はじめに
リスク管理には推論が必要です。今回は、2つの推論方法を紹介します。一緒に確認していきましょう!!
非分析学的推論
まずは非分析学的推論とは何かというところを簡単にご説明します。
非分析学的推論とは、パターン認識によるもので知っているとすぐにわかります。また、知識や経験からなんとなくこれじゃない?などと迅速な判断が可能な反面、今までの経験に左右されるので、知らないことはわかりません。
整理すると・・・
という具合です。非分析学的推論はリスク管理のみならず、普段の臨床での評価でも多く用いられると思いますが、それに頼りすぎるのではなく、まず、非分析学的推論を行った後に、本当かな?と疑い、分析学的推論を追加して行っていくことも重要な場面があると思います。
分析学的推論とは
では、分析学的推論についてですが、これは、リスク管理の場面で言えば、鑑別診断になります。急変が起こった際に、その原因がなんなのか、診断に必要な情報を評価していくことで、結果的に何が原因なのかを突き止めていく推論になります。
言葉ではわかりにくいのですが、簡単な例をもとに説明します。
目の前の患者様が胸部痛を訴えている!
①胸部痛が起こりうる疾患は何だろう?
②絞り込み:頻度が高いものと緊急性が高いものを絞り込む
③絞り込み:緊急性が高いものの鑑別
心筋梗塞を疑う所見
症状と尤度比
※尤度比は、大きいほどその疾患の疑いが強くなる
大動脈解離を疑う所見
肺塞栓を疑う所見
整理すると・・・・
となります。
まとめ
分析学的推論ではこのように、胸部痛の原因を掘り下げていくことで、胸痛の原因をある程度把握することで、リスクが高いのか、それとも高くないのかを判断することで、リハビリを中止すべきか、続けるべきか、練習の強度を下げるかなど様々な対応へつながります。
上記を見てもわかる通り、かなりの知識が必要にあることが難しい点です。ここまで鑑別できれば理想的ですが、現実的に職場のスタッフが全員できるという観点ではここまでは難しいでしょう。ここは個人のスキルによると思います。
逆に組織として考えた場合の対応は、フローチャートなどにマニュアル化できるものが必要になると思います。全員が周知して行えるレベルはマニュアル化できる範囲であると思います。そういった面では、今回の内容もある程度、マニュアルに含ませることはできる可能性はあるかもしれませんね。