に感じるかもしれませんが、一つひとつ理解しておくと、いざという時に落ち着いて対応できますよ。
この記事が、装具作成を検討されているご本人・ご家族の不安を少しでも軽くするお手伝いになれば嬉しいです。
引用文献
[1] 厚生労働省. 治療用装具に係る療養費の支給の留意事項等について(令和5年3月17日 保医発0317第1号). https://www.mhlw.go.jp/bunya/iryouhoken/iryouhoken13/dl/230323_03.pdf. 2023年. アクセス日: 2026年09月03日.





