今回、『リハ栄養とは?』について過去の記事を大幅にリライトしました。
この記事は
- リハ栄養とは何かを知りたい
- リハ栄養がなぜ必要なのかを知りたい
- リハ栄養がなぜ重要なのかを知りたい
以上のような方向けに書いています。
まずは、youtube動画があるのでこちらを御覧ください
リハ栄養とは?
リハ栄養の定義は何でしょうか?
日本リハビリテーション栄養学会では次のように述べられています。
リハ栄養とは、ICF(国際生活機能分類)による全人的評価と栄養障害・サルコペニア・栄養素摂取の過不足の有無と原因の評価、診断、ゴール設定を行ったうえで、障害者やフレイル高齢者の栄養状態・サルコペニア・栄養素摂取・フレイルを改善し、機能・活動・参加、QOLを最大限高める「リハからみた栄養管理」や「栄養からみたリハ」です。
日本リハビリテーション栄養学会
「リハからみた栄養管理」や「栄養からみたリハ」という部分は非常に大切なところだと思います。リハビリを行っている患者さんの栄養管理は、栄養科だけでは栄養管理をすることは難しいのが現状です。そのため、多職種での連携が不可欠になります。
なんで、リハビリをやっている患者さんの栄養管理は
栄養科だけでは難しいのでしょうか?
それでは、栄養管理にリハが必要な理由について
整理していきましょう。
栄養管理にリハが必要な3つの理由
1つ目の理由です。栄養科では、消費エネルギーを考えて食事の提供量を決めていきます。リハビリをやっていない急性期の患者さんなどでは、活動量が少ないため、運動量によるエネルギーの予測はだいたいできます。
では、回復期病院やリハビリをしっかりやっている病院などではどうでしょうか?
リハビリの量によって消費エネルギーが大きく変わってくる場合があります。リハビリのスタッフがしっかり栄養科に運動量を伝えることで、より的確な栄養管理が可能になります。
2つ目の理由です。リハビリスタッフは患者さんの身体状況を詳しく知っている場合が多いです。
例えば、1日の活動量が少なく、筋緊張が低い、不随意運動が少ない場合は、生活でのエネルギー消費は少なくなりやすいです。そうなると、比較的体重が増えやすい条件が揃っていると考えられます。
活動量が少なくても、筋緊張が高く、不随意運動が多い方では、日中の消費エネルギーは上記のケースより多くなります。
そういった、身体状況の違いについては、栄養科のみでは判断しかねる場合が多いので、リハが必要な点と言えます。
3つ目の理由。リハビリのゴールの情報が栄養管理にも重要です。今後、自宅退院し独居生活するのを目指す方と、療養病院への転院待ちの方では、栄養管理も目標も変わってきます。
積極的に栄養量を増やしていくことで、リハビリの効果を最大にする方向で栄養管理をすべきか。リハビリをうまくすすめることが難しいので栄養量を少なめに調整する必要があるか。
今後の改善の余地や目標について栄養科と共有して、同じ目標に向かって介入していくことがよりよい栄養管理には不可欠であり、よりよいリハビリに不可欠と言えます。
まとめ
Q&A
少しリハ栄養に関する疑問に答えてきます。
リハビリをしている人の多くは低栄養?
栄養関係の文献、記事を読んでいると多くの記事で同じようなことが書いてあります。回復期リハビリテーション病棟に入院している患者さんの約4割は低栄養である。在宅や療養病棟、施設にいる方々と比較してもアルブミン値が低いです。ちなみに回復期病棟、一般病棟に入院している人の血中アルブミン値の平均値は3.1である。そうなると、私達の病院でもまだまだ栄養に対する対策は十分になされていないことに気付かされます。早急に対応していく必要があり、今後のリハビリ効果の向上にも大きく影響があることが考えられます。
リハ栄養の視点がないと筋トレしても筋力が落ちる可能性がある?
リハビリ栄養は、スポーツ栄養と似たようなところがあり、運動することで筋力をつける際に、体の中で筋力をつけるために必要な栄養を摂取する必要があります。スポーツでもリハビリでも同様です。筋力を作るためには、それに必要な栄養が必要になりますが、十分な栄養を取れないと、自分の身体の中に蓄えられているエネルギーを分解する必要があります。そうすると、筋肉に蓄えられたエネルギーを分解することになり、結果的に筋力が低下してしまいます。リハビリをして筋力を向上したいところが、筋力がかえって低下してしまう結果に陥る可能性があります。そういった面からもリハビリ栄養の重要性があると言えます。
リハビリ栄養の重要性は筋力向上効果以外にもある?
先程例として筋力向上には栄養が必要というような記載をしましたが、リハビリ栄養の重要性はそれ以外にもあります。低栄養になることでリスクが増加することを防ぐ、リスク管理の役割があります。低栄養であると褥瘡のリスクが高まります。低栄養を予防していくためには、主に管理栄養士が中心となって食事により調整します。基礎代謝は身長、体重、年齢から算出することが可能で、患者状態によってかかるストレスによって消費エネルギーは増加します。炎症や発熱、術後の状態などです。このあたりは看護士やカルテから得られる情報などで判断可能な部分になります。消費エネルギーにおいてはリハビリでどの程度運動しているかが大きく影響します。リハビリによって消費されるエネルギーは人によってばらつきがあるとは思いますが、多い人は500kcal以上消費する方もいるため、適切に消費エネルギーを算出する必要があり、その情報をもとに管理栄養士等と連携し摂取エネルギーについて検討していくというような役割があると思われます。