目次
はじめに
新人B
股関節シリーズ9で出てきたMISについてよくわからないのでもう少し教えてもらいたいのですが・・・
では、今回はMIS(Minimally Invasive Surgery)についてより詳しく見ていきましょう!
MIS(Minimally Invasive Surgery)とはそもそも何か
MISの概念は、できる限り皮膚の切開を少なくする手術を行うこと
従来の後方進入アプローチについて
- 従来から多く用いられている方法であり、今もなお半数以上が後方進入であるとの記事もあり、重要です。
- 臨床でも後方進入のケースを見かけることが多いです。
- 脱臼肢位は、学校でも習います、屈曲・内転・内旋の複合運動です。
この方法は、
- Moore法:股関節を45度屈曲し、大腿骨軸に沿った皮切を加え、伸展位にしたときに近位部が後方へ向かうもの。
- 後方侵入でのMIS:Moore法同様の肢位で、Moore法のやや下方の皮膚を切開するようほうなどがあります。
- 後方アプローチは人工股関節手術の70%以上で最も多く用いられている
- 大殿筋を縦割し、中殿筋の後方より侵入し、短外旋筋群を切離しておこなう
- 真の意味ではMISではないと考えられます。
後方侵入の切開
できる限り大転子側で切除するように行うようです。
筋を切らない前方系アプローチ
主に以下3種類の方法があります
- 仰臥位前法進入法(DDA):縫工筋と大腿筋膜張筋の間から進入します。
- 仰臥位前外側進入法(ALS):大腿筋膜張筋と中殿筋の間から進入します。
- 側臥位前外側進入法(OCM):大腿筋膜張筋と中殿筋の間から進入します。
すべて、脱臼肢位が、伸展・内転・外旋となりますので、注意が必要です。
進入方法の使い分けはどのように行われているのか。
- 後方侵入:他のアプローチと比較して、容易に展開しやすいメリットがあり、手術時の骨折リスクが比較的少ない利点があります。しかし、脱臼リスクは他の進入方法と比較して高いです。
- 前方進入:股関節は前捻角がついており、臼蓋は前外側下方を向いているため、カップを入れやすいが、ステムは後方の方が入れやすいです。人工骨頭(BHA)には不向きかもしれません。リスクとして、骨折しやすく、大腿外側部に知覚障害を合併する可能性あります。しかし、侵襲がすくなくてすみます。
- 前外側進入:骨折はややしやすいものの、カップ・ステムともにそこそこ入れやすく、脱臼リスクは少ない利点があります。しかし、骨折の可能性はやや多くなります。
高齢者の手術に対しては、骨粗鬆症などにより骨折リスクが高い方が多いので、後方アプローチが向いているのではないかと思います。
骨が丈夫であれば、脱臼リスクの少なく、侵襲の少なくて済む前方系アプローチが向いていると考えられます。
考察
術創部の切開の後をよく確認し皮切の範囲が大きいか、小さいか見ているうちに、普段と違う切り方をしている人がいれば、アセスメントが変わってくるかもしれませんね。