「訪問リハビリと訪問看護、同じ日に両方お願いしたいけど、それって実際できるの?費用はどうなるの?」って、ご家族やケアマネさん、PTさんから聞かれること、実は結構多いんですよね。
結論から言うと、原則は同じ日には併用できないんですが、主治医の先生が発行する「特別訪問看護指示書」があれば話が変わってきます。
この記事では、その併用できる・できないの境界線と、実際に併用するための手続きの流れを、現場で両方の制度に関わってきた私(PTケイ)が、専門用語をなるべく噛み砕きながら整理していきますね。
読み終わる頃には、迷わずケアプランに落とし込めるようになっているはずです。
訪問リハビリと訪問看護は原則同一日に併用できない

まず大前提として、訪問リハビリと訪問看護は原則として同一日に併用できません。意外と誤解されやすいポイントです。
ただし「訪問看護」と一括りに言っても、中身によって扱いが変わります。
- 看護師による訪問看護と理学療法士等による訪問リハビリ:目的や訪問内容が異なっていても、同一日の算定は原則できません。例外となるのは、次章で説明する「特別訪問看護指示書」が交付されている場合に限られます
- 訪問看護ステーションからのリハビリ職の訪問と訪問リハビリテーション:どちらもリハビリ職が動くためサービス内容が重複しやすく、同一日・同一時間帯の併用は原則制限されます
- 屋外・外出時の訓練の扱い:訪問リハビリテーションでは、訪問リハビリテーション計画にその目的・頻度を記録すれば屋外での訓練も通常のリハビリの一部として実施できますが、訪問看護ステーションからのリハビリでは原則自宅内に限定され、屋外での実施は主治医の具体的な指示などの要件を満たした例外的な扱いになります[2]
つまり「看護師が来る日にリハビリも受けられるか」「リハビリ職同士が重複していないか」「屋外で訓練できるかどうか」はそれぞれ別の話ですが、いずれも自己判断せず制度上のルールを踏まえて進める必要がある点は共通しています(現場で説明するときも毎回慎重になる部分です)。外出・屋外歩行練習の具体的な進め方は訪問リハビリの外出・屋外歩行練習で解説していますので、あわせてご覧ください。
次章では、この原則の例外となる特別訪問看護指示書のケースを見ていきましょう。
特別訪問看護指示書があれば医療保険で同時利用できる
原則併用できない訪問リハビリと訪問看護ですが、実は一つだけ例外があります。それが「特別訪問看護指示書」が交付されているケースです。この指示書が出ている期間中は、訪問看護が介護保険から医療保険の扱いへ切り替わるため、「医療保険の訪問看護」で医療的ケアを連日受けながら、並行して「介護保険の訪問リハビリ」を続ける同時利用が公的に認められます。
主治医が必要と判断する代表的な状態は、急性増悪、がん末期以外の終末期、退院直後など。あくまで一時的に医療ニーズが高まった際の例外措置です。
指示期間は1回最長14日間、交付は原則月1回(気管カニューレ使用者などは月2回)までとルールがあります。この辺りの細かい運用は、ケアマネジャーさんや訪問看護師さんに確認するのが一番早いですね。疑問があれば遠慮なく相談してみるのがおすすめです。
特別指示書の交付を主治医に依頼する際のポイント

特別訪問看護指示書は、あくまで主治医が「必要性がある」と判断して交付するものなんですね。
なので利用者本人やご家族が「訪問リハビリと訪問看護を同じ日に使いたいから」という理由だけで、直接お願いしても交付されるものではありません。
実際には、
- 訪問看護師やケアマネジャーから主治医へ、状態悪化や退院直後の状況を報告してもらう
- 「急性増悪」「終末期」「退院直後」といった該当する状況を具体的に伝える
- 指示期間が交付日から14日以内と限られていることを踏まえ、早めに相談する
といった流れになることが多いですね。
(このあたりは制度的な話なので、正直私も現場で「今すぐお願いします!」と焦った経験はあります…笑)
まずは訪問看護ステーションかケアマネジャーに、今の状態を相談してみるという視点を持ってみるのもおすすめです。
介護保険と医療保険で併用ルールが異なる仕組み
まず大前提として、要介護・要支援認定を受けている方は、介護保険からの給付が医療保険よりも優先されるという原則があります[1]。これを押さえておくと理解しやすくなります。
介護保険では維持期・生活期のリハビリは介護保険へ移行するのが原則で、同じ疾患に対して医療保険と介護保険のリハビリを長期的に重複算定することはできません[1]。
一方、末期がんや指定難病などの特定疾患、人工呼吸器装着等の状態、または「特別訪問看護指示書」が交付された場合は例外的に医療保険が優先され、この期間だけ医療保険の訪問看護と訪問リハビリの同日利用が可能になります(正直私も最初は混乱しました(笑))。
同日併用時の費用と自己負担額の変化

特別訪問看護指示書が交付されている期間中は、訪問看護が医療保険に切り替わりますが、訪問リハビリ側の自己負担の仕組み自体は普段と変わりませんね。
介護保険なら1回数百〜千円台、医療保険なら3割負担で40分1,800円程度が目安になります。
- 介護保険(1割・40分):約616円
- 医療保険(3割・40分):約1,800円
こうした基本の費用感や、加算・減算による変動については、私自身も家族の方からよく質問をいただくポイントです(笑)。
詳しくは訪問リハビリの費用はいくら?保険適用の相場と自費の選び方をご覧ください。
ちなみに、訪問看護からのリハビリ自体の基本報酬は訪問リハビリとわずかに単位数が異なります。両者の費用差が気になる方は訪問看護のリハビリと訪問リハビリの費用の違いもご覧ください。
併用をケアプランに組み込むまでの流れ
「じゃあ実際に併用したいときは、どう進めればいいの?」という疑問も出てきますよね。
大前提として、特別訪問看護指示書が交付されるかどうかは主治医の判断次第なので、まずはそこがスタートラインになります。
流れとしては、こんなイメージです。
- 主治医が急性増悪・終末期・退院直後などの状態を確認し、特別訪問看護指示書を交付
- 訪問看護ステーションからケアマネジャーへ状況を共有
- ケアマネジャーがケアプランを一時的に見直し、同日利用が可能な期間(14日以内)を整理
- 訪問看護・訪問リハビリの事業所間で、当日の時間帯やケア内容を調整
- 指示期間終了後は、通常のケアプラン(原則同日不可)に戻す
(このあたりの調整、ケアマネジャーさんの負担も結構大きいんですよね…)
利用者・ご家族としては、「主治医→ケアマネ→各事業所」という順番で情報が流れていくという全体像を知っておくだけでも、見通しが立てやすくなるかなと思います。
わからないことがあれば、遠慮なくケアマネジャーさんに聞いていただけると安心ですね。
現場のPTが見る併用を検討すべきケース

ここまで制度の話をしてきましたが、「じゃあ実際どんな時に検討するの?」というのが気になるところですよね。
現場の感覚としては、特別訪問看護指示書が出るタイミング=心身の状態が大きく揺れ動いている時期という点がポイントです。
- 退院直後で、状態が安定しているか見極めが必要な時期
- 急性増悪があり、医療的な観察を密にしたい時期
- がん末期など、状態変化が早いことが想定される時期
こうした時期は、看護師による医療的な管理と、PTによる離床・動作練習を同じ日に組み合わせることで、リスクを抑えながらリハビリを進めやすくなる、という視点があります(とはいえ、あくまで指示期間内に限った特別な対応ですね)。
普段は別日で無理なく分けて、状態が不安定な時だけ集中的に併用する、というイメージを持っていただけると分かりやすいかと思います。
まとめ:訪問リハビリと訪問看護の併用は特別指示書がカギ
ここまで訪問リハビリと訪問看護の関係について見てきましたが、最後に一番大切なポイントをおさらいしておきますね。
- 原則:訪問リハビリと訪問看護は、同じ日には算定できない
- 例外:主治医から「特別訪問看護指示書」が交付されている場合のみ、同日利用が可能になる
- 特別指示書が出る条件は、急性増悪・がん末期以外の終末期・退院直後のいずれかで、指示期間は交付日から14日以内
この期間中は訪問看護が医療保険に切り替わるため、その範囲内であれば訪問リハビリと同日に利用できる、という仕組みになっています。
「うちの場合は併用できるのかな?」と迷ったときは、まずケアマネジャーや主治医に確認していただくのが一番安心ですね。
制度は少し複雑ですが、「特別指示書があるかどうか」という一点さえ押さえておけば、迷わず判断できるはずです。
引用文献
- [1] 東京都医師会. 医療保険と介護保険の給付調整に関する解説. 東京都医師会. https://www.tokyo.med.or.jp/doctor/practicing_docs/practitioner/03-05. 発行年不明. 2026年08月30日.
- [2] 一般社団法人日本訪問リハビリテーション協会. よくある質問と回答(Q44 屋外でのリハビリを提供する際に留意すべきことはあるか). 日本訪問リハビリテーション協会. https://www.houmonreha.org/revision/faq.php. 2024年10月17日更新. アクセス日: 2026年09月04日.





