「訪問リハビリと通所リハビリ、うちの家族にはどっちが合うんだろう」「そもそも両方を組み合わせて使うことなんてできるのかな」——そんなふうに悩んでいるご家族の方、多いのではないでしょうか。
実はこの二つ、特徴も向いているケースも違いますし、併用するにはケアプラン上のルールや要介護度による条件をクリアする必要があるんですね。
この記事では、両サービスの違いから併用が認められる条件、メリット・デメリット、そして相談の進め方まで順を追って整理していきますので、読み終える頃にはご家族に合った選択肢が見えてくるはずです。
理学療法士として、これまで多くのご利用者・ご家族の在宅リハビリ調整に携わってきた経験をもとに、制度的な根拠と現場の実例を踏まえてお伝えしていきますね。
訪問リハビリと通所リハビリは目的の違いで選び方が決まる

訪問リハビリと通所リハビリ、どちらも「リハビリ」という名前ですが、目的はけっこう違います。
訪問リハビリは、理学療法士などが自宅に来て、段差・トイレ・浴室など実際の生活環境に合わせた動作訓練や住環境調整、家族への介助方法のアドバイスを行うサービスです[1]。「自宅内の動作を安全にしたい」という目標があるなら、訪問リハビリが向いています。
一方、通所リハビリ(デイケア)は施設に通い、専用機器での身体機能・体力向上や生活ケア、他の利用者との交流を目的としたサービスです[1]。
訪問リハビリと通所リハビリは条件を満たせば併用できる
「どちらか一方しか使えない」と思われがちですが、条件を満たせば併用可能です。ただし誰でも自由に併用できるわけではありません。
併用にはケアプランへの明確な位置づけが必須
厚労省の通知では、通所で対応できる内容は通所が優先され、訪問リハビリは「通院が困難な方」が対象です[1]。併用が認められるのは、次の2点が満たされた場合です。
- 「通所のみでは自宅内動作の自立が難しく、家屋状況の確認を含めた訪問リハビリが必要」とケアマネジメントで判断されること[1]
- 主治医がそれぞれの必要性を認めて指示を出すこと
併用で得られるメリットと知っておきたい注意点

訪問と通所を組み合わせる代表的なメリット
訪問リハビリと通所リハビリ(デイケア)を併用できると、自宅での個別的な動作練習と、施設での他の利用者との交流や社会参加を、バランスよく取り入れられるのが大きな利点です。
- 自宅では生活動作に合わせた訓練ができる
- 通所では他の利用者との関わりや外出の機会が持てる
「どちらか一方だけでは物足りない」という場合に、組み合わせる価値は十分にあると感じています。
費用や時間配分で家族が注意すべきデメリット
一方で、併用にはデメリットもあります。
- 利用回数が増えれば費用負担も増える傾向がある
- 要介護度によって使える回数・時間に上限がある
- ケアプランへの位置づけが必要で、自由に組み合わせられるわけではない
デイサービス(通所介護)との違いを理解する
ここで少し整理しておきたいのですが、「通所リハビリ(デイケア)」と「デイサービス(通所介護)」は、名前は似ていても別のサービスなんですよね。
デイサービスはレクリエーションや入浴、食事など生活支援が中心で、リハビリの専門職が必ずしも配置されているわけではありません。
一方、通所リハビリは医師の指示のもと、理学療法士などのリハビリ専門職が個別のプログラムを提供する場、という違いがあります(この違い、ご家族にはなかなか伝わりにくいところだと、現場でも感じています…)。
なお、訪問リハビリとデイサービスの併用については、また別に条件があります(訪問リハビリとデイサービスの併用について詳しくはこちら。記事は準備中です)。
「どのサービスが合っているか」は、ケアマネジャーと相談しながら決めていただけると安心ですね。
併用を実現するケアマネジャーへの相談方法

訪問リハビリと通所リハビリの併用は、ケアマネジャーへの相談なしには実現できませんね。ケアプランに位置づけられていなければ、本人や家族が「両方使いたい」と思っても、サービスとして成立しないんです。
相談のタイミングは、退院直後で生活の変化が大きい時期、体力や身体機能に変化を感じた時、通所だけ・訪問だけでは困りごとが解決しない時がおすすめです。伝える内容は、「本人が生活で何に困っているか」を具体的に伝えることがポイントですね。
併用のカギを握るのが、主治医の意見書や情報共有です。主治医がリハビリの必要性をどう見ているかで、ケアプランへの反映されやすさが変わってきます。通院時に「訪問と通所、両方必要そうだ」という思いを主治医にも伝えていただけると、ケアマネジャーとの調整もスムーズになりやすいですよ。
訪問リハビリと通所リハビリ併用のよくある疑問
ここからは、併用を考えるときによく聞かれる疑問について、まとめてお答えしていきますね。
Q1 併用すると費用はどれくらい高くなる?
利用回数が増える分、費用も比例して増えます。要介護度ごとの支給限度額を超えないよう、ケアマネジャーと調整していく形になりますね。
Q2 同じ日に両方を利用することはできる?
一律で禁止するルールはありませんが、時間が重複しないこと(午前は通所、午後は訪問など)、両方行う理由や役割分担がケアプランに位置づけられていること、この2つが前提です。
Q3 要介護1でも併用は認められる?
要介護度だけで決まるわけではなく、目標やケアプランの内容によって判断されます。退院直後で在宅復帰の環境調整が必要な時期などは、一時的に併用されるケースも見られます。自治体によって期間の目安がある場合もあるので、担当のケアマネジャーに相談していただけると安心です。
まとめ:条件を理解して賢く併用しよう

ここまで訪問リハビリと通所リハビリの違いを見てきましたが、どちらが良い・悪いというお話ではないんですね。
大切なのは、ご本人の状態や生活環境に合わせて選ぶこと、そして併用したい場合はケアプラン上の位置づけや要介護度、利用回数といった条件を満たす必要があるという点です(この条件が意外と見落とされがちなんですよね)。
たとえば移動そのものが負担になる方には訪問リハビリが向いていますし、社会参加や外出のきっかけとしては通所リハビリが力を発揮する場面もあります。
- ご本人の希望や体力
- 自宅周辺の通所環境
- ケアマネジャーとの相談内容
こうした点を踏まえながら、ケアマネジャーや担当のセラピストと一緒に、無理のない形を探っていただけると嬉しいです。
なお、通所リハビリと通所介護(デイサービス)は別サービスですので、その点だけは押さえておいていただけたらと思います。
引用文献
- [1] 公益財団法人長寿科学振興財団. 訪問リハビリテーション. 健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/houmon-riha.html. 発行年不明. アクセス日2026年08月31日.





