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ウソ?ホント?入院時失禁と予後の驚くべき関係

ウソ?ホント?入院時失禁と予後の驚くべき関係
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「え?失禁でその後の生活が変わる?まさか!」

そう思った方は、ぜひこの記事を読んでみてください。

今回は、私が最近読んだ論文から、失禁と予後予測驚くべき関係についてお話します。

「もしかして、失禁も予後に関係あるの?」

この記事では、失禁が予後予測にどう影響するのか、そして理学療法士として何ができるのかについて解説します。

脳血管障害と失禁

今回読んだ文献では、脳血管障害を発症した患者さんを対象に、入院時の失禁の有無と予後との関係について調べられていました。

116例の患者さんのうち、64%が入院時に失禁があったそうです。

この研究では、入院時、3ヶ月後、6ヶ月後のバーセルインデックス(BI)という指標を用いて、患者さんの状態を評価しています。

バーセルインデックス(BI)とは?

バーセルインデックス(BI)とは、日常生活動作(ADL)を評価するための指標です。

ADLとは、食事、着替え、入浴、トイレ、移動など、私たちが日常生活を送る上で必要な基本的な動作のことです。

BIでは、これらの動作を10項目に分け、それぞれ点数化することで、ADLの自立度を評価します。

バーセルインデックスの評価項目

項目点数内容
食事10自立
5部分介助
0全介助
移乗(車椅子~ベッド)15自立
10軽介助や監視が必要
5ほぼ全介助
0全介助・または不可能
整容5自立
0部分介助・または不可能
トイレ動作10自立
5部分介助
0全介助
入浴5自立
0全介助
歩行15自立
10介助・監視下での45m平地歩行可能
5車椅子にて45mは移動可能
0全介助
階段昇降10自立
5要介助・監視
0全介助
着替え10自立
5部分介助
0全介助
排便コントロール10失禁なし
5ときに失禁あり
0全介助
排尿コントロール10失禁なし
5ときに失禁あり
0全介助

失禁とバーセルインデックス(BI)

今回の研究では、失禁項目以外のBI得点を比較した結果、6ヶ月後の得点は失禁群の方が非失禁群よりも有意に低かったということが分かりました。

つまり、入院時に失禁がある患者さんの方が、6ヶ月後まで比較するとBIの値は低く、日常生活動作が改善しにくい可能性があるということを示唆しています。

予後予測としての失禁

このことから、入院時の失禁の有無を確認しておくことは、予後予測として役立つ可能性があると考えられます。

ただし、失禁があるからといって、必ずしも予後が悪いというわけではありません

論文中でも触れられていますが、入院中に失禁が消失するケースもあります。

失禁が消失した場合は、予後が良好なケースが多いことが分かっています。

経過観察の重要性

基本的には、入院中の経過をしっかりと観察し、失禁の有無や変化などを把握しながら、予後予測について考えることが重要です。

失禁の有無については1つの情報として持っておくとよいのではないかと思います。

まとめ

今回の論文では、入院時の失禁の有無が、脳血管障害患者さんの予後予測に役立つ可能性があることが示されました。

しかし、失禁の有無だけで予後を完全に予測できるわけではありません

様々な情報を総合して、患者さん一人ひとりに合わせた適切なリハビリテーションを提供していくことが大切です。

今回の内容が、少しでもお役に立てれば幸いです。

参考文献

大川勝幸, 他. 予後予測因子としての失禁に関する妥当性の検討. 理学療法科学 20(2), 99-104, 2005.

ウソ?ホント?入院時失禁と予後の驚くべき関係

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