目次
はじめに
肩関節不安定症について少しずつ分かってきました。今度は理学療法の進め方に関して教えてほしいです。
よかったです。前回の続きで、肩関節不安定症の復習をしつつ、理学療法の評価と治療についてみていきましょうか!
肩関節不安定症の症状と特徴
前回の復習も兼ねて、肩関節不安定症で認められる徴候として4つ挙げられます。
- 脱臼不安感
- 疼痛
- 違和感
- だるさ
肩の脱臼というとワイトブレヒト孔などが脱臼しやすいポイントになってくると思います。肩は前方へ脱臼しやすい特徴があり、肩関節の前方不安定性を認めます。
損傷部位としては、肩甲下筋などの方の内旋筋に認め、同時に筋力の低下を認めます。また、深部感覚(関節角など)の低下を認める場合があります。
その周囲である肩甲胸郭や体幹、姿勢などへの影響は少なく、痛みも少ないため、運動機能の低下を認めないことが多いです。
多方向性不安定症の特徴
肩甲骨の運動低下、運動異常として特に外旋と上方回旋の可動性が減少することが多いです。
肩関節の不安定感により、周囲のアウターマッスル(特に大胸筋、広背筋、三角筋など)が過活動になりやすく、表在筋が過緊張になったり、肩甲骨の可動性低下に繋がる可能性も考えられると思います。また、肩だけでなく姿勢不良に影響を与えており、全身性に問題が生じやすいです。また、多方向性でも深部感覚の低下は同様に起こりうる様です。
肩関節不安定症の評価と治療
評価
肩甲骨のアライメントと動き(肩甲上腕リズムなど)について評価していきます。
筋力は、肩甲骨固定下と非固定化で確認・比較するとよいです。肩甲骨のスタビリティ低下により、周囲筋の過緊張に影響があるかどうかを確認しましょう。また、肩関節の関節可動域についてもみていきます。
治療
肩の不安定性が生じているので、周辺部位として肩甲骨への介入は重要で、特に肩甲骨の外旋、上方回旋の動きの改善を図り、筋収縮パターンを改善することです。つまり、主動作筋の筋力強化と拮抗筋のリラクゼーションを図ることです。
脱臼する力をどう緩衝するかという点では、肩甲骨と肩関節の同方向運動によりストレスとを回避するなどが必要です。また、肩甲骨の運動減弱により、脱臼力を緩衝できなくなったり、肩関節の運動方向と反対方向へ肩甲骨が動いてしまうような逆方向運動が生じると肩へのストレスが向上してしまい、脱臼する力を鑑賞できないため、肩甲骨のモビリティ改善が重要です。
考察・まとめ
以上、肩関節不安定症では、単方向性と多方向性、外傷性と非外傷性で介入内容が若干異なるようです。単方向性・外傷性はセットの場合が多く、主にバンカート損傷とヒルサックス損傷です。多方向性・非外傷性はセットで、上記のように肩のみでなく肩甲骨の動きに影響が出てきます。少し分けて考えられるとよいのかなと思いました。