認知症予防に効く運動とは?理学療法士が効果や頻度を解説

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認知症予防に効く運動とは?理学療法士が効果や頻度を解説
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ご家族のために運動を取り入れたいけれど、本当に効果があるのか、何をどれくらいやればいいのか分からず悩んでいる…という方も多いのではないでしょうか。

この記事では、運動が認知症予防につながるとされる根拠から、有酸素運動・筋力トレーニング・ウォーキング・コグニサイズといった具体的な取り組み方、そして無理なく続けるコツまでをまとめてお伝えしますね。

理学療法士としての専門知識と、公的機関や専門団体の資料の両面からお話ししていきますので、読み終わる頃には今日からご家族と一緒に実践できるイメージが持てるはずです。

目次

運動習慣は認知症発症リスクを下げる科学的根拠

運動習慣は認知症発症リスクを下げる科学的根拠

「運動が体にいいのは分かるけど、本当に認知症予防につながるの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

実はこれ、きちんとした裏付けがあるんです。

日本理学療法士協会のハンドブックでは、週3回以上の運動習慣を持っていた高齢者は、認知症になるリスクが低いことが分かっていると紹介されています[1]。

また、健康長寿ネットによると、地域で暮らす高齢者を長期間追跡した24本の論文のうち、20本が「身体活動や運動は、認知機能の低下や認知症の発症に対して防御的な効果がある」と報告しているそうです[2]。

適度な有酸素運動や筋力トレーニングは、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβ蛋白の蓄積を減らすことなどから、認知症の予防に効果的と言われています[1]。

「なんとなく良さそう」ではなく、こうした裏付けがあると思うと、続けるモチベーションにもなりますよね。

有酸素運動は「少しきつい」程度が効果的

有酸素運動というのは、ウォーキングのように、軽めの運動を一定の時間続けるものを指します。

では、どれくらいの頻度と時間が目安になるのでしょうか。

健康長寿ネットでは、まず週2〜3回以上、30分以上の運動をすることがすすめられていて、主としては歩くことが挙げられています[2]。

週3回以上、30分以上の運動を行った方は、認知機能が低下する方が有意に少なかったとのことです[2]。

強さについては、頑張りすぎないことがポイントですね。

ハンドブックでも、運動して「楽である〜少しきつい」程度の運動が効果的で、負荷が強すぎる運動はストレスとなり、逆効果となることがあるとされています[1]。

難しく考えず、「おしゃべりはできるけれど、少し息が弾む」くらいを目安に、日々の運動習慣を見直してみていただけると嬉しいです。

筋力トレーニングも認知症予防に有効な理由

筋力トレーニングも認知症予防に有効な理由

認知症予防というと有酸素運動のイメージが強いかもしれませんが、実は筋力トレーニングも大切な役割を持っているんですね。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」でも、高齢者に対して筋力トレーニングを週2〜3日行うことが推奨されています[3]。

さらに、筋力強化トレーニングと有酸素運動を組み合わせたトレーニングで、認知機能が改善したという報告も紹介されています[2]。

ご自宅で取り組むなら、スクワットや踵あげ運動が始めやすいですね。

ハンドブックでは、次のようなポイントが挙げられています[1]。

  • 息はこらえず、回数を数えながら行う
  • 10〜15回を1セットとして、3セットを目標にする
  • 体力に合わせて行う
  • 頻度は週3回程度を目標にする

ふらつきが心配な方は、椅子やテーブルにつかまりながら、無理のない回数から始めてみてくださいね。

地域の集団体操や予防教室でも、「自分のできる範囲で行ってくださいね」とお伝えしています。大きく動かせる人が素晴らしいのではなく、自分のペースで無理なく負荷量を調整できる人をほめるようにしています。最初はあまり運動ができていなかった方も、少しずつ参加されるようになる印象があります。少しでも身体を動かすとだんだん動きやすくなって、運動したい気持ちが強まっていくのかなと感じています。

ウォーキングは認知症予防に最適な有酸素運動

認知症予防というと特別な運動を思い浮かべがちですが、実は普段のウォーキングこそが最も取り組みやすい有酸素運動なんですね。

厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、高齢者に対して歩行またはそれと同等以上の身体活動(強度3メッツ以上)を1日40分以上(約6,000歩以上が目安)行うことが推奨されています[3]。

歩く量と認知症の関係については、71〜93歳の2,257名を調べた研究で、1日3.2km以上歩く方に比べて、1日400m〜1.6kmの方では認知症の発症率が1.8倍だったという報告もあります[1]。

とはいえ、いきなり毎日40分歩くのはハードルが高いと感じる方もいらっしゃるかもしれませんね。

同じガイドでも、推奨値に満たなくても少しでも身体活動を行うこと、まずは今より10分多く体を動かすことがすすめられています[3]。

まずは「少し息が早くなる程度のペース」で10分から、という視点を持ってみるのもおすすめです。

コグニサイズで運動と脳トレを同時に鍛える

コグニサイズで運動と脳トレを同時に鍛える

運動と脳トレは、別々に行うよりも「同時に行う」ほうが、認知症の予防により有効であるとされています[2]。

その代表が、国立長寿医療研究センターが名付けた「コグニサイズ」ですね。

例えば、運動しながら「4の倍数で手をたたく」、しりとりをしながら体を動かす、といったものです[2]。

体を動かしながら頭も使うというのがポイントで、足踏みや横への一歩に、100から3ずつ引いていく計算を組み合わせる方法も紹介されています[1]。

公民館での指導では、カエルの歌を歌いながら腕を振って足踏みをして、「グワッ、グワッ」のところだけ両手を叩く、という運動をしたことがあります。難しいのですが、「間違えてもいいので、楽しくやりましょう」とお伝えすると、参加された方も安心して取り組めていたと思います。

具体的なやり方については、ぜひこちらも参考にしていただけると嬉しいです。

(脳トレ体操について詳しくは、座ったままできる脳トレ体操の記事もご覧ください)

運動を無理なく続けるための工夫

運動習慣を予防につなげるには、何よりも「続けられること」が大切ですね。

張り切って高い目標を立てても、三日坊主で終わってしまってはもったいないです。

運動が続く方は、毎回同じ運動を行っていて、定着している方が多い印象です。運動意欲が高い方は続きやすい一方、運動が苦手な方は続けるのに苦労されます。そのため、簡単なものを少ない回数で行い、まず習慣にすることを目標にするのがよいと考えています。訪問リハビリでも、利用者さんが自宅でほとんど動かず椅子に座っているのが心配、というご家族の相談を受けることがあります。無理に促しても続けるのは難しいので、紙に書いた自主練習を少しでもやってもらうところから始めています。そのとき大事なのは、実施した記録を残すことだと思っています。

無理なく続けるためのポイントとしては、以下のような工夫がおすすめです。

  • 「ちょっと物足りないかな」くらいの強度から始める
  • 毎日の生活動作(買い物や散歩)に運動を組み込む
  • 一人で頑張らず、家族や友人と一緒に取り組む
  • できた日はしっかり自分を褒めてあげる

気合や根性で乗り切ろうとするのではなく、仕組みとして生活に組み込んでしまうという視点を持ってみるのもおすすめです。

完璧を目指さず、「6割くらいの力で継続する」くらいの気持ちで取り組んでいただけると嬉しいですね。

まとめ:運動習慣で認知症予防に取り組もう

まとめ:運動習慣で認知症予防に取り組もう

ここまで、運動習慣が認知症予防にどうつながるのか、一緒に見てきましたね。

正直なところ、「絶対に発症しない」なんて保証はどこにもありません。

ただ、運動を続けることでリスクを下げられる可能性があるということは、これまでの研究の積み重ねからも言えることかなと感じています。

  • 無理なく続けられる強度から始める
  • 有酸素運動と筋トレをバランスよく取り入れる
  • 生活の中に「ついでに動く」習慣を組み込む

こうした小さな積み重ねが、将来の自分や家族を守ることにつながっていくはずです。

大切なのは、気合いで一気に頑張ろうとしないことです。

持病のある方や体調に不安のある方は、始める前に主治医に相談してくださいね。

ご本人もご家族も、無理のないペースで、今日からできる一歩を踏み出していただけると嬉しいです。

引用文献

[1] 日本理学療法士協会. 理学療法ハンドブック シリーズ8 認知症. 日本理学療法士協会. https://www.japanpt.or.jp/about_pt/asset/pdf/handbook08_whole_compressed.pdf. 発行年不明. 2026年10月08日アクセス.

[2] 長寿科学振興財団. 認知症の予防. 健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/yobou.html. 2016年公開、2019年更新. 2026年10月08日アクセス.

[3] 厚生労働省. 健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023 高齢者版. https://www.mhlw.go.jp/content/001195868.pdf. 2023. 2026年10月08日アクセス.

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