関節筋というワードを聴いたことがありますか?
関節筋というワードを皆さんご存知でしょうか?少なくとも私は学校でも聞く機会がないワードで、職場や参加した勉強会でも一度も聞いたことのない言葉でした。このワードを知ったのは認定理学療法士試験の資料を見た時が初めてでした。
関節筋について調べてみました
これは、認定理学療法士試験の資料を見てもわかりません。肩関節を保護するシステムが必要⇒関節筋との記載がありますが、関節筋は何かというのは、わかりません。
これは、知っていて当たり前ということでしょうか?
理学療法ジャーナルに関節筋について1ページにまとめてあるものを見つけました。2017年10月のPTジャーナルです。
関節筋とは何か?
関節は陰圧になっています。陰圧とは、関節内から骨と骨が近づくように働く力ですが、これは、関節運動によって変化します。関節は、骨と骨を徒手的に近づけることによって陽圧にもなります。
逆に、運動によっては通常よりもさらに陰圧になる場合もあり、その時に、関節包が関節の中に吸い込まれたり、巻き込まれたりする場合があります。関節筋は、この関節方が陰圧に吸い込まれるのを防ぐ働きがあります。
関節筋は、別名関節包筋と呼ばれており、最深層の筋線維が関節包に停止しているという特徴があります。つまり、関節筋は関節包を保護する役割を持っています。
関節筋の具体例~どの筋が関節筋なのか?~
自由度の高い肩関節では、腱板構成筋(棘上筋、棘下筋、小円筋、肩甲下筋)が代表的な関節筋です。
他には、上腕筋、上腕三頭筋、肘筋、総指伸筋、虫様筋、背側骨間筋などがあります。
また、下肢では、中間広筋、腓腹筋内側・外側頭、足底筋があります。
足関節は、筋線維が関節をまたがないため、腱と関節包が一部癒着して腱の滑走により関節包を保護しているそうです。
関節筋と弛緩性麻痺
関節筋も骨格筋の1つであるため、運動麻痺などの影響で弛緩性麻痺を伴う場合があります。関節筋は関節包を保護する役割があるのは前述のとおりですが、弛緩性麻痺では、この機能が失われます。肩関節であれば、他動運動や上肢の忘れなどにより、肩関節内へ関節包が吸い込まれたうえで、骨による圧迫や摩擦を受けるといった危険にさらされる可能性が高くなります。
関節筋と肩関節外旋
肩関節では後下方がもっとも緩い構造になっています。
そこで、弛緩性麻痺を伴う肩関節の他動的な外旋運動を行うことで後下方の関節包は緩んだ状態になってしまいます。
そのとき、肩関節内が陰圧であれば、緩んだ柔らかい関節包は容易に関節内へ吸い込まれてしまうことになります。そのまま、無造作な肩関節可動域運動や麻痺側上肢を後方に残したままの起き上がり動作などが繰り返されると肩甲骨関節面と上腕骨頭との間に挟まれた関節包は早々に炎症や外傷を生じることになります。
肩手症候群(CRPS type1、RSD、SHSなどともいわれる)はこれらの機序の延長線上にあると考えられます。
つまり、弛緩性麻痺を伴う肩関節の外旋は、関節包が保護されにくい状態になるため、関節運動を行う際は、十分注意が必要です。外旋位を避ける方がよいかもしれませんね。
片麻痺患者と腱板断裂
X線上で片麻痺患者(n=32)の40%に腱板断裂を認めたとの報告があります。(najenson T,1971)
まとめ
結論として、関節筋の理解は非常に重要であり、理学療法士としては常識として理解しておく必要があります。骨格筋の作用は一般的に、①姿勢の維持②関節を介した運動③熱の産生といっあ3つが一般的でありますが、筋線維あるいは腱の一部が関節包に停止し、関節包を保護しているということは、知っておかなければいけない知識になります。理学療法士が弛緩性麻痺の患者様の関節に関与していくことを考えれば、しっかり痛みを出さないように介入していく必要があります。
関節筋の重要性から試験にでやすいのではないかと考えられます。