「訪問リハビリステーション」という言葉を調べてみたものの、訪問看護ステーションとどう違うのか、実際どんな事業所がやってくれるのかよく分からず、不安になっていませんか。
実はこの言葉、介護保険の制度上は少し紛らわしい部分があります。
この記事では、訪問リハビリを提供できる事業所のルールと、訪問看護ステーションとの仕組みの違いを、現役理学療法士としての専門知識をもとに整理して解説していきます。
読み終える頃には言葉の正体がすっきり分かって、安心して事業所探しの第一歩を踏み出していただけるのではないかと思います。
「訪問リハビリステーション」は制度上の名称ではない

まず最初に、言葉の整理をしておきたいと思います。
「訪問リハビリステーション」という名称は、現在の介護保険制度の事業類型としては存在しません。介護保険で訪問リハビリを提供する事業所は、正式には「指定訪問リハビリテーション事業所」(介護予防の場合は「指定介護予防訪問リハビリテーション事業所」)といいます[1]。
一方で、この言葉には背景があります。理学療法士・作業療法士・言語聴覚士の3つの職能団体は、令和8年9月の社会保障審議会(介護給付費分科会)の意見交換資料で、訪問リハビリ専門の「訪問リハビリテーションステーション」の制度的な位置づけを明確にし、設置を進めることを要望しています[2]。
つまり「訪問リハビリステーション」は、現時点では制度化を求めている段階の構想であり、すでに利用できるサービスの名前ではありません。
名前が似ている「訪問看護ステーション」は、すでにある別の制度です。混同しやすいポイントなので、次の章以降で違いを整理していきますね。
訪問リハビリは医療機関と老健等に限られる
まず大前提として知っておいていただきたいのが、訪問リハビリは「どこの事業所でも提供できるわけではない」という点ですね。
介護保険で指定訪問リハビリテーションを提供できるのは、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院です[1]。リハビリ専門職だけで独立した事業所を開く、という形にはなっていません。
病院・診療所からの訪問リハビリの場合
病院や診療所が母体となり、そこに併設・付属する形で訪問リハビリが提供されます。
老健・介護医療院からの訪問リハビリの場合
介護老人保健施設や介護医療院も、訪問リハビリの提供元になれる施設です。
どの場合も、サービスの内容や費用の仕組みは、介護保険の訪問リハビリとして共通のルールで決まっています。
訪問看護ステーションのリハビリは別の仕組みで動く

ここまで「訪問リハビリ」についてお話ししてきましたが、少しややこしいのが、「訪問看護ステーション」から理学療法士等が伺うケースですね。
これは制度上、訪問リハビリとは別の仕組みです。
- 訪問リハビリテーション:病院・診療所・老健・介護医療院から提供されるサービス
- 訪問看護(理学療法士等が訪問する場合も含む):訪問看護ステーションなどから提供される、別制度のサービス
どちらも自宅でリハビリを受けられるため、利用者さんやご家族からは同じように見えることもありますが、事業所の種類も、費用の仕組みも異なります。
どちらの仕組みが使えるかは、ケアマネジャーや主治医に確認してみるのがおすすめです。
事業所が違っても対象者の条件は共通している
訪問リハビリを利用できるかどうかは、どの事業所であっても基本的に同じ考え方で判断されます。
- 主治医など医師の指示があること
- 原則として通院が困難な状態であること
- 要支援・要介護認定を受けている、または医療保険の対象となる状態であること
この3つを押さえておけば、ご自身や家族のケースが対象になるかどうかの大きな判断材料になるはずです(制度は改定も多いので、都度確認する習慣が安心ですね)。
要介護度による細かい違いや、医療保険が優先されるケース、施設入所中の注意点などは意外と複雑なので、一人で抱え込まず専門家にも確認しながら進めていただけると嬉しいです。
詳しくは訪問リハビリの利用条件とは?保険や対象者をPTが徹底解説をご覧ください。
費用も運営元でなく保険の種類で決まる

訪問リハビリの費用は、「どこの事業所が運営しているか」ではなく、「どの保険を使うか」で大きく変わります。
- 介護保険:1〜3割負担。単位数×時間・地域区分・加算で金額が決まります
- 医療保険:年齢・所得で自己負担割合が変わります
- 自費:全額自己負担で、事業所ごとに料金が独自設定されます
高額介護サービス費や高額療養費といった負担軽減制度もあるので、ご自身のケースがどれに当てはまるか気になる方は、ぜひ下記も参考にしていただけると嬉しいです。
詳しくは訪問リハビリの費用はいくら?保険適用の相場と自費の選び方をご覧ください。
現場目線で見る事業所選びの確認ポイント
事業所選びは、なるべく近場で移動がラクな場所を選ぶことが重要だと思われがちですが、実は事業所によって特色が違うことがあります。
確認していただきたいのは、こんなポイントです。
- リハビリ職の専門性(PT・OT・STどの職種が在籍しているか)
- 対応可能な疾患・状態の幅
- 緊急時の対応体制
- 通所サービスとの使い分け
面談の際は遠慮せず、担当者に直接質問してみるという姿勢を持っていただけると、安心につながると思いますね。
詳しくは訪問リハビリの始め方!利用までの5ステップをPTが解説をご覧ください。
まとめ:訪問リハビリステーションとは

ここまで見てきたように、「訪問リハビリステーション」という名称の事業類型は、現時点の制度にはありません。実際に訪問リハビリを提供しているのは、病院・診療所や介護老人保健施設、介護医療院です。
「訪問看護ステーション」とは仕組みが異なる、という点も混同しやすいところなので、改めて押さえておいていただけると嬉しいです。
対象者の条件や費用、事業所選びの具体的なポイントについては、ぜひ関連記事もあわせてチェックしてみてくださいね。
制度の名称はわかりにくい部分も多いので、わからない点はケアマネジャーや主治医など専門家にその都度確認するとよいでしょう。
引用文献
[1] 厚生労働省. 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号). e-Gov法令検索. https://laws.e-gov.go.jp/law/411M50000100037. 発行年不明. 2026年10月07日アクセス.
[2] リハビリテーション専門職団体協議会. 介護給付費分科会 意見交換資料 ③医療系サービス(社会保障審議会介護給付費分科会 第267回資料7). 厚生労働省ホームページ. https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001749894.pdf. 2026年9月16日. 2026年10月07日アクセス.





