「講習会に参加してみようと思うが、行ったことがなくてどれがおすすめか分からない」という悩みは、私自身も駆け出しの頃によく感じていました。今回は、参加者のレベルや目的からどのような勉強会に参加すればよいか悩んでいる方に、私なりの考えを参考にしていただければと思います。
講習会の種類を3タイプに整理

いろいろな講習会・勉強会・セミナーがあると思いますが、理学療法士においては経験上概ね3タイプに分けられるのかと思います。まずは、その3タイプを整理しておきます。
知識系
一番多いのが知識系だと思います。主に講義形式で行われ、『解剖学を分かりやすく!』や『脳画像の診方』などの方法を講師が大勢に対してスライドなどを用いて解説していくタイプです。
知識系は講習会全般において、基盤になっており、後に説明する技術系・ディスカッション系の講習会にも、だいたい一部知識系の要素が入っていることが多いです。
技術系
理学療法士の技術を伝承する必要があり、技術系の講習会・勉強会も多く存在しています。『徒手療法』や『ボバースコンセプト』、『触診方法』などがコレに当たります。『講師が実演』→『別の参加者とペアで練習』を繰り替えすタイプです。講師は、巡回し、適宜質疑応答しつつ、進めていきます。
理学療法士など直接患者さんに触れ、治療を行うため、こういった講習会が必要不可欠だと思います。
ディスカッション系
これは、『ワールドカフェ方式』という話し合いの手法などを用いて、『参加者がグループを作り話し合い』→『1つの答えをまとめる』→『発表』→『別のグループとの意見交換』といった流れで行われたりします。
議論や情報のまとめ役、司会進行など『コミュニケーション関連のスキル』が必要となり、理学療法士としては比較的病院内で働いているだけでは体験できないことが多い印象です。結構新鮮な感覚で参加できる反面、緊張感も強い気がします。
講習会タイプ別に特徴を整理

私は過去に100近くの講習会に参加してきましたが、その経験から主観的ですが、講習会タイプ別に要素を整理しました。
| 講習会タイプ | インプット | アウトプット | コミュニケーション | 体系的 | 実践的 | 即時効果 | 長期効果 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 知識系 | ◎ | △ | △ | ◎ | △ | △ | ◎ |
| 技術系 | ○ | ◎ | ○ | ○ | ◎ | ◎ | ◎ |
| ディスカッション系 | ○ | ◎ | ◎ | △ | ○ | △ | ○ |
私の主観的な講習会のタイプ別の求められる要素
◎はその要素が多い
○はその要素が含まれる
△はその要素が少ない
インプット
知識系:◎
多くの量の情報を学ぶことができます。基礎から応用まで講師が実践している内容などを整理して、研究などと組み合わせて分かりやすく教えてくれます。
まだその分野の知識がない場合や、自分の専門外のテーマであれば知識系のセミナーが一番参加しやすいと思います。
まずは、インプットがあってのアウトプットですしね。
実技系・ディスカッション系:○
技術系やディスカッション系でも、インプット量としては少なくなりますが、参加者の主体性によっては、他の講習会参加者との交流の中で多くのインプットを得られると思います。
ただし、講習会の目的は単なるインプットではなく、実践やどう活用するかを考えていくテーマの場合が多いような印象です。
講習会参加目的として、インプット要素を求める場合は知識系の講習会が有効だと思います。
アウトプット
知識系:△
知識系は、講習会によってはアウトプットの機会がない場合もあります。
講師の伝え方によっては、演習などを取り入れることもありますが、ほぼインプットのことが多い印象です。
技術系・ディスカッション系:◎
技術系やディスカッション系では、実技や自分の意見を述べる場面があり、比較的アウトプットの量が多いです。
実技系では参加者が不明点について聞いたり、わからないところを明確にしながら行わないと、適切なアウトプットができず、時間を無駄にする可能性があるため注意が必要です。
ディスカッション系でも同様で、黙っていても済む場合や聞き役になりすぎると有意義に過ごせない可能性があります。
講習会参加目的として、アウトプット要素を求める場合は、技術系やディスカッション系の講習会を選択すると良いと思います。
コミュニケーション
知識系:△
講習会の中で参加者との交流が少なく、コミュニケーションは講師から参加者の1方向性である場合が多いです。
講師によっては、双方向性を意識する方もいますが、知識系の講習会は座学が多く、講義形式となり、基本的にコミュニケーションは生まれにくい性質があると思います。
eラーニングなどは特にわかりやすいですが、動画形式ではコミュニケーションがそもそも難しいですよね。
チャットやビデオ電話などを活用したオンライン講習会(ディスカッション形式)などはその限りではないとは思います。
実技系:○
実技系でもペアになった人と交流します。
実技をやられている感覚や、やっている方の感覚をお互いに伝え合えるとかなり有意義に練習を進められます。
また、不明点が出た場合は、参加者同士で悩まず、早めに講師に聞くような行動を取ることが重要です。
ディスカッション系:◎
ディスカッション系はほとんどすべて参加者とのコミュニケーションから成り立つためコミュニケーションの要素が強いです。
いろいろな人の状況や経験を話した中に共感や気付きが生まれることがあります。
講習会参加目的として、参加者や講師とのコミュニケーションを重視する場合は、実技系やディスカッション系の方が向いていると思います。
体系的
知識系:◎
知識系では講師の積み上げた経験や学びを分かりやすく、基礎から伝えてくれるものが多く、1つの筋が通った体系化されたものが多いです。
実技系:○
実技系では、実技の中で手順や考え方が体系化されていますが、テクニック優先の講習会も存在多い印象です。
講習会によっては、どういった意図でどう動かすかなど、目的や経験を論理的に説明してくれる講習会もありますが、とにかくやり方を詳しく教えてくれる場合もあります。
なので体系的かどうかに関しては、講習会によって結構変わってくる印象です。
ディスカッション系:△
ディスカッション系では、体系的に教えてくれる場合もありますが、議論の素材となるものを伝え、自分たちで考えを作り上げていく要素が強い印象です。
なので、人から体系的なものを教えてもらう要素は少ないと感じます。
体系的に学ぶ場合は講習会に単発で参加するよりも、同じテーマや講師をフォーカスして参加するのが最強だと思います。
コースになっている場合、知識系、実技系、ディスカッション系がすべて含まれている場合もあります。これこそ、体系的だと思います。
即時効果
知識系:△
知識系は一見使えそうな内容で講習会を終えますが、聞いた内容を実践しようとするといろいろ疑問点や難しさを感じる印象があります。
また、今まで知らなかったことが大量にインプットされ、情報過多になりやすいです。
そのため、学んだ知識を実践にそのまま活かす具体的方法まで落とし込むことに苦戦することが多いです。
一度、学んだ知識を整理して、自分だったらどうするか?自分の環境ではどう応用するか?など考えたりする必要があるので、明日から実践していくことが比較的難しい講習会が多い印象です。
実技系:◎
明日から使える講習会の即時効果という観点では、技術系が圧倒的良いと思います。
実際に講習会で行ったことはかなり具体的だし、実践しやすいものが多いので明日からの臨床で役立てやすいです。
また、頭だけでなく、体を動かしながら学ぶため、定着しやすく、結構内容を覚えています。
ディスカッション系:△
ディスカッション系も色々意見を出し、話して充実しますが、明日から何をするかとなると色々話しすぎて整理がつきにくいです。
参加者同士で話し合っても、それぞれの環境は異なっており、ディッカッションした内容がそのまま所属で実践できるかというとそれは難しいです。
ディスカッション内容を所属の環境で考えたらどう活かせるか考える必要があります。
ディスカッション系の講習会では、そういったどう議論するか、考えるかという方法を実践している要素が強い気がします。
即時効果の要素では、具体的、実践的な内容を行い、頭と体を使うため定着しやすい実技系が最強ですね。
長期効果
知識系:○
知識系の講習会に参加した時、結構普段の臨床で対象ケースがいなかったり、実践できない内容の場合があります。
こういった内容は、うっすら記憶に残りますが詳細は不明になりがちで、長期効果低めな印象です。
しかし、使う頻度の高い知識は、講習会で学んだ知識から実践で得られた感覚からさらなる発見や不明点を調べることで強化され、長期的に学ぶきっかけになることがあります。
実技系:◎
技術系の内容は実践しやすいことから定着しやすく、長期的にも役立っているものは多いです。
やはり、頭だけでなく、身体を動かすので定着しやすいため長期効果が高いと思います。
ディスカッション系:○
ディスカッション系は、議論の中で学び、考え方そのものを学びます。
講習会でやった考え方を所属に持ち帰り実践していくことで、さらに自分の考えが磨かれ、長期効果としてはさらにレベルアップしていくように学んでいきやすいです。
講習会の内容→実践→講習会の内容・・・・と繰り返し、学ぶことで自分の血となり肉となる印象です。
どの講習会でも、学んだ内容を実践していくと、その経験や自己学習により肉付けされ、新たな学びによる長期効果があります。つまり、長期効果はその後の学び次第であり、どの講習会も参加後にどう行動するかが最も重要であるということが本質ではないかと思います。
結局どれに参加すればいいの?

講習会の特徴は独断と偏見により私の方で整理させていただきました。次はどの講習会に参加すべきかという点について考えていきます。
目的があればどのタイプの講習会でも積極的に参加しよう!
身も蓋もない答えに感じるかもしれませんが、これは重要です。
目的意識がないと、講習会に参加しても活かしていくことができません。
是非、ちょっと興味があるから参加しようなどという軽い気持ちではなく、自分の目標に役立てるための情報収集や意見交換、レベルアップなどを目的に参加できると有意義な時間を過ごせると思います。
ただし、目的意識なく参加してもその講習家の中で新しい気付きがある可能性はありますので、参加しないよりは良いと思います。
その分野の知識や経験に応じて講習会を選ぶべし!
知識ゼロの場合、いきなり実技系、ディスカッション系に参加することは割とストレスが掛かりますし、ハードルが高いと思います。
なので、その講習会のテーマについての知識が一切ない場合は、知識系から参加することが良いと思います。
知識から徐々に技術やディスカッションでの発信につなげることができますし、知識を得た後の経験も役立ってくると思います。
コースになっている講習会では、やはり最初は知識系の内容から徐々に実技、ディスカッションにつなげる構成が多い印象です。
逆に、ある程度知識があれば、積極的に実技系やディスカッション系に参加することでいろいろな参加者の意見を聞いたり、講習できるため良いと思います。
具体的例
- 呼吸関係の勉強会にでたいけど呼吸についてほぼわからない→呼吸の知識系のセミナーへ参加しよう
- 解剖学はある程度自信ある→3日間ある触診の実技中心のセミナーに参加しよう
- 経験年数8年で上司としていろいろ考えてきた→管理職系のディスカッション系セミナーへ参加しよう
まとめ

講習会に参加し、外部との交流による学びは大きいです。有意義な時間を過ごすためにも今回の記事の内容を参考にしていただければと思います。
今回の記事の内容を整理すると、
- 講習会には大きく分けて知識系、技術系、ディスカッション系がある
- 講習会の種類によって特徴があり、学べることも異なる
- 講習会の参加には目的意識が最重要
- 講習会参加で迷うなら自分の知識、経験に応じて講習会の内容、種類を選ぶといい
理学療法士の方は勉強に意欲的な方も多いです。ぜひ、講習会に参加→自分の所属で情報共有→個人の実践→組織のレベルアップ、といった好循環を作っていけるとよいかと思います。





