老健を退所したあと、「このまま自宅で生活していけるのかな」「老健からも訪問リハビリって受けられるの?」と、不安になっている方は多いのではないでしょうか。
この記事を読んでいただくと、老健が提供する訪問リハビリの仕組みと、病院・診療所からの訪問リハビリとの違いがすっきり整理できて、ご自身に合った選び方が見えてくるはずです。
実は老健には「みなし指定」という制度があって、退所後もスムーズに訪問リハビリへ移行できますし、生活期リハビリの経験を活かした支援を受けられるんですよね。
その仕組みや選び方のポイントを、現場をよく知る立場から分かりやすくお伝えしていきますね。
老健の訪問リハビリはみなし指定で退所後も継続利用できる

老健がみなし指定を受けられる制度上の理由
介護保険法の規定により、老健は開設許可を受けることで訪問リハビリ事業所の指定を受けたとみなされる「みなし指定」の対象になっています。令和6年6月施行の改正厚生労働省令等に基づく、老健にとって優遇された仕組みです。
老健からの訪問リハビリは退所後の橋渡し役になる
このみなし指定のおかげで、入所中から状態を把握しているPT・OT・STが、退所後も継続して訪問リハビリを担当しやすくなっています。環境が変わっても顔なじみのスタッフが関われるのは、利用者さんにとって心強いポイントです。
制度の細かい要件については別記事に譲りますが、退所後の橋渡し役として老健が機能している、という点だけ押さえていただければと思います。
老健と医療機関の訪問リハビリは強みと対応範囲が違う
老健は生活期リハビリの経験値と多職種連携が強み
老健(介護老人保健施設)からの訪問リハビリは、入所リハビリで培った生活期の経験値が強みですね。もともと「在宅復帰」を支援する施設なので、看護師や介護士、支援相談員との多職種連携が日常的に行われているのも特徴だと思います。
病院・診療所からの訪問リハビリとの使い分け方
一方、病院・診療所からの訪問リハビリは、急性期・回復期の医学的な知見を活かしやすいという強みがあります。
- 老健:在宅復帰支援・生活期の経験、多職種連携
- 病院・診療所:疾患別の専門性、医師との連携のしやすさ
どちらが優れているというより、利用者さんの状態やニーズに合わせて選ぶ視点を持つのがおすすめですね。
老健の訪問リハビリを利用できる対象者は要介護度で決まる

老健の訪問リハビリを利用できるかどうかは、要介護度によって区分が決まるという点をまず押さえておいていただけると嬉しいです。
- 要介護1〜5:訪問リハビリテーション(介護給付)の対象
- 要支援1〜2:介護予防訪問リハビリテーション(予防給付)の対象
- 40〜64歳(第2号被保険者):特定疾病が原因の場合のみ対象
いずれの場合も、医師が必要性を認めていることが大前提ですね[1]。
老健の訪問リハビリを申し込む条件と手続きの流れ
老健の訪問リハビリの利用条件は2つ。
- 介護保険の要介護・要支援認定を受けていること
- 医師の診療に基づき訪問リハビリの必要性が認められ、具体的な指示が出ていること[1]
流れは、担当ケアマネジャーへの相談から始まり、医師の指示、ケアプラン作成、リハビリ専門職による計画作成・契約を経てサービス開始となります[2]。
老健の訪問リハビリにかかる費用の目安をおさえる

老健からの訪問リハビリは介護保険が適用され、要介護者は1回20分で308単位、要支援者は298単位が基本報酬となっていますね。
自己負担割合は原則1割(所得により2〜3割)なので、40分利用(2回分)で1回あたり約600〜700円、60分利用(3回分)で約900〜1,000円が目安になります。
これに加えて、リハビリテーションマネジメント加算や退所直後の短期集中リハビリテーション加算などが体制に応じて上乗せされることもありますね。
金額感を掴んでおくだけでも、利用を検討する際の安心材料になるかなと思います。
なお、似た名前の「訪問看護からのリハビリ」は病院・老健等が提供する訪問リハビリとは別のサービスで、基本報酬の単位数もわずかに異なります。訪問看護のリハビリと訪問リハビリの費用の違いもあわせてご確認ください。
老健の訪問リハビリの回数と時間の上限を確認する
老健からの訪問リハビリには、回数や時間にルールがあることをご存知でしょうか。知らずに「もっと来てほしいのに」と困惑する方も多いので、押さえておくと安心です。
- 提供時間:1回20分以上を1単位とし、40分や60分でまとめて実施するのが一般的です
- 利用回数の上限:原則として週6回(合計120分)まで
- 退院・退所後の特例:3か月以内に限り、医師の指示があれば週12回(合計240分)まで拡大される場合があります
詳しい制度については、訪問リハビリの時間制限について詳しくはこちらで解説しています。
老健の訪問リハビリで受けられる支援内容と職員体制

老健からの訪問リハビリで提供される具体的な支援
老健の訪問リハビリでは、常勤医師の指示のもとリハビリ計画が作られます[3]。内容は、歩行・立ち座りなど基本動作やADL(食事・排泄・入浴・着替え)練習、調理や買い物など生活範囲を広げる練習、手すり設置や福祉用具選定、家族への介助アドバイス、言語聴覚士による嚥下訓練やコミュニケーション支援など多岐にわたります。身体機能だけでなく「暮らし全体」を支える視点が特徴ですね。
PT・OT・STが施設と兼務する老健ならではの体制
老健の訪問リハビリは、施設内のリハビリ業務とPT・OT・STが兼務しているケースが多いのも実情です。訪問件数や時間帯の融通が利きにくい場合もあるため、事前に確認しておくと安心です。
現場経験から見る老健訪問リハビリ選びのコツ
老健の訪問リハビリ選びで確認すべき3つのポイント
老健の訪問リハビリを選ぶときは、以下の3点を意識してみていただけると安心ですね。
- リハビリ専門職の在籍人数・体制(PT・OT・STの確保状況)
- 訪問リハビリの実績・稼働状況
- 在宅復帰支援の方針や連携体制(ケアマネや主治医との連携)
こうした情報は聞かないと出てこないことも多いので、遠慮せず担当者に直接確認してみるのがおすすめです。
対応できる曜日・時間帯は事前確認が必須
老健の訪問リハビリは施設の人員体制によって対応できる曜日・時間帯が限られているケースが多く、契約前の確認が大切です。制度上の制約がある中、ケアマネジャーとの連携が在宅生活を支えるカギになります。
まとめ:老健の訪問リハビリを賢く活用するために
老健の訪問リハビリは「みなし指定」によって退所後もスムーズに継続利用でき、生活期リハビリの経験と多職種連携を強みとしています。利用できるかどうかや費用は要介護度によって変わり、回数にも原則週6回(退所後の特例で週12回)までの上限があります。実際に選ぶ際は、リハビリ専門職の在籍体制や訪問実績、在宅復帰支援の方針を事前に確認しておくと、安心して利用を始められます。
参考文献
- [1] 公益財団法人長寿科学振興財団. 訪問リハビリテーション. 健康長寿ネット. https://www.tyojyu.or.jp/net/kaigo-seido/kaigo-service/houmon-riha.html. 発行年不明. アクセス日: 2026年08月25日.
- [2] 厚生労働省. 訪問リハビリテーション. 介護サービス情報公表システム. https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group5.html. 発行年不明. アクセス日: 2026年08月25日.
- [3] 厚生労働省. 訪問リハビリテーションの人員・設備及び運営に関する基準. 介護サービス情報公表システム. https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group14.html. 発行年不明. アクセス日: 2026年08月25日.





