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リハビリテーション医療における安全管理・推進のためのガイドライン
今年の11月に日本リハビリテーション医学会より発行されている上記ガイドラインは2006年に初版が刊行され、PT・OT・STならだれでも見たことがあるような有名なガイドラインです。特に、リハビリテーション中止基準や休止基準などをわかりやすくまとめており、臨床の参考として活用されている方も多いことと思います。
初版を振り返ると・・・
積極的にリハビリを実施しない基準
途中でリハビリを中止する基準
などがその最たる例であり、もちろん国家試験にも出題される範囲になっています。
第二版の改定ポイント
今年の11月に改訂されたばかりの最新情報になりますが、改定のポイントを整理すると
目的
- リハビリテーション医療による治療効果を最大限にすることを目的とする
- リハビリテーション医療に関連する有害事象を予防する
- 有害事象が発生した際の影響を最小限にする
トピック(重要臨床課題)
- 運動負荷を伴う訓練を実施するための基準
- 医療事故対策
- 感染管理
Mindsガイドライン作成マニュアルに準じて作成
- エビデンスに基づいた推奨(可能な範囲で)
- CQ+推奨文でシンプルな書式
- 関連学会・協会からも参加いただき、投票によるコンセンサス形成
リハビリテーションの中止基準→運動負荷を伴う訓練を実施するための基準へ
- 〇〇な場合には訓練を中止
- 基準が明確というメリット
- あまりに多いと、訓練の実施が困難になる患者が多数発生する可能性がある
- 肺炎急性期の患者に訓練実施困難
- 実際には可動域練習、ポジショニング、排痰訓練などは実施可能
- 訓練を実施しないことは廃用症候群の誘因になる
第二版の推奨文
- 〇〇の原因が明確であり、全身状態が安定していると判断できる場合には、訓練を実施することを提案する。
- ただし、訓練を実施する際には、症状やバイタルサインの変化に注意し、訓練内容は患者の状態に応じて調整する必要がある。
主に上記のような点が中心に改定されました。
まとめ
初版は数値だけを見て、基準値から外れていたらリハビリを中止するといった判断は比較的簡単に行えたわけですが、現場では、ガイドラインを守っていたら全くリハビリを行えない患者様もいることが事実であり、問題でした。
第二版では、そういった症状があっても原因が明確であれば実施を検討するなどの文言が追加されたため、以前よりセラピストに求められる判断や鑑別診断能力が求められてくることで、よりレベルが上がったような印象があります。
ガイドラインを適切に使えるようにするためにもセラピスト個々の疾患知識や鑑別診断能力を向上していく必要があるように思います。