最近、なんだかうまくいかない…」「将来が不安…」そんな悩みを抱えていませんか?
もしかしたら、それは「受け身」な考え方が原因かもしれません。
実は、ストレスに「どう対処するか」で、心の健康状態は大きく変わってきます。
今回は、困難を乗り越え、より良い未来を築くための「プロアクティブ・コーピング」という考え方について、最新の研究をもとに徹底解説します!
研究紹介
2009年、カナダのエスター・グリーングラス氏らの研究グループは、プロアクティブ・コーピング、ポジティブ感情、およびウェルビーイング(心身の健康)の関係について、パス解析という統計的な手法を用いた研究を、European Psychologist 誌で発表しました。

この研究では、
- 大学生
- 会社員
- リハビリテーション患者
という3つの異なるグループを対象に、
- プロアクティブ・コーピングの度合い(質問票で測定)
- 社会的サポート(周りの人からの支え)の度合い(質問票で測定)
- ポジティブな感情の度合い(質問票で測定)
- うつ病の症状(大学生のみ、質問票で測定)
- 欠勤の頻度(会社員のみ、質問票で測定)
- 日常生活への意欲、自立度(リハビリ患者のみ、質問票と病院スタッフによる評価)
などを調査し、これらの関係を分析しました。
その結果、研究では、社会的支援(周りからの支え)が、プロアクティブ・コーピングを実践する上で重要な役割を果たしていることが明らかになりました。社会的サポートは、プロアクティブ・コーピングを通してポジティブな感情を育み、それが心の健康へとつながっていく、という関係性が見えてきたのです。
プロアクティブ・コーピングで人生が変わる?
プロアクティブ・コーピングとは、問題が起こってから対処するのではなく、事前に予測し、積極的に行動することで、問題を未然に防いだり、より良い状況を作り出したりする考え方です。
なぜプロアクティブ・コーピングが大切なの?
研究によると、プロアクティブ・コーピングは、以下の3つの要素と深く関わっています。
- ポジティブ感情: プロアクティブに考えることで、前向きな気持ちになり、困難にも積極的に立ち向かえるようになります。
- 社会的支援: 周囲からのサポートは、プロアクティブな行動を後押しし、さらにポジティブな感情を高めます。
- ウェルビーイング: プロアクティブ・コーピングは、ポジティブ感情を高め、結果として心身の健康を促進します。
プロアクティブ・コーピングについて 『もう少し詳しく!』
ここで、改めて「プロアクティブ・コーピング」について整理しておきましょう。
プロアクティブ・コーピングとは、「まだ起こっていない、将来のストレス」を予測し、「先手」を打って準備しておく、という考え方です。
従来のコーピングが、
- 問題焦点型コーピング:ストレスの原因そのものを取り除く
- 情動焦点型コーピング:ストレスによって生じた感情を和らげる
といった、「すでに起こってしまったストレス」に対処する、いわば「後手」の対策であるのに対し、プロアクティブ・コーピングは、「未来志向」の「先手」の対策と言えます。
プロアクティブ・コーピング、2つのタイプ
実は、プロアクティブ・コーピングには、
- 目標達成型:将来の目標を立て、それを達成するための準備や努力をする。
- 例:「将来、海外で活躍したい!」→ 語学の勉強を始める、留学の準備をする
- ポジティブな未来を志向する
- 問題回避型:将来起こりうる問題を予測し、それを回避するための準備や対策をする。
- 例:「将来、病気になりたくない…」→ 健康診断を受ける、食生活を見直す
- ネガティブな未来を防ぐことに焦点を当てる
という2つのタイプがあります。
先ほどとは別の論文ですが、研究では、「目標達成型」のプロアクティブ・コーピングの方が、心の健康との関連が強いことが示されました。
3つの研究で実証!プロアクティブ・コーピングの効果
今回の研究では、大学生、会社員、リハビリ患者という3つの異なるグループを対象に、プロアクティブ・コーピングの効果を検証しました。
- 大学生: プロアクティブ・コーピングは、ポジティブ感情を高め、うつ病を予防する効果が見られました。
- 会社員: プロアクティブ・コーピングは、ポジティブ感情を高め、欠勤を減らす効果が見られました。
- リハビリ患者: プロアクティブ・コーピングは、「人生を前向きに進める力」を高め、リハビリ後の自立を促す効果が見られました。
これらの結果から、プロアクティブ・コーピングは、様々な状況において、私たちの心身の健康に良い影響を与えることがわかります。
論文からわかったこと
この研究から、プロアクティブ・コーピングは、
- リソースの活用:周りの人に相談したり、必要な情報を集めたりすること
- 現実的な目標設定:達成可能な目標を立て、具体的な計画を立てること
を通じて、私たちの幸福感を高めることがわかりました。
今日からできる!プロアクティブ・コーピングのすすめ
では、どうすればプロアクティブ・コーピングを実践できるのでしょうか?
今日からできる、5つのステップを紹介します。

- 目標設定: まずは、小さな目標で良いので、「こうなりたい」という目標を具体的に設定しましょう。
- 情報収集: 目標達成に必要な情報を集め、計画を立てましょう。
- 行動: 計画に基づいて、積極的に行動しましょう。
- 振り返り: 行動の結果を振り返り、改善点を見つけましょう。
- サポート: 困った時は、周りの人に相談し、サポートを求めましょう。
さあ、あなたもプロアクティブ・コーピングを始めよう!
「最近、ストレスが多いな…」「将来が不安だな…」と感じている方は、ぜひプロアクティブ・コーピングを意識して、日々の生活に取り入れてみてください。 小さなことからでOK!まずは、未来の自分を想像し、「今できること」から始めてみましょう!
具体例
プロアクティブ・コーピングは、特別な能力ではなく、誰でも実践できる考え方です。 例えば…
- 仕事:
- 「来週の会議までに、資料をしっかり準備しておこう」
- 「新しいプロジェクトが始まる前に、関連スキルを勉強しておこう」
- 人間関係:
- 「最近、あの人とギクシャクしているな…」→ 早めに話し合いの場を設ける
- 「大切な人の誕生日が近いな…」→ 早めにプレゼントを用意する
- 健康:
- 「最近、運動不足だな…」→ ウォーキングやストレッチを始める
- 「食生活が乱れているな…」→ バランスの良い食事を心がける
など、日常生活のさまざまな場面で、プロアクティブ・コーピングを実践することができます。
まとめ
プロアクティブ・コーピングは、困難を乗り越え、より良い未来を築くための強力なツールです。
今回の研究結果からも、プロアクティブ・コーピングが、私たちの心身の健康に大きく貢献することが明らかになりました。
今日からあなたも、プロアクティブ思考を実践し、より充実した毎日を送りませんか?
参考文献
- Greenglass, E. R., & Fiksenbaum, L. (2009). Proactive coping, positive affect, and well-being: testing for mediation using path analysis. European Psychologist, 14(1), 29- 1 39.
- Greenglass, E. R., Fiksenbaum, L., & Eaton, J. (2006). Proactive coping, positive affect, and well-being: Testing for mediation using path analysis. European Psychologist, 11(1), 29-39.
健康・医学関連情報の注意喚起
本記事は、プロアクティブ・コーピングと心の健康に関する一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の医学的アドバイスを提供するものではありません。 心の健康に不安がある場合は、必ず医療従事者にご相談ください。