ご家族が肩関節周囲炎と診断されて、痛みで腕が上がらず着替えや家事にも困っている姿を見ると、何をどう手伝えばいいのか分からなくて不安になりますよね。
この記事を最後まで読んでいただくと、急性期・慢性期それぞれの時期に合った自主トレの進め方や、悪化させないための注意点、夜間痛や着替えを楽にする工夫まで分かって、ご家族として安心して寄り添いながらサポートできるようになりますよ。
具体的には、自宅でできる可動域訓練のメニューや、受診を検討すべきサインまで順を追ってお伝えしていきますね。
理学療法士としての専門知識と、公的な資料の両面から整理していますので、そのあたりも安心して読み進めていただけると嬉しいです。
肩関節周囲炎は自宅リハビリで可動域改善を目指せる

四十肩・五十肩と呼ばれる肩関節周囲炎ですが、「もう歳だから仕方ない」と諦めてしまうご家族も多いのではないでしょうか。
でも実は、急性期の強い痛みが落ち着いた段階から、適切な運動療法を取り入れることで、関節の動く範囲の改善や機能回復を目指せるとされているんですね。
放置してしまうと、関節包などの癒着が進んでしまい、肩が動きにくい状態(拘縮)が長引いて、日常生活に支障が出てしまうこともあります。
だからこそ、痛みが落ち着いてきたタイミングで、
- 入浴やホットパックなどの温熱療法
- 振り子運動
- 肩甲骨まわりの運動
- タオルを使った愛護的な可動域運動
といったセルフエクササイズを、痛みの出ない範囲でコツコツ続けていくことが推奨されています。
(無理に頑張って可動域を広げようとすると逆効果になることもあるので、焦らずいきましょうね)
次の章から、具体的な自主トレの方法を一緒に見ていきましょう。
病期別に自主トレ内容を変えると回復を早められる
肩関節周囲炎は「炎症期」「拘縮期」「寛解期」を経て、回復まで1〜3年かかるとされています[1]。同じ「五十肩の自主トレ」でも時期によって内容を変える必要があります。
急性期は安静と痛みを避けた運動が最優先
安静時痛や夜間痛が強い「炎症期」に無理にストレッチで動かすと悪化のリスクがあります[1]。
- タオルやクッションで楽な姿勢を保つ
- 肩への負担を減らすことを優先する
(「少しでも早く良くなってほしい」と、ご家族が良かれと思ってこの時期から動かすよう促してしまい、かえって悪化してしまうケースを現場でもよく見かけます)この時期の頑張りどころは「休むこと」です。
慢性期は可動域訓練と筋力強化を進める
痛みが落ち着く「拘縮期」は患部を温めながら振り子運動など痛みのない範囲で動かします[1]。
自宅でできる肩の可動域訓練メニュー5選

肩の可動域訓練は、いきなり頑張りすぎると痛みが悪化してしまうこともあるので、まずは代表的なものから少しずつ試していただけると嬉しいです。
(急性期は安静が優先で、無理に動かすのはNGですね。慢性期に入ってから取り組むのが基本です)
振り子運動(コッドマン体操)で拘縮を防ぐ
- 前かがみになり、腕の力を抜いて重力に任せて前後・左右・円を描くように揺らす
- 痛みが出ない範囲で、1回1〜2分程度が目安です
肩関節に負荷をかけずに動かせるので、拘縮予防の入り口として取り入れやすいメニューですね。
タオルを使った肩甲骨ストレッチ
- タオルの両端を持ち、背中側で上下に引っ張り合う
- 肩甲骨まわりを動かすイメージで行っていただくのがおすすめです
肩そのものより肩甲骨の動きを引き出したい時期に向いています。
壁を使った腕上げ運動
- 壁に指を這わせながら、できる範囲でゆっくり腕を上げていく
- 「痛気持ちいい」を超える強い痛みは我慢せず中止してくださいね
無理に高く上げようとせず、少しずつ範囲を広げていく意識で十分だと感じています。
痛みを悪化させないための自主トレ注意点
強い痛みを我慢して行うのは逆効果
「痛いけど乗り越えれば良くなるはず」と痛みを我慢して頑張ってしまうご家族、実は少なくないんです。
でも肩関節周囲炎の場合、これは逆効果になりやすいんです。
痛みが強く出ている時点で、すでに炎症が起きているサインだと考えていただけると分かりやすいかと思います。
そこで無理に動かすと炎症がさらに悪化し、結果的に回復が遅れてしまうケースもあります。
「痛みを我慢して動かす」のではなく、「痛みが出ない範囲で動かす」という意識に切り替えてみるのがおすすめです。
炎症が強い時期は温めず冷やす判断も必要
「肩が痛いなら温めた方がいい」というイメージをお持ちの方も多いのですが、これも時期によって変わってきますね。
炎症が強く出ている急性期は、温めることでむしろ炎症を助長してしまう可能性があります。
- 急性期(ズキズキ痛む・熱っぽい時期):冷やすことを検討
- 慢性期(動かした時だけ痛む時期):温めて血流を促すのも選択肢
どちらの時期か判断がつきにくい場合は、自己判断で進めず、担当のリハビリスタッフや主治医に確認していただくのが安心です(このあたりは、私も現場で毎回慎重に見極めるようにしています)。
夜間痛や着替え動作を楽にする家族の工夫

四十肩・五十肩は夜になると痛みが強くなりやすいものです。「昼間は平気なのに夜は眠れないほど痛がる…」というご家族の様子に、心配になる方も多いのではないでしょうか。ここでは家庭でできる工夫を2つご紹介します。
就寝時の姿勢とクッションの使い方
夜間痛が強い時期は無理に仰向けで寝ようとせず、痛い方の腕の下にクッションやタオルを入れて腕全体を支えるのがおすすめです。
- 仰向け:脇の下から肘にかけてクッションを入れ、腕が体から少し浮く状態を作る
- 横向き:痛い方を上にして、抱き枕などに腕を乗せる
腕がぶらんと下がると肩関節に余計な負担がかかるため、支えを作ることが大切です(痛みの感じ方には個人差があるので色々試してみてください)。
着替えは痛くない側から動かすと楽になる
着替えの介助では、「脱ぐときは痛い方から、着るときは痛くない方から」という順番を意識するだけで楽になります。
- 脱ぐ時:健側→患側の順
- 着る時:患側→健側の順
これは肩関節に限らず、麻痺や痛みがある部位の着替え介助全般で使われる基本の考え方です。袖を通す際は無理に腕を引っ張らず、声をかけながらゆっくり進めてあげてください。
改善が見られない場合は受診を検討する目安
自主トレを続けても痛みや可動域に変化が見られない場合、無理に続けるのはあまりおすすめできませんね。
数週間続けても改善の兆しがない、あるいは痛みが強くなっているような時は、自己判断で継続せず、一度医療機関に相談していただけると安心です。
もしかすると、四十肩・五十肩ではなく腱板断裂など別の疾患が隠れているケースもあります(見た目の症状が似ているので、素人判断だと本当に見分けがつきにくいんですよね…)。
その場合は自主トレの方法自体も変わってきますので、自己流で頑張りすぎないことが大切だと感じています。
まとめ:肩関節周囲炎の自宅リハビリ・自主トレのポイント

ここまで、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)の自宅リハビリについて見てきましたが、最後に大事なポイントをまとめておきますね。
- 急性期は無理な可動域訓練を避け、安静を優先すること
- 痛みが落ち着いてきた慢性期以降に、少しずつ可動域訓練・筋力強化へ移行すること
- 痛みを我慢して行う自主トレは絶対にNGということ
(正直、「早く良くなってほしいから」とつい頑張らせたくなる気持ち、ご家族としてはすごくよく分かります…)
でも、焦って進めてしまうと逆効果になることも多いんですよね。
腱板断裂など他の疾患が隠れているケースもあるので、少しでも「あれ、いつもと違うな」と感じたら、無理に自主トレを続けず、まずは主治医や担当のセラピストに相談していただけると安心です。
ご家族が焦らず、寄り添いながらサポートしていく姿勢が、回復への一番の近道ではないかと感じています。
引用文献
[1] 日本理学療法士協会. 肩関節周囲炎(五十肩)の理学療法診療ガイドライン. https://www.japanpt.or.jp/activity/asset/pdf/handbook13.pdf. 発行年不明. アクセス日: 2026年09月23日.





