私は、現在一般病棟の内科系の患者さんのリハビリを担当することが多いのですが、たまに脳血管疾患の患者さんを担当することもあります。幅広く担当する傾向が強い病院ですので、勉強も幅広く行っていますが、今回は脳画像を診る重要性について私の考えをまとめておきたいと思います。
- 脳画像は苦手だけど、なぜ診る必要があるのか?
- どうやって脳画像を活用していけばよいのか?
- 脳卒中患者さんの予後予測をどう行えばよいのか?
といった疑問に答えていきたいと思います。
そもそも、なぜ脳画像をみる必要があるのか?
リハビリテーションを行うのにあたって、通常の理学療法評価を行うことで現在の身体状況を確認できれば、リハビリのプランはたてることが一応できます。では、なぜ脳画像を見る必要があるのでしょうか?
脳画像を見る時期にもよりますが、基本的には脳の損傷がどの程度なのかを評価することが重要であると考えています。
実際の理学療法評価の結果によって低下している機能が抽出されてくると思います。しかし、それらがどういった原因で低下しているのかを考察することが非常に大切だと思っています。
まず、病前の残存能力がベースラインとしてあリます。もともと、身体機能が低下している場合、脳損傷の影響ではなく、機能が低下している場合がありますので、この点については必ず整理しておくことが必要だと思っています。
次に、今回の脳損傷による影響がどの程度かを整理していくことが必要です。要するにベースライン以外の機能の低下が含まれてくる部分です。この脳損傷による影響を評価する際に、脳画像を診ることが重要であると言えます。
脳画像で損傷している脳の部位や神経経路などを評価することで、この画像からはこういった症状が起こる可能性があると予測することができます。予測される症状と理学療法での評価を比較したときに、予想通り低下している部分とそうではない部分に分けられると思います。ここの考え方が大切だと思います。
画像から予測される症状に関する考察
予測される症状と理学療法評価の結果が一致している点については、教科書どおりの経過などが非常に参考になります。神経細胞や神経核などの部位が損傷すると予後が悪く、神経経路の方が予後が良い傾向があったり、神経経路でも、放線冠や橋などの神経線維が疎になっている部分の経路の損傷は予後良好で、内包後脚や中脳大脳脚などの経路が密になっている部分の予後が悪いなどといった情報が非常に参考になると思います。
画像から予測されない症状に関する考察
予測されない症状が出ている場合は、ペナンブラやダイアスキシスなどの影響などもあるため、機能が低下している場合があったり、脳浮腫により圧迫されていることで症状が出ていることから浮腫の軽減により機能回復が起こりやすいと考えることができます。
脳損傷の程度と理学療法評価を比較+情報収集による予後予測制度向上
こういった、脳損傷の程度と理学療法評価の結果を見比べて、関連する情報を文献などから調べてくることで理学療法の予後予測に繋がり、どの程度麻痺が改善していくかを予測していくことが可能となるわけです。
上記以外の理由も多くあると思いますが、脳画像の評価としてはこういった重要性があることも一つ視点として持っていただけると良いのではないかと思います。
参考書
私が脳画像の勉強として、幅広く網羅しており、画像に関してもシンプルになるべく少ない情報で勉強できる本としてこちらの本を推奨しています。
私の同期はこちらの本がおすすめとのことです。こちらはより詳しく、わかりやすく、症状評価していけると思います。