皆さん、こんにちは!PTケイです。
最近、運動と瞑想を組み合わせたMAPトレーニングというものが、うつ病に効果的なのではないかという研究結果が発表されました。

まさに、当ブログのテーマである、身体と心の健康に関する内容なので、私もワクワクして読みました。
運動が健康に良いということは、誰もが知っていることだと思います。実際に、WHO(世界保健機関)でも、成人は1週間に150分以上の中強度の有酸素性身体活動を行うことを推奨しています。身体活動には、心血管疾患、がん、糖尿病などのリスクを軽減する効果や、睡眠の質の改善、気分の高揚などの効果があることが示されています 。
また、瞑想がストレスや不安を軽減することも、多くの人が知っていることでしょう。瞑想は、注意を現在に向け、思考や感情を観察することで、ストレスや不安に対する反応を変えることができます。
それでは、運動と瞑想、この2つを組み合わせることで、どのような効果があるのでしょうか?今回は、MAPトレーニングの効果について詳しく解説していきたいと思います。
MAPトレーニングとは?
MAPトレーニングとは、Mental And Physical Trainingの略で、精神的なトレーニングである瞑想と、身体的なトレーニングである運動を組み合わせたものです。
具体的には、30分間の集中注意(FA)瞑想と30分間の中強度の有酸素運動を週に2回行います。


MAPトレーニングの効果
MAPトレーニングは、以下の効果が期待できます。
- 脳の神経新生を促進: 脳内で新しい神経細胞が生まれるのを促し、認知機能の改善が期待されます 4)。
- 反芻思考を減少: 過去の出来事や悩みについて堂々巡りする思考を減らします 5)。
- うつ病の症状を軽減: 抑うつ症状や反芻思考を減らし、認知制御を改善します 3)。
うつ病改善のメカニズム
MAPトレーニングは、従来のうつ病治療法である薬物療法や認知行動療法とは異なるメカニズムで、うつ病の症状を改善する可能性があります。
薬物療法は、脳内の神経伝達物質のバランスを調整することで、うつ病の症状を改善します。一方、認知行動療法は、思考や行動パターンを変えることで、うつ病の症状を改善します。
MAPトレーニングは、運動と瞑想を組み合わせることで、脳の神経新生を促進し、認知機能を改善することで、うつ病の症状を改善すると考えられています。
研究紹介
2016年、ショーズらの研究グループは、大うつ病性障害のうつ病と反芻の症状を改善するためのMAPトレーニングの有効性について研究を行いました 3)。
この研究では、大うつ病性障害(MDD)患者52人を対象に、8週間のMAPトレーニングを実施しました。
その結果、MAPトレーニングは、MDD患者の抑うつ症状を約40%減少させ、反芻思考を減少させ、認知制御を改善することがわかりました。また、MAPトレーニングは、健康な参加者の抑うつ症状も軽減することが示されました。
MAPトレーニングの始め方
MAPトレーニングは、特別な道具や場所を必要としません。自宅でも簡単に始めることができます。(研究ではトレッドミルや自転車エルゴメーターを使用していますが、ランニングなどの他の有酸素運動を選択しても良いと思います。)
研究では、以下の内容でMAPトレーニングを実施しました。
瞑想
- 集中注意(FA)瞑想を30分間行います。
- 最初の20分間は静かな場所で、楽な姿勢で座り、目を閉じます。
- 呼吸に意識を集中します。
- 呼吸に集中し、もし気が散ったら、優しく意識を呼吸に戻します。必要であれば、各呼吸を数えることも有効です。
- 思考に気づく度に、注意を呼吸に戻します。
- 残りの10分間は歩行瞑想を行います。
- ゆっくりとしたペースで歩きながら、足の裏が地面に触れる感覚に意識を集中します。
- 片足からはじめ、後半は反対の足に集中します。
- 歩くことに集中することで、雑念を払い、心を穏やかにします。
- 参加者と一緒に歩く場合は、周りの人に合わせて歩きます。
- 最初の20分間は静かな場所で、楽な姿勢で座り、目を閉じます。
運動
- 中強度の有酸素運動を30分間行います。
- トレッドミルまたは自転車エルゴメーターを使用します。
- 5分間のウォームアップの後、個々の体力レベルに合わせた強度(50〜70%VO2ピークの強度)で運動します。
- 中強度の運動とは、息切れがする程度ですが、会話が続けられる程度の運動です。
- 運動中は心拍数を監視し、強度を維持します。
- 30分間の運動の後、5分間のクールダウンを行います。
MAPトレーニングの注意点
- 運動や瞑想を行う前に、医師に相談しましょう。特に、持病がある場合や妊娠中の方は注意が必要です。
- 運動や瞑想中に気分が悪くなったら、すぐに中止しましょう。
- 無理のない範囲で、継続することが大切です。
- 運動の強度(50〜70%VO2ピーク)は、個人の体力レベルによって異なります。心拍計などを活用して、適切な強度を維持できるようにしましょう。
- 運動に慣れていない方や持病がある方は、医師に相談してからMAPトレーニングを始めるようにしましょう。
毎日をより良く生きるために
MAPトレーニングは、うつ病の症状を改善するだけでなく、健康な人の抑うつ症状も軽減する効果が期待できます。ストレスの多い現代社会において、MAPトレーニングは、私たちがより良く生きるための有効な手段となるかもしれません。


MAPトレーニングは、特別な道具や場所を必要としません。自宅でも簡単に始めることができます。まずは、瞑想と運動を組み合わせることから始めてみましょう。
瞑想が苦手な人は、短い時間から始めたり、誘導瞑想を利用したりするのも良いでしょう。運動が苦手な人は、ウォーキングや軽いジョギングなど、無理のない範囲で体を動かすことから始めましょう。
参考文献
Shors TJ, et al. Mental and physical (MAP) training: A neurogenesis-inspired intervention that enhances health in humans. Neurobiol Learn Mem. 2016;129:1-9.
重要なお知らせ
本記事は、MAPトレーニングに関する一般的な情報を提供するものであり、医学的なアドバイスを提供するものではありません。MAPトレーニングを始める前に、必ず医師に相談してください。