※本記事は執筆当時の試験範囲・出題傾向をもとにした要点整理です。最新の試験制度・出題範囲は日本理学療法士協会公式サイトでご確認ください。
認定理学療法士試験(共通問題)の対策・要点整理について、2017年度版から記事を書いてきました。この記事は、その続編として、重要性が高いと考える部分を整理したものです。
試験を受ける方にとっては、テキストに書いてあることばかりですが、復習の参考になれば幸いです。試験を受けない方にとっても、認定理学療法士に求められる知識を知る手がかりになるはずです。理学療法士として知っておくべきことが試験に出る、と言えるでしょう。
試験範囲は2017年度と大きく変わらないと思いますので、以前の記事もあわせてご参照ください。
協会が目指す専門・認定理学療法士の役割
ヒポクラテスの誓いについて
ヒポクラテスの誓いは、医療倫理の原点とされる古代ギリシャの誓約です。現代の医学部で使われているものとは異なりますが、次のような内容が含まれています。
- 師や教えを受けた人々への敬意を持ち、医術を分かち合う。
- 自分の能力と判断に従い、患者の利益になる治療法を選び、害になる治療法は選ばない。
- 依頼されても、人を死なせる薬を与えない。
- どんな家を訪れても、不正を犯さず、医術を行う。
- 医療に関するか否かにかかわらず、他人の生活についての秘密を守る。
患者の利益を最優先する姿勢と守秘義務が、現代の医療者にも受け継がれています。
ヘルシンキ宣言(1964)
医学研究は、科学的観点だけでなく、倫理的な観点からの妥当性が必要とされるようになりました。要点は次の通りです。
- 医学研究は、すべての人間に対する尊敬を深め、その健康と権利を擁護する基準に従わなければならない。
- 研究計画は、考察・論評・助言を添えて、特別に指名された倫理審査委員会に提出しなければならない。
- 対象者の自由意思によるインフォームドコンセントを、できれば文書で得なければならない。
- ネガティブな結果も、ポジティブな結果と同様に刊行または他の方法で公表されなければならない。
個人情報保護法1条
- 生存する個人に関する情報は、個人情報の保護の対象になる。
倫理学〈人格に関する背景〉
- 倫理学の基本理念は、人間とは理性的な存在であるということ。
- 人格概念を全面に出す立場が「パーソン論」。
- 人格概念は、欧米の生命倫理に関する議論の中心理念。
「倫理」に関する重要人物まとめ
Tooley(トゥーリーのパーソン論)
ある有機体は、諸経験とその他の心的状態の持続的主体としての自己の概念を持ち、自分自身がそのような持続的な存在であると信じているときに限り、生存する重大な権利をもつ、という考え方です。
Engelhardt(エンゲルハートのパーソン論)
ヒト(human)と人格(person)を区別します。
- ヒトは生物学的な概念。
- 人格は、人間を固有な存在として認知するもの。
山鹿素行(やまが そこう)
人が人として生まれつきの性質と形ある身体を持つ以上は、情欲もある、という考え方です。
波平恵美子(なみひら えみこ)
日本人は、身体の欠けた部分、失われたまま見つからない部分があってはならないと考える、という指摘です。
日本人の本質
山鹿素行、波平恵美子の考えから、日本人の特徴として次の点が挙げられます。
- 自然体のまま(生まれたまま)という価値観がある。
- 形式主義的、マニュアル偏重主義。
医療倫理の変遷
- 部分社会は2つに分けられる(規範的予期類型=政治やメディアなど、認知的予期類型=医療、経済など)。
- 医療倫理から生命倫理へ移り変わった(生への理学療法、死への理学療法、特に在宅医療)。
- 医療倫理は「医の倫理=医者の倫理」。
- 生命倫理の背景には、先端医療技術の進歩(高齢者の増加、慢性疾患が医療の前面に出てきたこと、植物状態の患者の増加)がある。
- 生命倫理学の諸原理は、①自律尊重原理、②無危害原理、③仁恵の原理、④正義の原理の4つ。
環境倫理学の発展としては、次の3つが挙げられます。
- 自然の生存権:人間だけでなく、自然にも生存の権利がある。
- 世代間倫理:未来の世代のことを考える。
- 地球全体主義:個人よりも地球の生態系の維持を優先する。
医療過誤と法的責任
医療過誤には、次の3つの責任があります。
- 刑事責任:加害者の反社会性あるいは反倫理性が処罰の対象とされる。したがって、加害者の主観面が重視される。
- 民事責任:被害者の損害回復を目的とする制度であり、加害者の故意・過失によって負担に軽重が生じない。
- 行政上の責任:免許に関するもので、医療の安全確保を目的としている。
臨床・疫学研究の推進
症例報告の研究性
研究に該当しない症例報告:他の医療従事者への情報共有、所属機関内の報告会、機関外の医療従事者同士の勉強会や関連学会、医療従事者向けの専門誌などで、個別の症例を報告する場合が該当します。
介入研究に該当する場合:次のような行為を含む場合です。
- 通常の診療で従前受けている治療方法を、研究目的で一定期間継続することで、他の治療方法の選択を制約するような行為を含む場合。
- 特定の治療効果を検証する目的で、通常の理学療法を2群に割り付けることや、単一の症例に一定期間特定の運動療法をあらかじめ継続する場合。
研究における観察と介入の違い:観察研究とは、通常の医療行為を超えた介入を伴わず、ランダム化、割り付けなどを行わない医療行為における記録、結果、検体などを用いる研究で、疫学研究を含まないものです。
試験対策
ここまでは、特に当時の半田会長がおっしゃっていた点から、重要と思われる点を整理しています。ただし、基本は指定研修のテキストをよく読んでおくことが重要です。
試験範囲は共通問題に限らず、講師の先生が重要だとおっしゃった部分や、太字・赤字の部分が出やすい傾向があります。何度も読み返して、試験に臨みましょう。





