「いびきがうるさくて、パートナーに迷惑をかけている…」
「夜中に何度も呼吸が止まっていると言われた…」
こんな悩み、ありませんか?もしかしたら、それは 睡眠時無呼吸症候群(OSA) のサインかもしれません。
OSAは、睡眠中に 気道が狭くなる、あるいは 塞がる ことで、 呼吸が止まる、あるいは 浅くなる 疾患です。
放っておくと、 日中の眠気 や 集中力 の 低下 だけでなく、 高血圧 や 心臓病 などの 深刻な病気 のリスクを高めることも。
OSAの治療といえば、 CPAP(経鼻的持続陽圧呼吸療法) が一般的ですが、 マスクの装着 や 空気圧 による 不快感 から、 治療を継続できない 人もいます。
でも大丈夫! 軽度 から 中等度 のOSAの患者さんには、 CPAP 以外にも 有効な治療法 があります。
それが、 口腔内装置(OA) と呼ばれる マウスピース のような装置です。

口腔内装置(OA)ってどんなもの?
OAは、 睡眠中に装着 することで、 下あご を 前方に移動 させ、 気道を広げて呼吸を楽にする 効果があります。
気道が狭くなっている状態と、口腔内装置で気道が広がっている状態の比較イラスト
口腔内装置(OA)が選ばれる理由
OAは、 いびき や 軽度から中等度 の OSA の治療に 有効 なだけでなく、 CPAP に比べて たくさんのメリット があります。
- 装着が簡単: マウスピースのように 口に装着するだけ なので、 手軽 に使用できます。
- コンパクトで持ち運びやすい: 旅行や出張など、 外出先 でも 使用 できます。
- 装着感 が 良い: 患者さん の 歯型 に 合わせて作製 されるため、 フィット感 が 高く、 違和感 が 少ない です。
- メンテナンス が 簡単: 毎日 の お手入れ が 簡単 です。
口腔内装置(OA)の効果と信頼性
OAの有効性は、多くの研究で証明されています。
2015年に発表された 米国睡眠学会(AASM) と 米国歯科睡眠医学会(AADSM) の 臨床実践ガイドライン では、 OSA や いびき の治療に OA を使用することが 推奨 されています。
ガイドラインで推奨されているOAって?
ガイドラインでは、 OSA の治療に OA を使用する場合は、 「カスタムメイド(患者さんの歯型に合わせて作製されたもの)」 の 「調整可能なOA」 を使用することが推奨されています。

カスタムメイドのOAは、 患者さん一人ひとり の 歯並び や あご の 形 に ぴったり と フィット するため、 装着感 が 良く、 治療効果 も 高い 傾向があります。
また、 調整可能 なOAは、 あご の 移動量 を 細かく調整 できるため、 患者さん の 状態 に 最適な 治療効果 を得ることができます。
口腔内装置(OA)のメンテナンス方法
OAを 清潔 に保つことは、 治療効果 を 維持 するだけでなく、 口臭 や 歯周病 などを 予防 するためにも 重要 です。
毎日 の メンテナンス としては、以下の手順で行いましょう。
- 流水で汚れを落とす: OAを 流水 でよくすすぎ、 唾液 や 汚れ を 洗い流します。
- 歯ブラシでブラッシングする: 柔らかい歯ブラシ を使って、 優しくブラッシング します。 研磨剤入り の歯磨き粉は、OAを 傷つける 可能性があるので 使用しない でください。
- 流水でよくすすぐ: ブラッシング後、 流水 で 歯磨き粉 や 汚れ を きれいに洗い流します。
- 乾燥させる: 清潔なタオル などで 水分 を 拭き取り、 風通しの良い場所 で 自然乾燥 させます。 熱湯 での 洗浄 や 消毒 は、 変形 につながるため、 行わない でください。
週に1~2回 は、 専用の洗浄剤 を使って、より 丁寧 に 洗浄 するのも良いでしょう。 洗浄剤 の 種類 や 使用方法 については、 歯科医 に 相談 することをおすすめします。
OAを使い続けることが大切
OAは、 毎日、 睡眠時間 の 間、 装着 し続けることで 効果 を 発揮 します。

途中で使用を中止してしまうと、 治療効果 が 得られない だけでなく、 症状 が 悪化 する可能性もあります。
OAを処方されたにもかかわらず、使用していない方は、今一度、治療の重要性を認識し、毎日装着するように心がけましょう。
まとめ
軽度から中等度のOSAやいびきの治療に、口腔内装置(OA)は有効な選択肢となります。
AASMとAADSMのガイドラインでは、カスタムメイドの調整可能なOAが推奨されています。
OA治療を成功させるためには、継続して使用することが重要であり、医療従事者と患者さんが協力して治療を進めていくことが大切です。
重要なお知らせ
本記事は、口腔内装置(OA)に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医学的アドバイスを提供するものではありません。OSAの診断や治療については、必ず医療従事者にご相談ください。
参考文献
Ramar, K., et al. (2015). Clinical practice guideline for the treatment of obstructive sleep apnea and snoring with oral appliance therapy: An update for 20 1 15. Journal of clinical sleep medicine : JCSM : official publication of the American Academy of Sleep Medicine, 11(7), 773–827