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触れたふりで痛がる患者さんがいる理由

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島皮質について

患者さんの中には、触れる前に触れたふりをすると痛がってしまい、まだ触ってないですよ!と私たち理学療法士が言うという場面があります。

また、セラピストの声かけなしでやると疼痛の訴えが強いですが、ものすごく安心させて動作を誘導しながら行えると同じ動作のはずなのに痛みがないということもあります。

私たちはこれを経験的にある程度知っているので、新人さんや学生さんに対しての指導でも、患者さんを安心させるように介入してきました。

しかし、これらを説明することができるようです。科学的に。

要するに、疼痛が事前情報による影響を受けるという点がポイントになります。

脳にある島皮質は、不快感や恐怖、怒りなど否定的な感情により活性化されるそうです。

患者さんが何かをされることで痛みが起こるのではないかという恐怖感が強いと島皮質が活性化し、それにより痛みが増強することが起こります。

事前に恐怖感が強まっている状態で、ある刺激を与えると島皮質が活性化している影響で、疼痛が誘発されてしまうというわけです。

明らかに、侵害刺激ではないものでも関係なく、疼痛を感じ取るわけですね。

(皮膚から触れただけだとしたら、皮膚のポリモーダル受容器などからC線維を脊髄後角第二層へ行き二次ニューロンとしてWDRニューロンなどにシナプスした刺激が中枢で疼痛刺激に変換されてしまうのでしょうかね。この辺はよくわからない考察ですが。)

扁桃体について

良く扁桃体はリハビリのいろいろな分野に登場してくるなと思いますが、感情に関与するので当たり前なのでしょうか。解剖学的に、海馬(記憶)が近いため、痛みにより不快感などを感じると、それ自体が海馬に記憶されて、改善しにくくなるのかなというような話を聞いたことがありましたが、今回はそういったことは書いてありませんでした。

痛みが有害だと認識している人はそもそも扁桃体の活動が高いという知見がありました。

ラットの実験でも、扁桃体の活動が高まっている場合、侵害刺激がなくても慢性痛になってしまうことがわかっています。このことから、扁桃体からのシナプス伝導だけでも疼痛が誘発されることが考えられますね。

不安障害(パニック障害、強迫性障害、対人不安症)では、確実な結果が予測できない状況に対して、過度な情動反応が喚起されるようです。そして、それには扁桃体と島皮質の過活動が関与していることがわかっています。

慢性痛の方は、どのような痛み・刺激かが予測できない状態に対して、過度な痛み反応が喚起されるわけですので、かなり似ているのだと思います。

まとめ

島皮質は事前情報の影響、扁桃体は痛みへの認識(有害さなど)による影響があることがわかりました。

現場でどう応用するか

島に関しては、介入する際の声かけや対応だけでもかなり効果があると思います。

扁桃体に対しては、どうするのか。

以下の知見が参考になります。

・扁桃体の活動は、内側前頭前野が制御している。

・内背側前頭前野は自らに注意をむけると活動する。

つまり、自らに注意を向ける→内背側前頭前野活性→扁桃体を抑制→疼痛軽減というねらいです。

自らに注意を向ける方法としてはマインドフルネスがよいとのことです。いわゆる、瞑想。

呼吸に注意を向けたり、身体部位に注意を向けることですね。

ここで出てくる、ボディースキャンという方法は、私が勉強している介入方法の一つであるフェルデンクライスメソッドでも同様ですね。むしろ、フェルデンクライスめどっどでは、マインドフルネス同様に、身体の動きに注意を向け、自らの気づきをえることに主眼をおいているのでかなり有効ではないかと思います。

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