今回は、理学療法管理・教育系の文献を読み、その中で理学療法評価の難易度に関する話があったので、整理したいと思います。
今回の記事は以下のうような方に向けて書いています。
- 理学療法の現場教育で評価ができるスタッフを育成したい
- 理学療法評価の教育で意識すべき点を知りたい
- 理学療法教育で学生にとって難しいとされるものはなにか知りたい
難易度の高い理学療法評価ランキングベスト4
和島は著書の中で、理学療法評価に関する難易度順位について、臨床実習1期ないし2期を終了した関東の理学療法養成校5校の3年生118名を対象とした調査を行った。
これを元に、ランキング形式でご紹介していきつつ、考察していこうと思います。
4位:患者の全体像の把握
全体像の把握は簡単なのかというとそういうわけではないと思うが、時間をかけて情報を集めてくれば学生でもできるので4位なのかなと思います。
つまり、現場ではなく学生に確認しており、ケース数も少なく時間があることを踏まえて考える必要があるのではないかと思います。
実際に、入職して10ケースとか担当する事になったとき、時間的制約の中で、的確に全体像を把握できるようになるためにトレーニングをして来ましたが、簡単ではなかった印象です。
全体像把握については、まず全体像が把握できる様になったあと、効率的に情報収集し全体像を整理できるようトレーニングしていくことが入職したあとに必要になるのではないかと思います。
3位:問題点の抽出
問題点の抽出は、実習生のレポートを見ていても指導が必要になることが多い部分です。ある意味、全体像を把握した上で、考えていくことが必要になると思います。
単純に、筋力が弱いから問題点に筋力を上げるような思考になってしまいがちです。全体像を把握し、筋力はもともと弱かく、廃用症候群の要素で歌詞の筋力がある程度低下しているだけで、別の問題は体幹の失調だった。(適当な例で申し訳ありませんが)など全体を踏まえて考えるべきものです。
この点について、入職後に問題点の抽出について的確に指導していくことは意外と難しいです。やはり、指導者側が、全体像を把握して、問題点を頭の中で整理した上で部下とすり合わせることが必要なのかもしれないです。
2位:目標設定
適切に全体像や問題点を整理した上でないと目標も建てられないということでしょうか。何もわからず立てることはできないですし、どのくらいの時期に、どのレベルを目標にするのか、理論的に説明して指導できる指導者も少ないと思います。というか、結構難しい話で、結局経験的に設定しやすいというのもあると思います。
この場合、文献の情報などをある程度参考にして、目標設定することが学生としては必要になります。経験がない段階では、どのくらいの経過で良くなっていくのか考えることは難しいです。
目標を設定では、疾患の回復に関する症例発表や研究などの文献を参考にしながら、担当しているケースの要素を踏まえて考えていくことができるようになることが必要でしょう。入職後にこういった能力を鍛えていくことができるよう職場の指導システムを作ることは容易ではないと思います。
1位:疾患・生涯の予後予測
最後は予後予測についてです。予後予測は研究も多くされていると思いますが、目の前の人の予後予測となると、文献は参考にはなりますが、そのまま適応はできません。先程のゴール設定の前段階かもしれませんが、どの程度改善するかの予測が必要なのです。
ゴールを決めるためには、予測ができないといけません。しかし、学生としては、一応ゴールは提示できるけど、予後予測を説明することは難易度が高いということかもしれません。
文献からの情報収集を元に、既往歴や本人のリハビリ意欲、栄養状態、現病歴などを踏まえてどの程度回復する伸びしろがあるか考えていくわけなので難しいですよね。
まとめ
今回読んだ文献は、こちらです。
佐々木嘉光:理学療法の質向上と質変化のマネジメントに挑む-EPDCAサイクルを基盤としたスキルアップとスキルチェンジ-.理学療法学.44(3),141-144;2017
学生の段階では結構難しいですが、入職したあとでもそう簡単ではない理学療法評価です。理学療法の質の向上には、予後予測、目標設定、問題点抽出、全体像の把握の能力が必要であり、これらの能力を向上できる職場の教育システムを考えていくことが重要なのではないかと思います。