はじめに:もしかして「頑張りすぎ」?その疲れ、見過ごさないで
「毎日仕事と副業でクタクタ…」 「勉強もしたいけど、帰宅したらもう気力がない…」 「頑張っているはずなのに、なぜか朝から疲れが取れない…」
現代社会は、多くの役割やタスクを抱え、知らず知らずのうちに心身をすり減らしてしまいがちな環境です。私自身、理学療法士としての仕事に加え、副業や自己研鑽に励む中で、かつて「燃え尽き寸前」まで頑張りすぎてしまい、モチベーションが著しく低下した苦い経験があります。
さらに、私には「非常に疲れやすい」という性質があり、後にADHD(注意欠如・多動症)の診断も受けました。この特性も、当時の状況に少なからず影響していたと感じています。
この記事は、2020年当時の私の経験と、そこから得た教訓を元に、
- 仕事や自己投資でつい無理をしてしまいがちな方
- 日々の忙しさの中で、心身の疲労が蓄積していると感じる方
- 自分自身の特性(疲れやすさやADHD傾向など)と上手く付き合いながら、持続可能な働き方・生き方を見つけたい方
に向けて、「疲れ果てる原因」を深掘りし、具体的な「対策」としての「短いスパンでのリセット」の重要性を、2025年の視点からお伝えします。
1. なぜ私たちは疲れ果ててしまうのか? – 私の「燃え尽き」体験とADHDという特性
私は比較的真面目で、向上心も高い方だと自負しています。
仕事では、頼まれたことや自分の役割以上のことを自分で抱え込んでしまう傾向がありました。中間管理職としてリハビリテーション部門のグループリーダーを務めていた時期は、臨床業務と管理業務を両立させながら、限られた時間で多くの成果を出すことが求められ、あらゆる効率化手法を試みる日々でした。
年度初めは業務にも余裕があり、副業や勉強にも積極的に取り組めていました。しかし、6月頃から徐々に業務量が増加。それでも「もっと成長したい」「遅れを取りたくない」という気持ちが強く、帰宅が20時を過ぎても、そこから2~3時間PCに向かって作業するという生活を続けていました。
ADHDという特性との関連(自己分析):
- 過集中と時間管理の難しさ: ADHDの特性の一つに「過集中」があります。一度スイッチが入ると、時間を忘れてのめり込み、休憩や食事すら忘れてしまうことがあります。これが、知らず知らずのうちに疲労を蓄積させる大きな要因でした。
- 衝動性と計画性のアンバランス: 「やりたい!」と思ったことにすぐ飛びつくものの、長期的な計画性やタスクの優先順位付けが苦手な面があり、結果的に多くのタスクを抱え込み、自分を追い詰めてしまうことがありました。
- 疲労への気づきの遅れ: 集中している間は疲労を感じにくく、限界を超えてからどっと疲れが出る、というパターンもADHDの特性と関連しているかもしれません。
燃え尽きへの道のり: 疲労を感じ始めた時には、もう手遅れに近い状態でした。特に、毎日続けていたSNSでの情報発信(栄養に関するスライド投稿)が一区切りついた頃、まるで糸が切れたようにモチベーションが急降下し、何も手につかなくなってしまったのです。仕事の業務量もピークに達し、勉強、研究、試験準備といった「やるべきこと」が山積し、どうにもならない状況でした。この膨大なタスクによるストレスが、私を「燃え尽き」へと導いたのだと分析しています。
2. 燃え尽きた時の生活と、見えてきた「回復の糸口」
何もやる気が起きず、ただただ疲労感に苛まれていた時期。当時の生活を振り返ると、一つの大きな変化に気づきました。それは「運動習慣の有無」です。
頑張って活動できていた時期と、疲弊してしまった時期。業務量の違いはもちろんありましたが、ブログや勉強のペースは意地でも維持しようとしていました。では、それ以外の時間で何が変わったのか? それが、趣味であるロードバイクに乗る時間の激減だったのです。
元々、ロードバイクに乗る前は「少し面倒だな」と感じることもありましたが、実際に走り始めると風を切る爽快感があり、乗り終わった後には必ず「乗ってよかった!」という達成感とリフレッシュ感が得られていました。この「ポジティブな経験の積み重ね」が、ロードバイクに乗る習慣を支えていました。しかし、多忙を極める中で、この習慣が途絶えてしまったのです。そして、それができないこと自体も、新たなストレス源となっていたように思います。
3. 回復の鍵は「アクティブレスト」と「短いリセット」にあった
モチベーションが著しく低下し、何も手につかない状態では、当然ロードバイクに乗ろうという気力も湧きません。しかし、「このままではいけない」という思いから、まずは室内でできるローラー台(自転車トレーニング器具)に1日10分程度乗ることから再開しました。そして、休日には1時間、次は1時間半と、少しずつ時間を延ばしていくうちに、「また乗りたい」という気持ちが自然と湧き上がってきたのです。
このように運動を再開すると、不思議と体が楽になり、体力がつくことで仕事での疲れにくさも実感できるようになりました。これこそが「アクティブレスト(積極的休養)」の効果なのだと気づきました。じっと休むだけでなく、適度な運動が心身の回復を促すのです。
体の状態と脳の状態は密接に関連しています。 体のコンディションを整え、心地よい感覚を取り戻すことで、疲労が蓄積しにくいサイクルが生まれるのだと、身をもって体験しました。
4. 「疲れ果てる前」にできること:持続可能な働き方・学び方のヒント
仕事、副業、勉強、研究…現代社会では多くの役割をこなすことが求められがちです。1日8時間働き、1時間通勤し、2時間自己投資すれば、それだけで11時間。睡眠時間を7時間確保すると残りは6時間。食事や家事、そして予期せぬ残業などを考えると、意識的に「回復」の時間を確保しなければ、あっという間にキャパオーバーです。
そこで重要になるのが、「疲労した分、回復する」という意識と、それを「できるだけ短いスパンで繰り返す」ことです。
- 毎日のリセット習慣を組み込む:
- 適度な運動: 10分程度の軽い運動でも良いので、毎日体を動かす習慣を。
- 質の高い入浴: 湯船に浸かることでリラックス効果を高め、血行を促進する。
- 十分な睡眠: 自分に必要な睡眠時間を確保し、睡眠の質にもこだわる。
- バランスの取れた栄養: 体を作る基本です。 これらの習慣は、日々の疲労を軽減し、蓄積しにくい体質を作る土台となります。
- ADHD特性を理解し、対策を講じる:
- 過集中対策: ポモドーロテクニック(例:25分作業+5分休憩)やタイマーを活用し、強制的に休憩を挟む。
- タスク管理の工夫: タスクを細分化し、優先順位をつける。視覚的なツール(GTD・カンバン方式など)も有効。
- 刺激の調整: 集中したい時はノイズキャンセリングイヤホンを使う、逆に適度な雑音がある環境を選ぶなど、自分に合った環境を見つける。
- 「飽き」への対策: 短時間で複数のタスクを切り替える、作業場所を変えるなど、変化を取り入れる。
- 「頑張らない」勇気と計画的な休息: 忙しい時期ほど、意識的に回復のための時間を確保することが重要です。時にはペースを落としたり、タスクを減らしたりする勇気も必要です。「休むことも仕事のうち」と割り切りましょう。
- 自分にとっての「回復時間」を見つける: 何が自分にとって真の休息やリフレッシュになるのかを考え、積極的に生活に取り入れることが大切です。それは運動かもしれませんし、趣味の時間、自然と触れ合うこと、瞑想、あるいは気の置けない友人との会話かもしれません。
私自身、これらの方法を意識することで、徐々に心身のバランスを取り戻すことができました。
おわりに:自分を大切にすることが、最高のパフォーマンスに繋がる
「頑張ること」は素晴らしいですが、「頑張りすぎること」は心身を蝕み、結果的にパフォーマンスを低下させてしまいます。特に、私のように疲れやすい性質を持っていたり、ADHDのような特性を抱えていたりする場合、より一層、自分自身の状態を客観的に把握し、意識的に休息やペース配分をコントロールする必要があります。
大切なのは、「短いスパンでリセットする」習慣を身につけ、疲労を溜め込まないこと。そして、自分にとって何が本当に大切なのかを見失わず、無理のないペースで進んでいくことです。
この記事が、日々の忙しさの中で疲れを感じているあなたの、心と体の健康を守り、自分らしく輝き続けるための一助となれば幸いです。