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疲労感と作業記憶にW効果?話題の成分組み合わせを試した結果

疲労感と作業記憶にW効果?話題の成分組み合わせを試した結果
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「なんだか毎日疲れている…」 「疲れのせいか、集中力が続かないし、物忘れも増えた気がする…」

現代社会において、多くの人が日常的な疲労感に悩まされています。日本の大規模調査でも、約8割の人が疲れを感じているというデータがあるほどです 。そして、この疲労感、実は私たちの作業記憶(ワーキングメモリ:情報を一時的に記憶し処理する能力)にも影響を与え、仕事や家事の効率低下につながることが指摘されています 。  

こんにちは!あなたの心と体の健康をサポートする理学療法士のPTケイです。今回は、そんな多くの人が抱える「疲労感」と「作業記憶の低下」という悩みに、嬉しい効果をもたらすかもしれない食品成分の組み合わせについて、2024年の最新の臨床研究をご紹介します。その注目の成分とは、「イミダゾールジペプチド」と「黒大豆ポリフェノール」です。

研究紹介:注目の成分組み合わせの効果を検証

まずは、今回ご紹介する研究の概要です。

2024年に日本の研究者、瀧上 忠一氏らが発表した研究では、イミダゾールジペプチド・黒大豆ポリフェノールを配合した食品の継続摂取が、日常的な疲労感と精神作業負荷後の作業記憶に及ぼす影響について、ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験という、非常に信頼性の高い方法で検証しました 。その結果、この食品の摂取は、プラセボ(偽薬)と比較して、日常的な疲労感を軽減し、作業記憶(2-back課題の正答率)を有意に改善したと報告しています 。 

この研究は、日常的に疲れを感じている20歳から64歳の健康な男女22名を対象に、4週間、成分入りの食品(イミダゾールジペプチド200mg/日、黒大豆ポリフェノール58mg/日)またはプラセボ食品を摂取してもらい、その効果を比較したものです 。  

そもそも「イミダゾールジペプチド」「黒大豆ポリフェノール」って?

ここで、今回の主役となる2つの成分について簡単にご紹介しましょう。

  • イミダゾールジペプチド: アンセリンやカルノシンといった成分の総称で、鶏の胸肉などに特に多く含まれています 。渡り鳥が長距離を飛び続けられる力の源とも言われ、強力な抗酸化作用を持ち、運動などによる体のサビつき(酸化ストレス)を抑えることで、疲労感を軽減する効果が報告されています 。  
  • 黒大豆ポリフェノール: 黒大豆の種皮(黒い皮の部分)に豊富に含まれる、アントシアニン類を中心としたポリフェノールです 。こちらも優れた抗酸化作用を持つほか、血糖値の上昇を抑える効果血流を改善する効果などが報告されており、健康維持に役立つ成分として注目されています 。  

これら2つの成分は、それぞれ単独でも疲労感に対する効果が報告されていましたが 、今回の研究では、これらを組み合わせて摂取した場合の効果、特に作業記憶への影響に注目して調査が行われました。  

研究結果①:日常的な「疲労感」がスッキリ!

今回の研究の最も重要な結果(主要評価項目)は、日常的な疲労感の軽減効果です。

参加者に「今の疲労感はどのくらいですか?」と線の上に印をつけてもらうVAS(Visual Analogue Scale)という方法で評価したところ、

  • 成分入りの食品を4週間摂取した後では、プラセボ食品を摂取した後と比較して、朝(精神作業負荷前)の疲労感が有意に軽減していた  

という結果が得られました。これは、特定の作業による一時的な疲れだけでなく、普段の生活で感じている慢性的な疲れに対しても、この食品が効果を発揮したことを示唆しています。

研究結果②:予想外のボーナス?「作業記憶」も向上!

さらに、今回の研究では注目すべきもう一つの結果が得られました。それは、作業記憶(ワーキングメモリ)の向上です。

参加者には、精神的な負荷をかけるテストとして、「2-back課題」という脳トレのような課題(画面に次々表示される文字が、2つ前の文字と同じかどうかを判断する)を行ってもらいました 。これは、情報を一時的に記憶しながら判断するという、まさに作業記憶を使う課題です。  

その結果、

  • 成分入りの食品を4週間摂取した後では、プラセボ食品を摂取した後と比較して、2-back課題の正答率が有意に高かった  

のです!これは、イミダゾールジペプチドと黒大豆ポリフェノールの組み合わせが、短期的な記憶力や判断力を高め、作業記憶を向上させる可能性があることを示唆しています。

研究者によると、イミダゾールジペプチド単独での認知機能改善効果は過去にも報告がありますが 、今回の組み合わせ摂取によって作業記憶の向上が確認された点は、新しい発見と言えるかもしれません 。なぜこの組み合わせで作業記憶が向上するのか、その詳しいメカニズムについては今後の研究が待たれますが、非常に興味深い結果です。  

  • 用語解説:
    • 作業記憶 (Working Memory):情報を一時的に保持し、それを操作・処理する能力のこと。会話を理解したり、計算したり、計画を立てたりする際に常に使われる、重要な認知機能の一つです。これが低下すると、「集中できない」「考えがまとまらない」「物忘れが増えた」といった状態につながりやすくなります。
    • 2-back課題: 作業記憶を評価するためによく用いられる課題の一種。

研究結果③:他にも嬉しい効果が? 体と心のバランスにも

さらに、この研究では副次的な評価として、自律神経のバランスや気分、血管の状態なども調べています。その結果、成分入り食品を摂取した後には、以下のようなポジティブな傾向が見られました。

  • 自律神経のバランス改善: 精神的なストレス(作業負荷)から回復する過程で、リラックスモードである副交感神経の働きが優位になる傾向が見られました 。疲労回復をサポートする可能性があります。  
  • 気分の改善: 気分状態を測るテスト(POMS2)で、「友好(他人への思いやりや温かさなどを示す指標)」のスコアが有意に高くなりました 。人間関係の改善や生活の質の向上につながるかもしれません。  
  • 血管状態の改善: 血管のしなやかさや老化度に関連する指標に改善が見られました 。心血管系の健康維持にも役立つ可能性が示唆されます。  

これらの結果も合わせると、イミダゾールジペプチドと黒大豆ポリフェノールの組み合わせは、単に疲れを取るだけでなく、心身のバランスを整え、より質の高い生活を送るためのサポートをしてくれる可能性を秘めていると言えそうです。

安全性について

臨床研究において安全性は非常に重要ですが、今回の研究期間中に、試験食品が原因と考えられる副作用は認められませんでした 。この点も安心材料の一つですね。  

まとめ

今回の研究から、イミダゾールジペプチドと黒大豆ポリフェノールを組み合わせた食品を継続的に摂取することで、以下の効果が期待できることが分かりました。

  • 日常的な疲労感を軽減する
  • 作業記憶(情報を一時的に記憶し処理する能力)を向上させる
  • 精神的ストレス後の自律神経のバランス回復を助ける可能性がある
  • 気分(友好)や血管の状態にも良い影響を与える可能性がある
  • 安全性も確認されている

特に、これまでそれぞれの成分単独では明確でなかった「作業記憶の向上」という効果が、今回の組み合わせによって示された点は非常に興味深く、今後の研究に期待が持てます。「最近疲れやすくて、頭がボーっとする…」と感じている方にとって、このイミダゾールジペプチドと黒大豆ポリフェノールの組み合わせは、試してみる価値のある選択肢の一つになるかもしれませんね。

もちろん、食品の効果には個人差がありますし、バランスの取れた食事や十分な睡眠、適度な運動といった基本的な生活習慣が健康の土台であることは言うまでもありません。

今回の研究が、皆さんの日々の疲労対策や認知機能維持のヒントになれば幸いです。

参考文献:

瀧上 忠一, 福田 正博. イミダゾールジペプチド・黒大豆ポリフェノールを配合した食品の継続摂取が疲労感と作業記憶に及ぼす影響―ランダム化プラセボ対照二重盲検クロスオーバー比較試験一. Jpn Pharmacol Ther (薬理と治療). 2024; 52(4): 511-520. (UMIN-CTR ID: UMIN000048599)

健康・医学関連情報の注意喚起:

本記事は、特定の食品成分に関する研究結果を紹介するものであり、特定の製品の効果を保証したり、医学的なアドバイスを提供するものではありません。 体調に関して気になる点がある場合や、サプリメント等の利用を検討される場合は、必ず医療従事者にご相談ください。

疲労感と作業記憶にW効果?話題の成分組み合わせを試した結果

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