目次
はじめに
腱板断裂の患者さんの痛みが強くて困っています。痛みの原因って何なんでしょうか?
腱板断裂の痛みの原因は主に4つありますので、順に確認していってみましょう!
疼痛の原因
- 断裂部周囲の炎症
- 断裂部、肩峰下滑液包の圧迫、癒着
- 断裂部・癒着部の伸張
- 滑膜炎を伴う関節包の伸張
①断裂部周囲の炎症
断裂により腱板筋が働かない→周囲の他の部位に対して過剰な負担→他の部位に炎症
腱板周囲の損傷しやすい部位としては、腱板、上腕二頭筋腱長頭、腱板疎部、肩鎖関節などがあります。
評価として触診等の評価で、疼痛の問題点が腱板以外の結合組織にあるかどうか評価していくとよいです。
②断裂部、肩峰下滑液包の圧迫、癒着
断裂した腱板の影響→上腕骨骨頭が関節窩の中で滑らない→三角筋などの筋により関節の転がりのみが起こる→関節内インピンジメント(関節唇と上腕骨頭の間に腱板筋が挟まれる)→疼痛誘発
もしくは、滑液包と上腕骨頭の間に腱板が挟まれる→肩峰下インピンジメントが起こる→疼痛誘発
癒着などが起こるとより正常な副運動が阻害されることが考えられます。
③断裂部・癒着部の伸張
肩関節のアライメントが伸展位、内転肢位→腱板筋が伸張+断裂筋の収縮が断裂部へ張力を与える→断裂部に伸張刺激が加わる→疼痛誘発
④滑膜炎を伴う関節包の伸張
関節包を2層に分けた場合、内側を滑膜、外側を線維膜といいます
滑膜は痛覚神経が豊富→関節の変性や摩耗により滑膜炎が起こりやすい+疼痛の伝達物質も他の部位よりも多い傾向があるため伸張刺激により疼痛が誘発されやすい
考察
腱板断裂の疼痛の原因は受傷部位のみではなく、いわゆる二次的に生じる要素、正常な関節機能の破綻により他部位に影響を与えることにより引き起こされる疼痛が多いです。
そのため、何により疼痛が生じているかについて、上記の原因を参考に評価することが重要です。